🇯🇵不勉強な国会議員が「日本は長年にわたり放漫財政を続けた…」なんて言ってますが、予算委員会で説明したとおり、「日本は２５年間、世界で一番、財政出動（政府支出）を行わず、その結果、経済が成長しなかったこと」はＩＭＦ（国際通貨基金）のデータから明らかです。

2024年12月31日 06:50

「日本は長年にわたり放漫財政を続けた」とする発言は、事実に基づいているとは言いがたい主張です。むしろ、日本は過去25年間、他の先進国と比較しても財政出動（政府支出）を控え、経済成長を犠牲にしてきたというのが国際的にも確認された事実です。この点を正確に理解することは、今後の経済政策を議論する上で極めて重要です。以下、その背景と論拠を詳細に説明します。

1. 財政出動の国際比較：IMFデータの分析

国際通貨基金（IMF）が公開するデータをもとに、日本の政府支出を他国と比較すると、以下のような事実が浮かび上がります。
• 日本の政府支出（対GDP比）は、過去25年間、主要先進国の中で最も控えめな水準にとどまっています。
• 世界金融危機（2008年）やコロナ禍（2020年）などで各国が積極的な財政政策を実施した中、日本はそれらに比べても十分な支出を行わなかった。特にコロナ禍では、アメリカやヨーロッパ諸国がGDP比10％以上の支出を行ったのに対し、日本はGDP比で6％程度にとどまりました。
• 1990年代後半以降、日本は「失われた10年」が「失われた30年」に延長される中、持続的な財政刺激策を避け、財政健全化の名のもとに緊縮的な姿勢を続けてきました。

IMFデータでは、他国が経済停滞に対処するために財政政策を活用しているのに対し、日本は自国経済を支えるための政府支出を避け、結果として国内需要が抑制され、デフレ脱却にも失敗したことが確認されています。

2. 日本の経済成長と政府支出の関係

政府支出が抑制されると、経済成長が低迷するというのは経済学の基礎的な知見です。政府支出が民間需要を補完する役割を果たすためです。しかし、日本では以下のような状況が続いてきました。

a) デフレの継続

日本は1990年代初頭のバブル崩壊以降、長期的なデフレに悩まされてきました。このデフレ環境下では、民間投資や消費が停滞し、政府が需要を下支えする役割が求められました。しかし、日本政府は「借金は悪」という固定観念に縛られ、必要な財政出動を怠りました。その結果、国内需要の低迷が続き、経済成長が抑制されました。

b) GDP成長率の低迷

日本の名目GDPは、1990年代以降、実質的にほとんど増加していません。この要因の一つとして、政府支出が経済を刺激する役割を果たさなかったことが挙げられます。IMFデータやOECDの統計でも、日本の政府支出の伸び率は他の先進国と比較して低く、これが成長率の停滞につながったとされています。

3. 「放漫財政」という誤解の背景

「放漫財政」という言葉が使われる背景には、日本の国債残高が膨張しているという事実があります。しかし、この事実をもって「放漫」と断じることは経済的な誤解を招きます。

a) 国債残高の誤解

日本の国債残高がGDPの約250％に達していることは事実ですが、その大部分は国内で保有されています。これは、日本の国民が政府に対して貸付を行っている構図と解釈できます。実際、日本の国債の約90％以上は国内の金融機関や日銀が保有しており、外国からの借金ではありません。したがって、デフォルトリスクが低いことが国際的にも認識されています。

b) 金融政策との連携

日本銀行が実施している大規模な金融緩和政策の一環として、国債を直接・間接的に購入しています。この結果、政府の財政負担は低金利環境のもとで安定しています。IMFや世界銀行も、日本の財政状況を「持続可能」と評価しており、「放漫財政」と批判するには無理があります。

4. 今後の政策課題

日本の経済停滞を打破し、持続的な成長を実現するためには、適切な財政出動が必要です。以下のような政策が求められます。

a) 成長戦略への財政支出

政府が教育、研究開発、インフラ投資など将来の成長に資する分野に支出を増やすことは、経済全体の成長力を高める鍵となります。

b) デフレ脱却のための需要喚起

政府支出を拡大することで、民間需要を補完し、デフレ環境を脱却することが重要です。特に、低所得者層への直接支援や地方経済への投資は、即効性が高い政策として有効です。

c) 国際的な競争力の強化

政府が財政政策を通じて産業基盤を強化し、国際市場で競争力を持つ産業を育成する必要があります。

5. 結論

「日本は長年にわたり放漫財政を続けた」という発言は、IMFなどのデータを基にした客観的な分析とは矛盾します。むしろ、日本は財政出動を控えた結果、経済成長の機会を失ってきたのです。この現実を正しく認識しない限り、日本の経済政策は今後も適切な方向に進むことは難しいでしょう。国会議員を含む政策決定者には、データに基づいた議論を求めたいものです。それこそが、停滞から脱却するための第一歩となります。

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