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23時の軽井沢#16

〇〇と和は、池田瑛紗が働くカフェでの会話を終え、展示されていた絵を眺めていた。池田の絵はどれも鮮やかで、軽井沢の自然や静けさを繊細に表現している。

〇〇は一枚の絵に目を留めた。「あ、池田さん。この絵、どれか買えないかな?」

池田は驚きながらも微笑んだ。「もちろん、展示してるものはどれでも買えるよ。どれが気に入ったの?」

〇〇は「23時の軽井沢」と題された絵を指さした。「じゃあこの【23時の軽井沢】って絵ください。」

池田はその絵を見て、少し懐かしそうに言った。「これは大学出てすぐ描いたやつだから、お代は結構です。梱包だけさせてもらうね。」

そのやり取りを見ていた和は、何か複雑そうな顔をした。

5分後、池田が丁寧に梱包した絵を持ってきた。「お待たせしました〜。」

〇〇は「ありがとう」と礼を言い、絵を受け取った。

カフェを出た後、和が気になったように聞いた。「そんなにその絵気に入ったんだ?」

〇〇は絵を見つめながら答えた。「絵自体はすごい。でも、買った理由には他にもあるんだ。」

和は不思議そうに問い詰める。「何〜それ〜?」

〇〇はニヤリと笑い、「また教えるよ。今は言えないけど、少し時間が必要だ」と言った。

和は少し不満げな顔をしながら、「それならいいけど」と肩をすくめた。「で、これからどうするの?」

〇〇は真剣な表情に戻り、腕を組んで答えた。「一旦現場に戻って、状況整理しよう。あの婦警さんにも報告しないといけないし。」

和は頷きながら、「そうだね。」

二人は再び、軽井沢の夜の静けさを感じながら、現場へと向かって歩き始めた。事件の手がかりはまだ少ないが、彼らは確実に何か大きな真相に近づいている感覚があった。

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