23時の軽井沢#22
和は瑛紗の言葉を聞いて驚き、言葉を失ったが、ようやく絞り出すように尋ねた。「私を犯人にできるってどういうこと?」
瑛紗は静かに笑い、「そのままの意味だよ。和を犯人だと周りに思わせるってこと。」と平然と言い放った。
「言葉の意味は分かってる。でも、なんでそんなことするの?もしかして瑛紗、あんたがこの一連の事件を起こしてるの?」和は必死に状況を理解しようとして、瑛紗に問いただした。
瑛紗は少し首を傾け、「うーん…和はどうあって欲しい?私が犯人だったら嬉しい?」とからかうような口調で言った。
和は怒りを隠しきれず、「馬鹿言わないで!何を言ってんの!」と声を荒げた。
瑛紗は不気味な笑い声を上げ、「あはははは、和ならそう言うと思ったよ。」その笑いに和はますます混乱し、瑛紗の真意を掴めずにいた。
「なにが言いたいの?」和は眉間にしわを寄せて質問した。
「私は和が犯人だったら嬉しいよ!これで伝わった?」瑛紗はまるで悪戯を楽しむ子供のように言った。
和はその言葉を聞くと、突然こみ上げる感情に耐えきれず、ほほに一筋の涙が流れた。「どうして…私、何かした?」
瑛紗は冷たく、しかし楽しそうに○○を指差して言った。「ほら、○○君、和が泣いてるよ。助けてあげないの?」
○○は瑛紗を睨みつけながら、そっと和の肩を抱き寄せ、「和、大丈夫か…俺がそばにいるからな」と優しく囁いた。
○○は耐え切れず、瑛紗に強い口調で言った。「池田さん、マジで何がしたいんだ?」
瑛紗は涼しい顔で応じ、「勘違いしないで。私は和に恨みはないよ。」と微笑んだ。
和は涙をぬぐいながら、「どういうこと?じゃあ、なんで私を犯人に仕立てようとしたの?」と問い詰めた。
瑛紗は言葉遊びを楽しむように、「言わせないでよ〜」と冗談めかして言い、その後、しばらくの沈黙の後で唐突に言葉を発した。「中西アルノ。この名前言ったら分かる?」
○○の表情が固まり、その名に聞き覚えがあることを示すかのように、無言でその場に立ち尽くした。
和は反射的に、「冗談でも、その名前を○○の前で出さないで!彼、今でもそのことを気にしてるんだよ?」と激しく反応した。
瑛紗は飄々とした態度を崩さず、「相変わらず二人はラブラブだね〜。でも、その無神経なラブラブさが、アルノを傷つけたこと、覚えてる?」と、まるでずっと知っていたかのように話した。