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23時の軽井沢#17

二人は事件現場に戻り、周囲の状況を確認していた。和は少し不安げに、「戻ってきたのはいいけど、何するの?」と問いかけた。

〇〇は真剣な表情で和に振り返り、「今、あの絵持ってる?」と尋ねた。

「どの絵?」と和は少し戸惑いながら返す。

「ほら、和の最新作『軽井沢の夜』だよ。『次はここ』って赤い文字が書かれた絵。あれ、今持ってる?」と〇〇は説明しながら手を差し出した。

和はバッグの中を探り、「ああ、これのことね。持ってるよ、ほら」と絵を取り出して〇〇に渡した。

「しばらく借りてもいい?」と〇〇が尋ねると、和は少し不思議そうな顔をしながらも、「別にいいけど…」と答えた。

〇〇はその絵を手に、周りを見渡しながら大声で呼びかけた。「掛橋さーん!」

しばらくすると、掛橋婦警が現場から駆け寄ってきた。「どうしたの?」と掛橋は興味津々な表情で尋ねる。

〇〇は和の絵と、池田さんから買った「23時の軽井沢」の絵を一緒に持ち、「これ、よろしくお願いいたします」と二枚の絵を渡しながら、小さなメモも一緒に差し出した。

掛橋は少し驚いた表情で絵を受け取り、「分かった。2、3日、時間をもらうけど、それでもいい?」と確認する。

「大丈夫です。よろしくお願いします」と〇〇は深々と頭を下げた。

和はその様子を見て、ますます不思議そうな顔をしていた。「え、なに?何をお願いしたの?」と少し焦り気味に問いかけるが、〇〇はただニヤリと笑って、「後で教えるよ」とだけ答えた。

和は納得がいかないまま、「またそのパターンか…」と心の中で呟いたが、何かを隠されている感覚が落ち着かない。

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