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23時の軽井沢#26

和は周到な計画を練り、○○のクラスメイトに協力を依頼した。彼女の指示はシンプルだった。

「いい?今日、君は放課後に茶道室に行く。そうすれば授業が終わったアルノさんが来るから、そこでこの購買で買ったお菓子を渡すの。」

○○のクラスメイトは困惑しつつも頷いた。「よくわかんないけど、分かった。」

和は自信満々に言った。「大丈夫、絶対うまくいくから。」

「急に話したこともない男子からお菓子渡されたら怖くないかな?」とクラスメイトは不安げに尋ねた。

和は笑顔で応えた。「大丈夫、プレゼントもらって嫌な女子はいないよ。」

「本当に?」とクラスメイトはまだ疑念が残る。

和はさらに作戦を強化した。「それだけじゃないよ!渡すときは、可能な限り密着すること!」

○○のクラスメイトは驚いた表情を浮かべた。「密着ってどういうこと?」

和は自信たっぷりに説明する。「遠目で見たら、まるで抱き着いてるくらいの距離!分かった?」

クラスメイトは眉をひそめた。「それ、本当に意味あるの?」

和は断固として頷いた。「あるよ~。プレゼントを渡して最後に急接近してドキッとさせるの!そしたら、アルノさんは絶対に恋に落ちるから。」

○○のクラスメイトは半信半疑ながら、「なんか不安だけど、やってみるよ」と言って和の言葉に従うことにした。

和は満足げに頷いた。「頼んだよ~。私もスタンバイしないとね!」

放課後
○○のクラスメイトは和の言葉通り、茶道室の前でアルノを待った。少し緊張しながら、手に持ったお菓子を見つめる。そして、授業を終えたアルノが茶道室へとやってきた。

○○のクラスメイトはタイミングを見計らい、「中西さん!」と声をかけた。

アルノは驚いて飛び上がった。「ひゃぁあ!!びっくりした!なにぃ~?そしてだれぇ~?」

「初めまして!僕、○○と同じクラスのものです!」と言って、お菓子を差し出しながらアルノに急接近した。「中西さん、これ受け取ってください!」

アルノはさらに驚き、後ずさりしながら「きゃあ!なに!?距離近いよ!びっくりするじゃん!」と声を上げた。

その瞬間
カシャッーシャッター音が廊下に響いた。

アルノは一瞬動きを止め、不思議そうに周囲を見渡した。「うん?シャッター音?」

○○のクラスメイトも同じように周りを見回しながら答えた。「なんか音しましたね。なんでしょう?」

アルノは不安げに顔をしかめた。「なんだろうね?気持ち悪いね。」

その一方で、廊下の曲がり角では、和がスマホを手にしながら写真を撮っていた。

「う~ん、もうちょっと距離詰めてほしかったけど、まあいいか。抱き着いてるように見えなくもない…」和は満足げに呟き、撮影した写真を確認した。

彼女は、この写真をどう使うか、頭の中で次の展開を練り始めた。

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