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C’est très bon !#4
○○は急いで駐輪所へ向かい、待っている夏鈴を見つけると息を切らせながら声をかけた。
「お待たせ!」
「遅い…」少しむくれている様子の夏鈴が呟く。「早く帰ろうよ」
「ごめん!お詫びにマフィン焼いたから食べて」
その言葉に夏鈴の顔がぱっと明るくなる。「え!私のために!?」
「そうだよ」
「食べていい?」
「どうぞ」と○○が微笑むと、夏鈴は嬉しそうにマフィンを大きく頬張り、「うん!!美味しい!!」と目を輝かせる。「疲れて、お腹空いてる時にちょうどいい量かも!」
○○は小さくガッツポーズをして、「よっしゃ!」と小声で喜びを表した。
歩きながら○○が尋ねる。「部活、忙しいの?」
「そうだね〜」と、少し疲れた様子で夏鈴が答えた。「来週には最後のコンクールもあるからさ」
「その結果次第で引退ってこと?」
「そうだよ。全国に行けるように頑張るけどね」夏鈴の顔には決意が浮かんでいる。彼女は吹奏楽部の部長として、後輩も引っ張りつつ最後のコンクールに向けて奮闘していた。
「後輩も入ってきてくれて、活気も出てるし、頑張れば全国も夢じゃないと思うんだ」
「手腕の見せどころだね、藤吉キャプテン」と○○が軽くからかうように言うと、夏鈴は恥ずかしそうに笑った。「やめてよ(笑)ちゃかさないで」
「コンクール前に食べたいもの、ある?」
「食べたいもの?」と夏鈴が首をかしげる。
「うん。コンクール前にこれを食べたら頑張れる!ってものがあればリクエストしてよ。なんでも作るから」
「じゃあ〜カルビが食べたい!」
「焼肉ってこと?」
「う〜ん、別にカルビならなんでもいいよ」
「分かった。じゃあ明後日の部活終わり、俺の家に来て。夜ご飯に絶品カルビを用意しとくから」
「明後日の夜ね!楽しみにしてる!」夏鈴は目を輝かせて答える。「でも、こういうのってコンクール前日とかじゃないの?」
「カルビとか脂っこいものは前日に食べない方がいいんだよ。お腹壊すかもしれないしさ」
「そうなんだ!」と目を丸くする夏鈴。「じゃあ前日の夜は美味しいトマト料理と和食が食べたい!」
「分かった!」○○は笑って頷いた。「じゃあ、明後日にカルビを食べて、コンクール前日には絶品トマト料理と和食を用意するね」
「やった〜!楽しみにしてる〜」と、満面の笑みで喜ぶ夏鈴を見て、○○もどこか誇らしげな笑顔を浮かべるのだった。