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23時の軽井沢#31
アルノは一命を取り留めたが学校を退学し、軽井沢を去ってしまった。その数週間後、○○は心の整理がつかぬまま、和にある決意を話していた。
「ねえ!○○待ってよ!」和が慌てて彼を追いかける。
○○は立ち止まって微笑みながら、「なんだよ(笑)俺、今から帰るんだけど」
和はその言葉に耐えられず聞いた。「…学校辞めるって本当?」
○○は静かにうなずく。「うん、ここにいると罪悪感に押しつぶされそうになる。別にしたいこともないし、もういいや。和と卒業できないのは残念だけど、お前は残りの高校生活楽しめよ」
「そんな…アルノさんのことは残念だったけど、○○のせいじゃないよ!」和は力を込めて言う。「誰も○○の責任だなんて思ってないし。」
○○は俯いて、「うん、分かってる。でもこれは俺自身の問題なんだ。学校も辞めて、この町からも出て、やり直そうと思う」と告げる。
和は動揺しながらも、たどたどしく質問をぶつける。「町から出て行くって…どこ行くの?何するの?なんでそこまでするの?」
○○は苦笑して「落ち着けって(笑)一つずつ答えるから」と言って、「行く場所は東京、来週には出る予定だ。お父さんが東京でルポライターしてるから、その手伝いをする。俺もゆくゆくはデビューしたいと思ってる」と説明した。
和は少し声を震わせ、「せめて高校は卒業してからでも…今すぐ行かなくてもいいんじゃない?」
○○は彼女の思いを汲みながらも、「もうここにいるのは嫌なんだ」と静かに応える。
和は頷き、少し肩を落とし、「そっかぁ…あっちでも元気でね…」と言うと、涙が溢れて下を向いてしまった。
○○は不器用に彼女の頭を撫で、「泣くなよ…定期的に帰ってくるから…」と約束をする。
和は涙を拭いながら「うん…約束だよ…」と彼の手にすがるように微笑んだ。
そして次の日、○○は誰にも告げずに軽井沢を後にした。
——現代。
「あの事件の真相を○○は知らないもんね!」瑛紗が言い放ち、わざとらしい笑みを浮かべる。
○○はぎゅっと拳を握る。「どういうことだ?」
「どうせ自分が悪いと思ってるんでしょ!」瑛紗は冷笑を浮かべる。「今から真実を話してあげるよ。あの時、中西アルノを誰が陥れたのか、全部ね!」
部屋中に緊張感が走り、○○は覚悟を決めるように、瑛紗の言葉を待った。