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23時の軽井沢#5
ギャラリーで夜を明かすことになった二人。外は寒く、夜がますます深まる中、○○と和は会話を続けた。
「いつ帰ってきたの?」和は○○に問いかけた。
「ついさっきだよ、21時ぐらいに軽井沢に着いて、駅前でご飯食べてからここに来た」と○○は軽く答えた。
「なんで急に帰ってきたの?もう2年くらい帰ってきてなかったくせに」
○○は少し気まずそうに視線を外した。「忙しかったんだよ」
「へ~、オカルト記事のライターってそんなに忙しいんだ~?」和の言葉には皮肉が混じっていた。
「相変わらずな言い方だね……」○○はため息をついた後、ふと笑みを浮かべた。「お前の個展を見に来たって言おうと思ったけど、今の発言が頭に来たからやめておく」
和はクスリと笑ったが、○○は真剣な表情に戻った。「お前も地元にいたら知ってるだろ? 23時の軽井沢事件。毎日、23時になると店の営業が終わると同時に、街で奇妙な事件が起こる。目撃者もいないし、警察も調査が進まないらしい」
「ふ~ん、あっそ。別にそんなことだろうと思ったわよ、オカルトマニア君」和は淡々と言ったが、心のどこかで不安を抱えている様子が見えた。
○○は鋭い視線で和を見つめた。「和、お前は地元にいて、何か見たりしてないか?」