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23時の軽井沢#33
瑛紗は静かに、そして少し震えながら話を続けた。
「私はアルノの友達だったの。高校こそ違ったけど、小学校からずっと仲良しでさ、高校生になってもよく遊んでた。…親友だったよ。でもね、いつも会うたびに○○の話ばかりしてたあのアルノが、あるときから急に○○のことを全然話さなくなったの。気になってたんだけど、それ以上に彼女がどんどん痩せていくから、心配で無理やり話を聞いたの。そうしたら、学校で変な噂を立てられていること、知らないうちに写真がばらまかれていたことを話してくれたんだ」
○○は静かに彼女の話を聞き続け、傍らの和も唇を噛みしめながら耳を傾けていた。
「アルノはその時こう言ったの。『多分、○○の同級生の井上和って子が犯人だと思う』って」
和は驚き、小さな声で呟いた。「…アルノさん、気づいてたの…?」
瑛紗は頷いた。「あの子、賢いからね。気づいてたと思う。私がやり返せって言ったんだけど、『○○の好きな人だから、嫌な思いはさせたくない』って、それだけはずっと譲らなかった。彼女はどんなに傷ついても○○が話を聞いてくれていたから、なんとか気持ちを保てたんだよ。だけど、その○○からも最後は距離を取られて、…もう限界だったんだよ」
○○はその言葉に目を伏せ、静かに口を開いた。「俺は…これ以上アルノの状況が悪化しないようにって、彼女のためだと思って距離を置いたんだ…」
瑛紗はその言葉を聞くと、怒りと悲しみで顔をゆがめ、抑えきれない涙を流しながら叫んだ。「その!自分よがりな優しさが!アルノをどれだけ傷つけたと思ってるの?!ねえ…返してよ…私の友達返して…私の、数少ない友達だったんだよ…」
○○は何も言えず、頭を垂れた。「…すまなかった」
瑛紗は涙を拭い、言葉を絞り出すように続けた。「ここからは、私が復讐を決めたあの日の話よ」