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キタダヒロヒコ詩歌集 14 光
ある意味で、
三重県で一番きらきらした街のこと。
ここよりもおおきな街で夜風にふかれながら
時間とは光のことだと思った
目にふれたしゅんかん
新鮮な過去になっていくいのちの
さまざまな名前
その街のいのちの粒や
時間の粒をまとって
きらきらとあなたはあらわれ
いつまでもきらきら笑った
最もおおきな
光の粒そのものになって立ち去るまで
いまもまなうらから消えていかない
海越しに見たのは
精巧に乱雑に
金管楽器を積み上げた光の城
わたしたちのまえに
ゆれながら停泊していた船
「船」と言ったとき
あなたは何を思っていた?
わたしは光の城を遠く見つめながら
だまっていればよかった?
時間はすり抜けていく
いのちは名前を見うしなう
しかしここだけは
光の集積をゆるす場所
ゆるやかに傾斜する砂山のように
ぐずぐずと私のいのちを憩わせながら
こころはもう一度会う日のために
透明な準備をととのえながら
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