1999年から2003年までの阪神タイガース その⑪
ゴールデンウィークだって?
誹謗中傷だって??
2000年のゴールデンウィーク。
甲子園球場。
阪神vs横浜三連戦。
甲子園には三日間で165,000人の観客が集まったが全て完封負け。
タイガースはホームベース、
いや、三塁を踏む事が出来なかった。
今でこそあの時代はよかったと人に話す事ができる。
しかし、当時のタイガースファンの怒りはピークに達していた。
タイガース=弱い
これは当時のパブリックイメージとして定着していた。
球場に来たことのないファン、野球に詳しくない方でも知っていた。
では、球場に来ていたファンはどうだったのか?
過去にも書いてきたが、
あの頃の外野にいたファンは常連ばかり。
社会で生きることに不器用だったタイガースファン。
しかし、どんなに負け試合が続いてもタイガースを応援する事に全力だった。
アイパー軍団の一人に小井という、
加古川から甲子園に通っている男がいた。
当時で30歳を超えていた為、現在は何歳だろうか。
見るからに冴えない男。
私生活で会っても決して友達にはなれないだろう。
いつも起きて5分かと思うような格好で甲子園にやってくる。
歯が汚い。
小井の特徴は、いつもニヤニヤしながらジャイアンツの替え歌を作ってくる事だ。
その時点で気持ち悪い。
「みんな!新しいのできたで!!!!」
歯が汚い。まるで犯罪でも起こしそうな笑顔だ。
そして、声のトーンが高く通る為若干腹が立つ。
あらゆる所で嫌われていたのが小井の特徴だ。
いつも物販で売っている安いタイガースの旗を靡かせヘラヘラしながら二次会に参加する。
小井の作ってくる替え歌は最高だ。
仁志、清水、高橋由伸、松井、清原、江藤。
二岡に村田真一、チャンテまで。
いやいや、これピッチャー除いて全員やん。
どうやったらそんな事思いつくの??と感心する。
もちろん週刊誌は全てチェック。
ジャイアンツのゴシップ記事を全て読み漁っている。
ベンチ入りしている選手へのヤジも凄かった。
特に江藤の応援歌。
二種類あるが、センスは抜群だ。
(ここには書けない)
3コールも凄い。
一つだけ書いておこう。
日テレ うるぐす おもんない!!
まだイマイチ?
ではもう一つ。
豚が!!!!!!!!!
巨人に!!!!!!!!!
やってきた!!!!!!!!!
甲子園から西宮北口まで聞こえるような声量だ。
そしてあの笑顔。
歯が汚い。
これには参った。
みんな腹を抱えるぐらい爆笑だった。
他にもここに書けないような3コールを小井はいつも提供してくれた。
インターネットがまだまだ普及していないこの時代にここまでの情報量を集めようと思うと相当な資料と努力が必要である。
小井の江藤に対する執着心は相当だった。
当時の長嶋監督がFA宣言したカープの江藤選手に対し、自らの背番号を提供してジャイアンツに来てもらった。
という話は有名だが、
これを一人コントでやってのけゲラゲラ笑っていた。
「長嶋監督と江藤」
脚本:小井
演出:小井
監督:小井
歯が汚いのは:小井
内容は長嶋監督が江藤をカープから引き抜くため、
自らの背番号を江藤に渡す。
大喜びの江藤と黒い影が見える長嶋監督。
実は全部茶番でした〜〜
凹む江藤選手〜〜
という素人でも思いつきそうな内容。
これをどこでやったかって?
外野指定席の当日券売場で
「みんなが並んでいる」時に決行。
もう一度言っておくが、小井の声は物凄く通る。
高架下で並んでいた数百人のタイガースファン全員がこのコントを目にした。
カラスが飛んで逃げていく。
周りはドン引き。いや、ガチ引き。
フジ君は知らんぷり。
僕は愛想笑い。高校生だからね。
カナヤン先輩は「やんやん、コンビニ行こ」
後ろに並んでいたお姉さんは離れてきました。
相変わらず歯は汚い。
流石の小井も
凹んでました。
てか、歯がきたねーんだよ!!
続く(次回も小井の話です)