1999年から2003年までの阪神タイガース その⑲
白木屋での反省会。
翌日から僕らは観戦後は二次会不参加。
応援グッズをカバンにしまい、
そそくさと球場をあとにする日が続いた。
阪神が優勝するまで、
二次会には参加しない。
みんなで決めた約束だった。
実際、9月15日の優勝まで二次会を行うことなく何もせずに帰宅する日が続いた。
タイガースはホームゲームではほぼ勝ち試合。
連日多くのファンが球場へ駆けつけた。
二次会には既に僕らの姿はない。
タイガースは間違いなく優勝する。
トラブルに巻き込まれるとその「瞬間」を目にすることが不可能となる可能性がある。
それだけは避けたい。
そして、遂に現れた。
「私服警官」
タイガースにマジックが点灯した瞬間からよく見かけるようになった。
電車での二次会が問題化し、
関東の総武線で逮捕者を出す騒ぎとなった。
関西でも阪神電車の二次会参加者が増加。
阪神電車は統率の取れない荒れ模様となっていた。
実際にこの模様が関東のテレビで放送され大きな問題となった。
この頃からダフ屋はほぼいなくなり、
目立った者や行為はマークされる雰囲気となった。
路上駐車は取り締まられ、
常連はマークされた。
目の前で逮捕される人間を何度も見た。
暗黒時代には考えられなかった事だ。
実際に阪神電車で梅田に到着し、
ホワイティから帰宅しようとすると私服警官に絡まれた事がある。
「お前ら、電車ん中で暴れたら承知せんぞ」
タイガースが勝ち、
ヒーローインタビューが終わり
六甲おろしを歌う。
二次会には参加せず、
そそくさと帰る。
僕らの心の中にはぽっかりと穴が空いていた。
二次会の無いタイガース。
いかに二次会の存在が大きかったか分かる。
真弓ダンスで21号門前から阪神電車駅前へ駆け抜ける事も無くなった。
タイガースのフィーバーは
タイガースファンの本当の醍醐味を奪い取ってしまった。
僕らは頭を抱えた。
何故こっそりとタイガースを観に行かなければならないのか。
何故喜びを爆発させられないのか。
そして何故。
ニワカに持ち場を取られなければならないのか。
ある日、関西のフリーペーパーを読んでいたらこんな投稿があった。
関西の
景気の一粒
にわかトラ
仮装したニワカが現役選手の応援歌で大喜び。
「おれ実は阪神ファン」
昨年までW杯を必死に観ていた野郎がバイト先で豪語。
大根やバナナ、豆腐にまでタイガースのロゴ。
今岡が四番を打ってると勘違いの醜いババア。
尼崎信用金庫のCMを観ると金利の話。
街中でユニを着ている若者を見る事も増えた。
そして球場は
もっと酷い。
タイガースを奪われた。
愛するタイガースを。
2003年。
僕らはずっと何かと戦っていた。
続く