1999年から2003年までの阪神タイガース その㉓
こだま。
前回も紹介したが、
この男も数々の伝説を残した。
二次会で騒ぐタイガースファンを支えた男だ。
体重140kg。体型は座席三席分の大きさだ。
走ると地軸がズレる。体臭はダイオキシン。
最下位が確定している暗黒時代に道頓堀に飛び込み警察沙汰に。
常に笛と線香を持ち歩き、リズムをとる。
二次会や葬式ごっこには欠かせない人物である。
言語障害で何を話しているか分からないが、
彼はPCの能力に長けていた。
こだまは優しい。
あの時代にライトスタンドで手作りの歌詞カードを配っていた。
きっと当時の古いワードを巧みに使い作成したのだろう。
オールカラー。枠外には挿絵付。
しかも「無料」だ。
デザインが可愛い為、
こだまが外野席で歌詞カードを配布する時は新聞社が号外を配るような雰囲気となった。
阪神ファンからの「ありがとう、こだまさん」
こだまはきっと嬉しかったはずだ。
学校や社会、世の中から阻害されきっと苦しい思いをしてきただろう典型的な「阪神ファン」
甲子園に自分の居場所を見つけた冴えない男。
人生で必要とされた瞬間はこの時がピークだったに違いない。
ありがとうと言われ照れるこだま。
その表情からは笑みがこぼれていた。
こだまの配布した歌詞カード。
「挿絵」について紹介したい。
トラッキーがジャビットに乗りかかり、
ガッツポーズをしている挿絵。
オフィシャルでは無い。
しかしこの原案をWindowsのペイントで作成したのはこだまだ。
僕の記憶だと間違いない。
今もニワカがワッペンとしてユニによく貼り付けている。
当時から20年以上経った今でもたまに見かけるこだまのオマージュ。
もし、この時代に商標登録していたらこだまはきっと豊かになっていただろう。
あれはおれが作ったのに!!
普通の人間ならそう言うだろう。
しかし、文句を一言も言う事も無く2002年にはその姿を消したこだま。
翌年の胴上げは見れたのだろうか。
元気にしてるといいが。
2003年9月15日。
タイガースは優勝した。
その瞬間、僕はライトスタンドにいた。
まるで夢を見ているかのようだった。
あの瞬間、冴えないアイパー軍団の顔が走馬灯のように蘇った。
その中にはもちろんこだまもいた。
こだま。
貴方の作ったオマージュ。
20年以上経った今でもタイガースファンに愛されてるよ。
貴方は印税や版権よりもみんなに愛される事を望んだのだろう。
理解してないと思うが、
僕はそう感じる。
歌詞カードを無料配布。
二次会でのリズムを笛でとるのもこだま。
そして、いつも線香を用意するのもこだま。
貴方には「ホスピタリティ」があった。
タイガースファンの中ではNo.1だ。
わっしょいコールの際、
帽子が脱げハゲを披露し、
周囲を爆笑の渦に包んだこだま。
それもまた「ホスピタリティ」
続く