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【OCG】50枚デモニカの解説とデモンスミスヴァルモニカを整理する話
どうも、もっちーです。
今回もちゃんとヴァルモニカの話をダラダラとやっていきたいと思います。
今回は新パック【RAGE OF THE ABYSS】にて強化された デモンスミスヴァルモニカ について掘り下げて考えるお話です。
今回は前半が現状のデモンスミスヴァルモニカ(以降、デモニカ)における構築上の悩みや課題について整理。後半が現在使用している50枚デモニカの解説になります。
前半は長ったらしい座学なので飛ばしても問題ありません、さっさとデッキについて教えろという方は目次から【50枚デモニカにの解説】まで飛んでしまいましょう。
■これまでのデモニカの話
・そもそものヴァルモニカ
天魔の聲選姫の追加によりヴァルモニカはようやくテーマデッキとして自立可能になりました。
元々最終盤面は強固な先行盤面とワンショットが狙える後攻盤面を作れていました。
ここに、初動としての再現性の低過ぎたテーマに初動パーツとして機能するカードがしっかりと追加されたおかげで対戦で使用できるレベルまで一気に強化されました。
しかし、初動追加されたとは言え令和のデッキとしてはようやく一人前の動きができる様になった程度、組み合わせは多いものの2枚初動+手札コストという条件は環境テーマと戦うには初動率も貫通力も劣っておりフリー戦では問題なく勝てるが環境テーマ戦となるとボロが出てしまうのがヴァルモニカというデッキでした。
●デモンスミスのおかげさま
セレトリーチェの追加後、程なくしてあの男が現れます。みんな大好きデモンスミス君の登場です
デモーネが光悪魔というステータスのおかげでスミスシナジーが機能し
・2枚初動パーツの水増し
・貫通手段の水増し
が可能になります。
また、架け橋ギミックとライトロードキュリオスを入れる事でデモンスミスを1枚初度とする構築も可能です。(以後、キュリオスルート呼び)
とはいえ、スミス1初動に関してはメインデッキの誘発枠や架け橋パーツ素引きのリスクなどもある為、搭載するかは好みの分かれるところです。
細かい話は色々ありますが要するに「純モニカよりも初動と貫通パターンが増えている」部分がこれまでのデモニカの特徴でした。
■奴の名はラクリモーサ
そんなこんなしているうちに登場したあのカード「紅涙の魔ラクリモーサ」は多くのデッキに衝撃を与えました。
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既に汎用エンジンとして広まっていたデモンスミスパーツをさらに扱い易くするこのカードの登場はモンスターをとりあえず2体並べればサロスナンナ→レクイエムと繋がり、なんやかんやあってリンク値4かリンク値3+ベアトリーチェによるおろ埋1回の権利が貰えるトンデモパーツとして機能する様になりあらゆるデッキにおいて貫通力、初動、展開の最大値伸ばしが可能になりました。
当然ヴァルモニカもこの恩恵を受け強化…
●デモーネ!そっちに行くな!!
されませんでした!(ドン‼️)
いや、強化されてないと言うと嘘ですね。
他のデッキに比べると強化の恩恵を受けるのに1手間かける必要がある、というのが正確かもしれません。
他のデッキでは一度サロスナンナを作る必要があるのですが元より光悪魔モンスターをメインの動きで出せるならばナンナを作る必要すらなく直接デモンスミス展開へ繋ぐ事が可能なはずです。
ところが、Pモンスターであるデモーネはリンク素材として使うとEXデッキへと移動してしまう為墓地には落ちず、デモンスミス展開の際に墓地の光悪魔が1体足りなくなってしまいます。
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せっかくデモンスミスパーツ展開が強化されたのにメイン展開から光悪魔を場に出すデッキにも関わらず、強化前から最終盤面の出力が特に変わらないというのが現状のデモニカ構築です。
●じゃあ何が出来るようになったの?
なんかネガい事言ってますが何も手に入れなかったという事ではありません。じゃあ何が新しく出来るようになったの?という話ですが、これに関しては大きく2つに分けられます。
・1枚初動の選択肢増加
まずこれまでキュリオスルートの展開はデモンスミスの素引きからのみ可能で40枚構築ならば3積みで初手に引くのは33%程でした。
これが今回のラクリモーサ追加でトラクトゥスからもキュリオスルートの展開が可能になり最大6枚体制で57%まで初手に引く確率を上げられます。
また、新たにセレトリーチェ召喚1枚から可能なエントレインメントを用いた初動ルートも見つかり(以降、トレインルート)、セレトリーチェにアクセスできる聲選機も実質1枚初動としてカウント出来るようになっためメインデッキ内の初動率は大幅に改善されました。
同時に別な問題も発生してくるのですがその辺は後ほど解説します。
・妥協、貫通パターンの増加
初動パターンが増えた≒貫通パターンが増えたことにもつながります。
ラクリモーサがちょうど☆4ということもあり引いてしまった場合にP召喚に含めて場に出したり、エクシーズ素材として使うなどステータス的にも腐り難いです。
何より新規カードの追加で可能になったデモーネ+セレトリーチェの盤面から墓地や手札にシェルタが無くてもアグヌスデイを経由する事でゼブフェーラ+律動セットまで盤面が作れるルート(以降、アグヌスルート)が可能になりこれまでバグースカ棒立ちしか出来なかった状況が多少改善されました。これに伴いデッキパーツとしてインヴィターレの価値も高くなっています。
■さあ、デッキにしよう
ここからが本題です。
なんか色々貰っているっぽいデモンスミスヴァルモニカですがじゃあ何を筆者が困っているの?という話なのですが展開が可能になった事とデッキとして強くなった事は必ずしも一致しません。
一旦ここまでで紹介したスミスパーツにより追加されたルートの特徴を整理します。
▼キュリオスルート
・メインに素引きが弱いカード2枚入ってしまう
・EX圧迫はほぼ無し、優秀
・誘発受けは悪く、通ったらラッキー
▼トレインルート
・メインに特別なパーツは不要、優秀
・EX圧迫が厳しい、戦術の幅に影響あり
・誘発受けは悪く、通ったらラッキー
▼アグヌスルート
・メイン枠に特別なパーツは不要、優秀
・EX圧迫も少なめ、優秀
・誘発を受けた後に使う妥協ルート
・要するにEX枠2枠で手に入る保険展開
▼そもそものヴァルモニカ展開
・メインはほぼ確定20枠+α
・テーマ内魔法素引きが貫通要素になるので+α枚の枚数追加はアリ
ここまでの要素を組み合わせてデッキの形にしてみます。
●最適化を考えモニカ
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まずは「キュリオス」「トレイン」「アグヌス」全ての要素を入れた特盛り構築です。
もはや議論の余地も無いですがEXが実戦で戦える内容をして無いです。
デモンスミス側、ヴァルモニカ側共に1枚初動が6枚ずつ入ってるので共に57%ずつ、合わせて85%で1枚初動が可能ですがゼブフェ、ジュラルメ、バグースカのどれかを失うわけには行かないのでそもそもこの構築プランの線は無さそうです。
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トレイン+アグヌス
セレトリーチェからの1枚初動を狙うのでテラフォも入れて7枚体制です。
セレトリーチェのサーチが通らなくても素引きしてれば貫通になるのでインヴィも3詰み。
こうすると同じセレトリーチェ+インヴィを妥協貫通パターンとしているアグヌスルートを使う機会がなくなるはずなのでそもそもトレイン+アグヌスの両立自体が構築として良くなさそうですね。
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キュリオス+トレイン
少し枚数も調整してトレインルートの始動6枚+キュリオスルートが5枚で81%で1枚初動可能です。
デッキとしての体裁は取れているのでもう少し踏み込んで考えてみます。
やはり気になるのはEXの融通の効かなさが個人的には気になります。
先行でのゼブフェバグースカは作りやすくなったものの文字通りそれ以外の戦術を持ち合わせていません。先行盤面の形成に力を入れ過ぎて大切なものを色々失っている様に感じます。
やはりEX枠を大きく消費するトレインルートを使うと構築に無理が発生してしまう…?
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アグヌス+キュリオス
EXの内容はかなりまとまっているように感じます、だいぶ綺麗になりましたね。
1枚初動も5枚なので50%で可能、悪く無い数値。
これならこのまま実戦に持っていっても……
40枚のうち8枚の誘発を引ける確率は69%、2枚引きは25%です。今の環境でうららや泡影1枚で止まる可能性は低く、その上で3割の確率で後攻の時に無抵抗となるのはカジュアル卓ならばまだしも競技卓に座る前提での構築としては及第点とは行かない様に感じます。
また、この構築ではヴァルモニカ側の貫通や初動となるインヴィターレとヴェルサーレの枚数も抑えてます。
これによりデモンスミスパーツを引けなかった際に2枚初動が成立する可能性や貫通力などもこれまでの純モニカと比べて改善されていない状態なので「先行時で相手が誘発を引いてなかった場合」のみ勝率を上げることに成功している構築の様に感じます。
元より20枚ほどの枠をメインパーツとして必要とするヴァルモニカは5〜6枚の出張スミスパーツでもかなり重く、キュリオスルート用の2枚を追加するといよいよ誘発枠の捻出すら厳しくなってしまいます。
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アグヌスルートのみ
架け橋パーツを抜き、キュリオスルートを断念すると誘発は10枚。デモンスミス本人を2枚にしヴェルサーレも1枚にすれば12枠でひとまず及第点になりそうです。
EXの枠も特に問題なくデッキとしては纏まりは良さそうに見えます。
ここまでで組んだ他のプランに比べるとかなり戦えそうなデッキには見えますし多分それなりには勝てると思います。
要するに、現状のデモニカはデモンスミスパーツによる初動の強化を色濃く出そうとするほどEXやメインデッキが圧迫されてしまいデッキの対応力が下がってしまう。
かと言って、デモンスミスパーツ自体のパワーが高過ぎるため使わない理由が無い。
中途半端に両立させようとすると強いパーツをあえて弱く使う構築になる。
といったジレンマを抱えている状況です。
■50枚デモニカの解説
長い前座はここまで、本編スタートです。
プランEとして紹介した構築は自分が発売前までで仮組みして回していたものなのですが、正直納得いってなかったので悶々としていました。
良い解決案も思いつかず、気分転換にEDH用のデッキを1人回ししていた時の事です。
「100枚デッキで枠悩むんだから40枚で綺麗に出来るわけ無いか〜……枚数増やせば良いのでは?」
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この記事を書いている現在、筆者が使用しているレシピがこちら。
50枚デモンスミスヴァルモニカです。
直近の公認では
シングル戦:7-3
マッチ戦:9-4
割と良い感じに勝ち越せている様には思います。
●なんで50枚?
デッキとしてはプランEではなくプランD(アグヌス+キュリオス)をベースにしつつ、足りていなかった誘発とモニカードを水増ししています。
枚数を増やす事で起きるのは「特定の1枚を引く可能性が下がる」事です。
よく勘違いされる「事故りやすくなる」と言うのはそもそもデッキ内に展開の始動となるカードが少なかったり、特定の組み合わせでないと動けないデッキで発生する事象です。
デモンスミスパーツによる初動の組み合わせ増加および1枚初動が増えたヴァルモニカにとっては枚数を増やす事によって40枚の時は過剰気味だった初動率を若干下げる代わりに
・誘発を引ける確率増加(84%で1枚、47%で2枚)
・同名モニカード合わせ引き事故の軽減
・架け橋ギミック素引き事故軽減
これらを達成した上で42%の確率で1枚初動が可能となってます。
2枚初動の組み合わせも非常に多く初動+1誘発が揃いつつ追加の貫通札or2枚目以降の誘発を握っている初手になりやすい作りになってます。
●メインパーツの解説
・ヴァルモニカモンスター9枚
・聲選機、シェルタ3枚、律動1枚
・デモンスミスおよびそのコンボパーツ
ここは文句ないと思うので割愛
・インヴィターレ、ヴェルサーレ3枚
ヴァルモニカ側の2枚初動の水増しとして投入しています。ヴァルモニカ魔法は素引きするほど貫通札になるため増やす事のデメリットは同名重ね引き時に困る事が主な悩みポイントだったのですがデッキ総数を増やした結果この欠点もマイルドになってます。
インヴィターレはアグヌスルートを採用しているため素引き時の貫通札としてはかなり強力。
ヴェルサーレもトラクトゥスからデモーネサーチしてスケールセットしやすいので理想初動として機能してくれる可能性が高く、貫通札としてアグヌスルートの補助としても活躍してくれます。
・フワロス3枚
Gを引ける確率が下がっているので水増しとしては必須ですね。☆4なので先行でもP召喚に巻き込んで使えるのが丁度良いです。
・ドロバ、ヴェーラー、ニビル
ピン挿し誘発です、誘発として仕事もしつつ指名者で撃ち返す用の人選になってます。
●EX枠の解説
・ビュート、アグヌス
アグヌスルート用のパーツですね。
ビュートの効果は基本使わないのですがアグヌスの打点アップ効果はこれまでデュガレスが担っていた2500以上の守備表示モンスターが突破出来ない問題を解決してくれている点も具合が良いです
・ウーサ
展開中にニビルケアする+対ユベル戦で手札からのスピリットユベル登場ケアする為のカードです。
おそらくこのカードが唯一の自由枠なので環境によって今後も変わりそうな枠だと思います。
入れたいカードとしては
・深淵に潜む者
→対炎系への墓地対策、超欲しい
・バグースカ2枚目
→試合がもつれた時用、お世話になった記憶も多いので入れたい
・ディエスイレ
→リソース戦で強い、サイド戦で拮抗対策になる点も強い
●サイドの解説
・神宣3枚
・エレディターレ
相変わらず盤面の硬さは折り紙付きなのでこれを返す用の拮抗や結界波、最近だと心変わりなんかを止めるためのカードです。
50枚になった事で以前より神宣を素引きできる確率が下がってしまったのですが、新規追加されたエレディターレはサーチ権が余った時などにアクセス出来るので今回の構築の場合かなり具合が良いです。
直近の試合でも何度か活躍しておりかなり採用優先度の高いサイドカードの様に感じています。
・大嵐
・一滴
・コズミックサイクロン
一般的な採用理由の他に今シーズンでは高いパワーを誇るスネークアイ系対面で誘発を投げたらPゾーンに埋められた問題を解決できるカードです。
フワロスGを撃ってもPスケールさえ埋められれば問題ないとして強気に展開進める人も多く今期は特に意識しておきたい対面です。
一滴に関しては増やして良いとまで思ってます。
・冥王結界波
元はユベル戦のために入れていたのですがシェアが減ってしまい減らそうか迷っている枠です。
また、使用する際は深淵で墓地対策までしたうえでジュラルメで盤面処理→相手ターンに再度深淵起動してリソースを枯らしてターン往復で勝率を目指したいので入れるにしても深淵とセットにしたいと今は考えています。
●実戦を通して
・勝負の決め手はフワロスG
現在の環境においてフワロスGの2種の誘発による影響は大きくこれを引けるかor止められるかは勝敗に大きく関わります。
普通の40枚デッキの場合6枚入れているカードを初手で引くのは57%、これは後手でフワロスGを低確率であり先行でこれを弾くうらら指名者を低確率でもあります。
一方でこちらの50枚構築だと6枚のカードから1枚を引く確率は48%なので若干劣ってしまいます。
とは言え2戦に1回引けるなら許容でしょうか。
確率の話も大事ですが肝心なのはこれだけフワロスGを引かれてある可能性が高いので展開する際はスミスから1枚初動ルートを始めるよりもヴァルモニカ2枚初動からのスタートを優先しつつ、どうしても動けない場合や貫通札としてスミスパーツを使う方が良さそうという話ですね。
・アグヌスルートが非常に強力
貫通パターンとしてアグヌスルートが実戦では非常に便利でした。
シェルタを打ったが止められた時などでもビュートさえ作れれば貫通になったり、ヴェルサーレの貫通パーツとしての役割りが増えたりと新規の追加による恩恵をかなり感じる強化ポイントだったと思います。
バグースカが居ないと言うのは少し心細いですが、律動+ゼブフェーラの構えだけでもしっかり強いのでかなり助けられた場面は多いです。
・エレディターレは強い
先行サイチェン時のエレディターレはかなり強く感じました。
2枚初動の組み合わせに加え貫通となる3種目のモニカード引き込みは現実的に発生しますし、相手が誘発よりも捲り札を優先したサイチェンをした場合貫通用のパーツは無駄サーチとなっていた事もこれまでは多かったです。
この無駄サーチ分が相手が握っている捲り札対策に変わるのでかなり救われた試合は多かった印象でした。
特に、天盃龍戦なんかでは基本的にゼブフェバグースカを突破出来るのは一滴だけなので構えている時の安心感は非常に高かったです。
とは言え、律動よりも優先するカードでは無いのでサーチは墓地もしくは手札に律動をキープ出来た後というのは徹底した方が良さそうです。
・初動パターンは思っていたより多い
聲+ルリーの様な手札も初動となるため最初に想定していたよりも初動率はかなり安定している印象でした。
手札としても汎用札揃いの様などのデッキでも発生しうる事故手札とかで無ければラクリモーサ+架け橋の様なよく分からん手札ですら初動として成立してしまう程なので対戦していて既存の純ヴァルモニカの様な誘発無いのに初動不成立の様な事態はほぼ発生しなかった様に感じています。
まだ調整中の構築故にフワフワした内容になってしまいましたが感触は良さげなので今期はひとまずこの構築でプレーしていく予定です。
来月なりシーズン終わり頃なりでこの構築の振り返り記事を書く時にはもうちょい中身のある話をかけると思いたいですね。
お し ま い