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LUFFという花屋ができるまで 第4話<会社辞めます>

前回までのあらすじ
花屋になって必死の努力をした結果、それなりに力がついてきました。
生意気にもなってきました(なったというか元々生意気)

これから順調に仕事をしていくわけですが…


前述の通り、順調に仕事をしています。

私は結婚式場やホテルでウエディング会場を飾る花を作ったり、そもそもどんな花で会場を飾るのかということを新郎新婦と打ち合わせしたり。

ウエディングの仕事は何より責任が重大。
自分が担当した式の日は、毎回プレッシャーと緊張でヒリヒリしていました。

仕事はやりがいもあるし楽しいし、素晴らしいことなんだけど、本当にウエディングプランナーなんてならなくて良かったなと今になって思います。
あんなプレッシャー浴び続けるのは私の性格的に不可です。すぐ参っちゃうと思う。

たくさんのカップルのお手伝いをしてきたし、今でも心残っている日もあるくらいとても素晴らしい仕事でした。
でももうちょっとイヤ。緊張感がもうちょっと無理です。


そうこうしているうちに時は流れ、6年くらいですかね?7年だったかな?
日々一生懸命に仕事はしてました。

前回第3話で書いた通り、花のデザインやアートな方面に憧れを抱いていた私は仕事の傍らコンテスト?大会?(なんて読んだらいいかわかんないけど、そういうの)に出展したりもし始めました。

いくつかのコンテストで入賞したり賞をもらったり、ちょいちょい活躍をしたりして、『なんかやれるかも。やれてきてるかも。カモかもカモン。』と、いい感じだったのです。

例の憧れのデザイナーが以前優勝した、一番大きな大会にも会社の代表で出場させてもらうことになり、当時の私は『これはキタでしょ。敷かれたレールの上に乗ったでしょ。栄光へと続いてるレールの上にさ!』と思ったりしてたわけです。
(結局その大会は予選を通過したのですが<同じ会社からは一人しか決勝に出れない>という謎ルールがあったため、もう一人一緒に出場していた大分先輩(部署は違えど大分上司)が決勝に行き、私は決勝には出れず…)

まぁそんなこんなで、いいこと8 :やなこと2とかそんな割合で順調にやっていました。


でも嫌なことって重なったりするじゃないですか?
それは本当に神様が嫌なことを私めがけて乱れ打ちしてきてるのかもしれないし、ただの日常的な出来事をネガティブに受け止めてるだけかもしれないけれど、どっちにしてもそういう気持ちの時ってあるじゃないですか。

何やってもうまくいかない。
悪い面ばっかり見てしまう。
この世界の全員が自分の敵なんじゃないかと思ってしまう。
いっそ全てを壊して新しい世界を創ろうではないか!

誰でも大なり小なりそういう事ってありますよね?

花のデザインが〜、アーティースティックな〜とか夢中になっていた私ですが、そんな私にも(別にここに書くほどのことじゃない様な)程度の低い<嫌な事>が続いた時期があって、ある時ふと
「なんのためにやってんだろ」
とスーッと熱が冷めてしまった日がありました。

コンテストとかには以前からちょっと疑問に思っていた部分もあったのですが、それがある時を境にふわーと膨らんできてパチンと弾けたみたいに、急に醒めてしまったのです。

コンテストにしても、なんだか<選ばれるための作品>ばかりが増えてきて、それに寄せてしまう自分にも気づいてきたりして。
なんだか全部同じに見えてきてしまった。

そういうのに対して、なんとなく蜘蛛の糸のような嫌悪感を感じてしまったのです。
甘いキャンディに整列しながら群がる蟻みたいに、結局みんな飴ちゃんが欲しくてみんな同じようなことをして。

「こんなことして意味あんの?」
と思ってしまったんですね。

自由であるはずの表現が、評価されるために均されて同じ様なものばかりになって。
自然の理ではあるけど、なんだかすごくつまらない気がしてしまって、一度そう思ったらそれを拭うことができず「もうやーめた」と。


こうやって書いてるとなんだかネガティブなことがきっかけで会社を辞めたような雰囲気でてますが、私の心情としては特別ネガティブなことはなく、「花の仕事をしていくなら、ここだけの事しか知らない人にはなりたくない」、もっと多くのことを見てみたい。
そういうのが一番大きなことだったと思います。

もちろん「こんなクソ会社やってられるかコラ!」ですとか「まじアイツ消えて無くならないかなマジうざい!」というようなことも幾度もございましたが、ある程度はそういうのありますもんね?どこでも。
「なんなの、アイツまじでなんなの!あ”ぁ”ー!ゴラァーーー!!」とか。


いい会社でした。
一緒に働いてくれた仲間たちは今でも好きです。
何にもわからないド素人の私を自分の足で立てる様に育ててくれた。
諸先輩方や会社にはそれだけでも感謝をしきれません。

本当にお世話になったと思うし、可愛がってもらったと思う。
私の花屋人生の始まりの場所。
今でも、そしてこれからもずっと感謝しています。

エースが抜けちゃってごめんね。


こうして勤めていた会社を辞めました。
言い忘れていましたが、辞めた後のことなど何も考えていませんでした。(若いっていいですね)

この時、28歳だったかな。
あとさき考えず仕事をやめ、少しばかり旅行をしたりしました。

このあとどうなるんでしょうね。

続きは第5話で。

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