山は動かない。
遠くの山々は、薄藍を帯び
雲は足早に去っていく。
リフトには客が乗り降りし
頂上付近では熊よけの鈴を鳴らして歩く登山者がいた。
ウサギやイノシシがいるのかなと
紅葉が進んでいる雑木林を見て思った。
風は少し強い。
じっと見渡し、遠くの山は何山なんだろうとスマホで確認する。
もしかしたら、あの山の麓までいったことがあるかも。
周囲には椅子に座って休憩をする人や家族連れがいた。
普段と変わりない会話をしていて
スマホでどこかに仕事の指示をしている人もいた。
頂上付近から見渡す山々の稜線、頂を見て
山は動かないと思った。
当然、動かない。
動くことはない。
山の頂に私は日常を感じることはなかった。
非日常を
動くことはない山々が映し出す。
広く、見渡しても何も変化はないのだけれど。
自分で撮影