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経木を作ることに決めた話(1)

小島さんからのご提案

こんにちは。
福島県只見町で経木を作っている目黒です。前回は経木の現状についての話でしたが、今回はぼくが経木に出会ったきっかけをお話ししたいと思います。

2019年2月末、ぼくのもとに1通のメッセージが届きました。
送り主は小島さん。小島さんは渓流釣りが好きな東京の人で、春は山菜、秋はキノコとしょっちゅう只見へ来ている中で知り合いました。
メッセージには「自然豊かな只見でこんなことはできないか?」というアイディアが書かれており、そのいくつかの案の中に経木の話がありました。
山や川へ遊びに行くとき、お弁当やおにぎりをプラスチックの器やラップに包んで持っていくことに小島さんは疑問を感じていたそうです。
「山や川に捨てられてしまうプラスチックごみを減らすため、経木を活用してはどうか?」というものでした。

なるほどなるほど、経木ですか。
でもなんだろう経木って???

小島さんからのメッセージには、「街で作ったプラスチックを街の人が山へ持ち込むという今の流れを、山村で生産した経木を街の人が買って、それにおにぎりを包んで、山や川へ遊びにいくという形に変えることができれば、田舎と都会の関係が、今よりは少しよくなりますよね」と書いてありました。
ぼくはこの瞬間まで経木というものをまったく知りませんでした。
しかし、ネットで調べてみると小島さんの言う通りで、経木でプラスチックごみ削減に貢献できる可能性が感じられました。
「経木っていいですね!」と返信すると、 「ぜひ只見に経木の生産拠点を作ってください!」とすぐに返信がありました。

経木を作ってください!?

まさかの提案でした。
ぼくは小さな組立工場を経営しています。
吹けば飛ぶような小さな工場で、事業内容はハンダ付けしたりするような細かな電子機器の組立です。
経木のような木材加工は門外漢でまるで経験がない。
作ってくれと言われても。。。

弊社


でもなー、経木いいよなー。これから絶対必要だよなー。きっと只見らしくていいよなー。どうすれば出来るんだろう?

いつの間にかぼくの気持ちは経木を作るほうに向いていきます。
ちょうど組立の注文が減ることは決まっていて、工場がひとつ空くことになっていた時期。
空いた工場で経木作れたらラッキーじゃね??
軽い気持ちで経木についてリサーチを始めました。

リサーチを始めてはみたものの

リサーチを始めてすぐにわかったことは、もはや経木はほとんど流通していないという事実。 前回も書いたように経木はプラスチック包装材に駆逐され、業界は右肩下がり。
ここに今から新規参入しようなんてどうかしてるな、と我ながら笑ってしまったのでした。

さらには作り方。これが、知れば知るほどに難しい。

そもそも木を薄く削るにはどうすればいいのか。 普通に考えればカンナだけど、まさか手作業で?? きっとなにか効率の良いやり方があるはず。 今はいい時代ですね、YouTubeで「経木」と検索したら動画が出てきました。

なにやら大きな機械がガッシャンガッシャン動いて経木を作っています。
これかー、この機械が要るのかー。古そうだなー。さすがにこれは売ってねえよなぁ。。。 と、早々に挫折。

膨らんだ夢はしぼみ、現実なんてこんなものよと小石を蹴飛ばす日々。
諦めモードになりつつも、やはり気になって、経木事情のリサーチは細々と続けていたのです。

かつて経木の生産拠点が多かったのは群馬県でした。
長野県の赤松を群馬県で経木に加工し、一大消費地であった東京へ卸す、この流通が太かったため群馬県には生産拠点が多かったようです。
YouTubeで見つけた動画も群馬県の工場でした。
動画をリピートするうちに見学くらいはしてみたいな、と思うようになります。

現場を見に行こう

しかし見せてくれるだろうか。
老舗メーカーということもあり、軽い気持ちで訪ねてはいけないような気もします。 できれば新規参入された立場の方にお話を聞いてみたいけど、そんな人いる??

そう思って調べてみると、なんと宮城県南三陸町で経木を始めた方がいらっしゃるとのこと。 さっそくフェイスブックを通じて問い合わせてみたところ、会ってくださることに!つくづくいい時代ですね。

その後は、実際にお会いしてお話を伺うことになったのですが、ここからまた思わぬ展開が待ち受けていたのです。
一体何が起こったのでしょうか?

続きは次回の講釈で。

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