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毎日投稿『心のかばんを開いた日』12話目NO.51
毎日の物語。
『人の物語からヒントを学ぶ』
早速、始めましょう。
信号が青に変わる。
だけど・・・
彼女は足を踏み出せなかった。
遥は、会社帰りの交差点で
立ち止まっていた。
目の前には帰路へと続く道。
今日の職場での出来事が
彼女の頭を離れなかった。
「どうして私ばっかり……」
今日、
上司から理不尽な叱責を受けた。
確かにミスをしたのは事実。
でも、
彼の言い方はあまりにも冷たく、
周囲の同僚たちが見ている前で
指摘されるのは、
遥の心を深く傷つけた。
彼女は自分でも自分を責めて、
何度も心の中で
「私が悪い」と
繰り返していた。
けれど、
時間が経つにつれて
「あんな言い方をする
上司が悪いのでは?」という
気持ちも湧き上がる。
どちらが正しいのか、
ごちゃごちゃして
分からなくなっていた。
自分の気持ちが揺れ動くたびに、
答えのない問いを
延々と繰り返してしまう。
家に帰ると、
ソファに倒れ込んだ。
天井を見つめながら、
ため息をつく。
そんな時、
ふと目に入ったのは、
本棚の隅に置かれた
一冊のノートだ。
それは、数年前、
学生時代に親友の麻美から、
もらったものだった。
『自分の心のカバンを
開いてみるといいよ』
麻美はそう言って、
遥にこのノートを渡した。
「かばん?」と不思議そうに
聞き返した私に、
麻美は微笑みながら言った。
「ほら、私たちって、
いろんな経験や感情を
心の中に詰め込んでるでしょ?」
「だから、かばん‼️」
「心のかばん」
「その中には大切なモノも、
いらないモノも
たくさん入れてるの」
「重い荷物を持ちすぎてると、
どんどん動けなくなるでしょ」
「心もそう」
「だから、時々かばんの中を
整理してみるといいんだよ」
遥はノートを手に取り、
ページをめくる。
そこには、かつて自分が書いた
言葉が並んでいた。
『またミスをした。私はダメな人間だ』
『友達に言いたい事が言えなかった』
『なんであの人はいつも
私を見下したように話すんだろう』
『もっと自分の意見を言いたいのに、
怖くて言えない』
改めて見返すと、
自分がどれだけネガティブな感情を
ため込んでいたのか判った。
そして、
麻美が言っていた
「かばん」の話を思い出した。
今日の出来事も、
自分の「かばんの中身」が
ネガティヴばっかりだから、
影響していたかも?
遥は職場の同僚・斉藤の顔を
思い浮かべた。
彼は遥と違い、
上司に叱責されてもすぐに切り替え、
気にしていないように見える。
むしろ
「次から気をつければいいですね」と
前向きだった。
「どうして私は斉藤さんみたいに
なれないんだろう?」
答えは、間違いなく
「かばんの中身」にある⁈
遥は幼い頃から
「失敗してはいけない」と
強く思い込んでいた。
親は厳しく、
テストで間違えると
「もっと努力しなさい」と叱られた。
だから、ミスをする度に、
「私はダメな人間だ」と
考えてしまう癖になっていたのだ。
そしてもう一つ、
彼女は気づいた。
「私、上司を嫌ってるけど……
もしかして、自分の中にも
同じ部分があるのかも」
上司の冷たい言い方に傷ついていた。
でも、遥もまた心の中で、
自分に対して厳しい言葉を
投げ続けていた。
「こんなミスをするなんて」
「なんで私はもっとしっかり
できないんだ」……そうやって、
自分自身を責めていた。
「そうか……だから、
上司の言葉があんなに辛かったんだ」
もし自分がもっと優しく
自分と向き合えたら?
もしミスをした時、
「これも経験の一つ」と思えたら?
遥はゆっくりとノートを閉じた。
次の日、
職場に向かう電車の中で、
彼女は心の中で小さく誓った。
「もう少し自分に優しくしてみよう。
ミスをしたって、それは学び。
次に改善したら大丈夫」
そして、昼休み。
上司と顔を合わせた時、
遥はこれまでとは違う気持ちで
彼を見れるようになっていた。
以前のような嫌悪感ではなく、
どこか冷静な目線で。
「上司も、もしかしたら
自分を責めてるのかもしれない」
そう思った時、心が軽くなった。
だって自分だけじゃないから。
私たちの人生は、
どこかにある「正解」ではなく、
私たちの中にある
「感情」なのかもしれない。
大切なのは、感情と向き合い、
自分自身を知ること。
心地良い気持ちを
持ち続けるコトが正解だと思った。
遥は、
少しずつ見ている景色が
変わった気がした。
彼女は自分の「心のかばん整理」を、
ようやく始めた。
その動きは、
ゆっくりと動き出している。
コレからは、
自分のネガティヴの感情よりも
心地良いという正解を
心のカバンに詰めていこう。
あなたのカバンには、
どんな感情が、ありますか❓
その感情は、
あなたの正解ですか❓
この話で、
どんなヒントを見つけました❓
何か掴んだ方は
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を贅沢にお願いします🙏
あなたの心のカバンを整理する
お助けの本がこちら・・・