自分が思うドイツ語が難しい理由。
Guten Tag!
日本語が世界で最も習得が難しい言語の1つであることは周知ですが、逆にその特異性ゆえにどの言語を学ぶにしてもハードルはかなり高いと思っています。
でも日本語の凄さは、キーボードなどの英語由来の言葉とかリュックサックなどのドイツ語由来の言葉など、現地の言葉をそのまま輸入できる点。カタカナって凄いですね。
今自分はドイツのど田舎のレストランで働いているため、従業員もお客さんも英語を話す人はほぼいません。となると有難いことに?片言でもドイツ語を話さざるを得ない状況になるので、改めてドイツ語の難しさをひしひしと感じております。
ということで、英語を長い間勉強していて感じるドイツ語の難しい理由を考えてみました。これから勉強する人の心をへし折ってしまいませんように。。
1、名詞に性が存在すること。
ドイツ語には男性名詞、女性名詞、中性名詞があります。これは他の言語にも当てはまりそうなシステムですが。
一番厄介なのは性の区別に規則性がないこと。つまり1つ1つ使っていく中で覚えていくしかなさそうです。とはいえ、フルーツは女性名詞が多いなどある程度の類似性はあります。あ、でもミカンなどは女性名詞ですが、林檎と桃だけは男性名詞になります(絶望)。これだけが例外らしいので安心してください(できない)。
2、英語でいうa、theが多過ぎること。
ドイツ語では、上記のような名詞の性に伴って直前につける冠詞などが変化します。つまり、下の図の通り。英語でいうa、theとかだけならまだ良いんですけど、myとかyourなどの所有格、さらには形容詞まで変化します。
ただ、有難いのはそれらの変化の形自体は冠詞、所有格、形容詞でほぼ同じこと。まぁ、男性弱変化とかいって語尾が変わるとか例外的なルールはあるんですけどね(絶望)
ドイツ語のこの変化は日本語でいう「はのにを」に相当するのでこれを間違えると意味が変わってしまいます。英語は単語同士の順番とかが合っていればある程度意味は伝わりそうですが。
そういう点ではドイツ語は日本語に似ているのかもしれません。こんなにドイツ語の格変化を考えるので必死なんだから日本語を話す外国人には尊敬しかありません。日本語は絶対に外国語として学びたくないですね。
3、文構造と順番の変化が特別であること。
ドイツ語の大原則ルールとして「活用する品詞は必ず二番目に来る」というものがあります。つまり下記のように英語と同じようにはいかないということ。
英語だったら、
He comes tomorrow.
Tomorrow he comes.
のように強調するものが前に来ても「he comes」の順番は変わることはありません。
が、ドイツ語では、
Er kommt morgen.
Morgen kommt er.
という具合に「kommt(原型はkommen)」は必ず二番目に来るので順番が入れ替わります。
そのまま日本語に置き換えてみると「彼は 来る 明日」「明日 来る 彼は」と動詞が意地でも中央を位置取る形となります。物理的に自己中心的です。
英語の順に慣れているといざドイツ語を話そうとすると混乱してきます。言い換えれば語順の自由度が高いとポジティブに言うこともできそうですが、
I play football.
が、動詞の位置さえ合ってれば
Ich spiele Fuẞball.
でも良いし、
Fuẞball spiele ich.
でも良いよと言われてもって感じ。違和感。
4、会話上での過去は現在完了形で表すこと。
ドイツ語には英語と同じように過去形も現在完了形もありますが、過去形は文章中、現在完了は会話で使われることがほとんどです。
なので英語のようにhaveの過去形はhadだから「持っていた=had」だなんて簡単にはいきません。ドイツ会話では「持っていた=haben gehabt(英語でいうとhave had)」です。
さらに英語では現在完了系を作るにはhaveを使いますが、ドイツ語ではsein動詞(英語でいうBe動詞)かhaben(英語でいうhave)を使います。
使い分けは、場所の移動と状態の変化を伴う動詞の場合はsein動詞、それ以外はhaben。
例えば
「今日フランクフルトに行ってきました。」
は移動を含むので
「Heute bin ich nach Frankfurt gefahren.」です。
→binは主語がIchの際のsein動詞の変化形です。これを見ても動詞が必ず二番目に来て「Ich bin」の順が反転しているのが分かります。
「もう夜ご飯は食べました。」
は移動していないので
「Ich habe schon zu Abend gegessen.」です。
→essen(eat)にgeだけつけたら言いにくいからもう1つgをつけてgegessen。言語っぽいですね。
5、1つのワードが長過ぎること。
ドイツ人の創造性故なのか、ドイツ語には一単語が長い単語が多い。というのもドイツ語では例えば「s」を使えば半永久的に?単語を繋げていけるらしいので初見殺しな単語が数多く存在します。でも結局は簡単な単語を繋げているだけなのでよく見れば読めるなんてことも多いです。
例えば
「誕生日」はドイツ語で「Geburtstag」で、Geburt「出生」とTag「日」がsで繋がれています。
ワーホリビザを申請するために行く「外国人局」はドイツ語で「Ausländerbehörde」ですが、ausは外を、länderの元の形であるLandは国を意味するのでAusländerは外国人を、Behördeは当局全般を意味します。
Baustelleneinrichtungsplan「建築現場設置計画」なんてものもある。これを書いていて思いましたが日本語も大概ですね。
単語が長いドイツ語ですが、アルファベット系の言語は文章になると単語同士の間が空くので、その点ではその隙間すらない日本語とか中国語って恐ろしい。
6、発音は一部難しい。
比較的ドイツ語は発音が簡単らしいですが、英語のアルファベット以外にä、ö、ü、ẞといった文字があり発音も変わります。あとはRの喉を鳴らすような発音は意識しないとできません。
自分は最近までshön(=nice)とshon(=already)の発音の違いを全く区別できませんでした。
これらを使いこなして難なく話しているドイツ話者達が理解できないですが、日本語話者もそう思われているでしょうね。
日本語にはない違いだからこそそれに適応するのが大変ですが、ドイツ人は皆優しいので上記のような小さな違いなんか気にしません。名詞の性を覚えるのが大変だという話をしたら「Egal, Egal(気にしないよ)」と励まされました。
因みにegalというドイツ語は英語でいうequalであり、2つの事象がイコールなら確かに「気にならない」よな、と妙に納得して絶対に忘れられない単語になりました。
言語なんてそんなもんでジェスチャーやら状況やらを駆使して伝えて相手がそれを汲み取ってくれればいいんです。とは言いますが、これは結局こちらが話す場合であって、相手の話すのを聞く場合は単語も文法もそれなりに知らないと厳しいです。
翻訳ツールがあって言語を勉強しなくてもその国で生活することはできる時代ですが、やっぱりその国の言語で話す方が喜ばれる気がします。
今回色々と調べていて目に止まったのが「ドイツ語は書き言葉として派生してきた」という説。これが同じゲルマン系の英語とは違った文法と難しさの原因なのかもしれません。
皆さんがドイツ語に興味を持つきっかけとなりますように。
Tschüss!