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車中生活20日目 ― 朝の暖かさと自由の定義


薄曇りの朝。フロントガラス越しに見える街の景色は、どこかぼんやりとしている。車内はいつも通りの狭い空間だが、寝袋の中で温もりを感じながら目を覚ます瞬間は、家にいた頃よりも心地よいとすら思える。人は変化に慣れる生き物なのだろうか。それとも、これは自由への新しい形なのだろうか。


「車中生活は自由だ」と言い切る人もいるが、僕にはまだその答えが出ていない。自由と不自由の境目が揺らぐ中で、僕なりの車中生活のメリットとデメリットが浮き彫りになってきた。


固定費の呪縛から解放されて


車中生活の最大のメリット、それは「固定費の節約」。

家に住んでいた頃は、毎月当たり前のように支払っていた家賃や光熱費。これが僕にとってどれほどの重荷だったか、いま改めて実感している。毎月の請求書を目にするたびに溜息をついていた日々から解放されたことは、この生活を選んだ一番の理由だ。


移動の自由もまた、車中生活の魅力のひとつだ。どこにでも行ける。行きたい場所で目を覚まし、見知らぬ景色を眺めながら朝を迎える。それだけで少しだけ気持ちが軽くなる。


不自由との折り合い


しかし、自由の裏側には当然、不自由がつきまとう。

「食費がかさむ」という現実は、冷蔵庫もキッチンもない生活では避けられない。保存の効くインスタント食品や缶詰を頼りにする日々だが、それでも家にいた頃よりも食費が増えた気がする。そして何より「お風呂問題」。電気が限られる車中生活では、シャワーさえも贅沢なものだ。


同じ場所にずっといられないのも難点だ。車中生活をしている者にとって、一つの場所に居続けることはリスクが伴う。誰かの目が気になり、気持ちが落ち着かない。そういった不自由さが、この生活の現実だ。


それでも得るものがある


デメリットのほうが多いかもしれない。それでも、僕はこの生活から何かを得ようとしている。


「本当に必要なものは何か」

「生きていくための最低限とは」

そんな問いを自分に投げかけながら、車内での暮らしを続けている。


少なくとも、家賃や光熱費の呪縛から解放されたことは僕にとって大きなメリットだ。自由を求めた結果、不自由も受け入れなければならない。それでも、固定費を気にせずに過ごせることが、この生活を選んだ僕の一つの「救い」になっている。



ランタンの明かりが揺れる車内で、今日も静かに夜が更けていく。自由と不自由の狭間で、僕は自分の居場所を見つけようとしている。答えはまだ出ない。それでも、これが僕の選んだ道だ。そして、明日もまた、この車の中で目を覚ます。


自由なのか、不自由なのか――それはきっと、僕がこの生活で何を得るかによって決まるのだろう。



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