【車中生活番外編】23歳の夜、不思議な体験
今日はいつもの車中生活の話ではありません。
少し趣向を変えて、僕が23歳のときに経験した、不思議で怖い体験をお話ししたいと思います。
【深夜に響く水音】
静寂に包まれた真夜中、23歳の頃の不思議な体験が、いまだに僕の記憶に鮮明に焼き付いている。
当時、僕は妻と幼い子供と三人で暮らしていた。その日は妻と子供が妻の実家へ遊びに行っており、家には僕一人。仕事を終えて帰宅した僕は、散らかったキッチンの流し台を横目に「明日片付ければいいか」と布団に倒れ込んだ。
そのまま眠りについてどれくらい経っただろう。突然、静かな夜に不釣り合いな音が耳に飛び込んできた。
――シャー……、カチャカチャ。
水の流れる音と、食器が触れ合う音だった。最初は「隣の部屋の音かな?」と思ったが、次第にそれが自分の家から聞こえていることに気づいた。
「まさか……水を出しっぱなしにしたのか?」
疑念が頭をよぎった次の瞬間、水が止まる音がして、部屋は再び静寂に戻った。その刹那、背筋に冷たいものが走った。
――キュッ。
確かに蛇口を閉める音がしたのだ。だが、それだけでは終わらなかった。今度はゆっくりとした足音がキッチンから聞こえてきたのだ。
コツ……コツ……。
その音は徐々に近づいてくる。僕のいる部屋に向かってくる気配を感じた瞬間、恐怖が全身を支配した。「このままでは危ない」と思ったが、体は硬直して動けない。足音は止まることなく迫り、僕の部屋の入り口まで来た瞬間――。
記憶が途切れた。
気がつくと朝だった。布団の中で目を覚ました僕は、昨夜の出来事が夢だったのか現実だったのか判断がつかなかった。ただ、心臓の鼓動は異様に速く、冷や汗が体中を流れていた。
恐る恐るキッチンに向かうと、昨夜そのままにしていた食器は洗われることなく、散らかったままだった。
「……なんだったんだ?」
いまだにあの出来事を説明する術はない。水音、食器の音、足音。あの恐怖感だけは鮮明に覚えている。
もしかしたら僕の疲れが見せた幻覚かもしれない。だが、あの感覚はどうしても現実のものだったように思えてならない。
明日も、もう一つ経験した話をしたいと思います。それが何なのか、ぜひ次回の記事をお楽しみに……。
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