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車中生活40日目――「僕はまだ家を必要としていない」

冷たい朝の空気が肌に触れる。
いつもの道の駅、見慣れた駐車場の片隅で目覚めるのもこれで40回目だ。
朝6時。まだ薄暗い空の下で、僕は車を出てトイレに向かう。いつものルーティンだ。
顔を洗い、歯を磨きながら鏡に映る自分を見て思う。「意外と悪くないな、この生活。」

午前:チラシ配りの道すがら考えたこと

午前中は仕事のチラシ配りだ。
三重の町を歩きながら、ポストにチラシを入れていく。これも大事な仕事だ。地道な努力が仕事を繋ぐことを、開業してから何度も実感している。

歩きながら考えていたのは、40日という数字だ。
「40日も車の中で生活できたんだな……」
驚きと安堵が入り混じった感情が胸を占める。

最初の数日は正直なところ不安だった。
「本当にこんな生活を続けられるのか?」
でもその不安は徐々に薄れていき、今ではすっかり慣れた。

昼:車の中での作業

午後はホームページの改善とブログの執筆作業に時間を費やした。
ワゴンRの後部座席を簡易オフィスに見立てて、ノートパソコンを広げる。
エンジンを切り、昼の日差しだけで暖を取ると、意外と快適だ。

昼食は近くのスーパーで買った弁当を車内で食べた。
「ここがリビングで、ここがダイニングか」と自嘲気味に笑う。
でも、自分の空間をどう使おうと自由だ。この小さな車の中は、僕の全ての居場所だ。

ホームページの改善に取り組むうち、気づけば午後の時間が過ぎていく。
ブログの文章にも力が入る。車中生活の日々を発信することで、誰かの役に立つなら、それもまたいい。

夜:道の駅で迎える晩餐

夜が来る頃、僕はいつもの「すき家」で牛丼を買った。
手にしたテイクアウトの袋がほんのり温かい。車に戻り、道の駅へ向かう。

道の駅の駐車場に着くと、まずカーテンを閉める。外の視線を遮断し、ランタンの灯りを点けると、車内に穏やかな明かりが広がった。
牛丼を頬張りながら、ふと考える。

「こんな生活、40日も続けられるなんて。」
本当に自分でも驚いている。最初は「一時的な生活のつもり」だった。
「どうせ途中で家を借りたくなるだろう」と思っていたのに、全くそんな気持ちにならない。

車中生活の自由と安心感

車中生活の魅力は「自由」と「安心感」に尽きる。
何より、毎月の固定費――家賃や光熱費のプレッシャーから解放されたことが、心の余裕を生んだ。
電気代やガス代の値上げがニュースになるたび、「自分はその波から外れている」と思うとホッとする。

「十分だな、今の生活で。」
そうつぶやきながら、ランタンの灯りを見つめる。この光は僕自身の決断の象徴だ。

40日という節目で見つめる未来

これから先、ずっと車中生活を続けるのかは分からない。
でも少なくとも、今は家を借りる理由が見つからない。
シンプルに暮らすことが、こんなにも心を軽くするなんて、以前の自分には想像もできなかった。

車のエンジンを切り、静まり返った夜の道の駅で深呼吸をする。
夜空を見上げると、月が僕を優しく見守っている気がした。

「40日目、お疲れ様。」
自分にそう言い聞かせながら、今日もワゴンRの中で眠りにつく。
明日もまた、新しい一日が始まる。

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