「疲れた日々の温もりを求めて」
朝7時、まだ眠気の残る目をこすりながらワゴンRの車内で目覚めた。冷たい空気が薄いカーテン越しにじわりと染み込んでくる。エンジンをかけると、わずかな振動が車内を包み、日常の始まりを告げていた。今日は早朝からの仕事だ。現場は山の方と聞いていたが、思った以上に冷え込むだろうと予想し、厚手のジャケットを着込んで車を走らせた。
現場に着いた頃には、太陽が少しずつ山々を照らし始めていたが、それでも空気は刺すように冷たい。吐く息は白く、手足の感覚が徐々に奪われていく。指先が凍りつくような寒さの中で、黙々と作業をこなした。時折、山から吹き下ろす冷たい風が身体を震わせる。寒さに耐える仕事はなかなか体力を奪う。
「これが終わったら、道の駅に戻ってホッとしよう」
そんな思いを胸に、昼も夜も休む暇なく働いた。結局、仕事が終わったのは19時過ぎだった。長い一日を終え、車に乗り込むと、ワゴンRの狭い空間がまるで自分の安息地のように感じられる。この瞬間が、今では何よりもほっとする時間になっている。
道の駅に戻り、いつもの駐車スペースに車を停める。カーテンを閉めると、そこはもう「僕の家」だ。冷たい外の世界を遮断してくれるこの空間が、今の僕にとっては何よりの安心感を与えてくれる場所だ。
夜の寒さは厳しさを増している。寒さに備えて、防寒用の寝袋に包まれるが、それでも身体が冷える夜がある。最近、頭に浮かぶのは「充電式の湯たんぽ」のことだ。あれを寝袋の中に入れておけば、もっと温かく眠れるかもしれない。少し値段が張るけど、今の生活には必要な投資かもしれないな、とぼんやりと考える。
疲れ切った身体を横たえると、静けさが心を包み込む。この場所に来るまでは、車の中での生活がこんなにも心の拠り所になるなんて思いもしなかった。確かに家ではないけれど、僕にとっては大切な「帰る場所」だ。
時計を見るとまだ21時を少し過ぎたところだが、今日は疲れているし、早めに休むことにした。寝袋に潜り込み、体を丸めると、外の冷たい空気が少しずつ遠のいていく。
これからもこの生活が続くと思うと、不安や心配は尽きない。それでも、この生活が僕に教えてくれるものがある。寒さの中でも温もりを見つける方法や、疲れた心を少しずつ癒す術。そんな些細なことを、一つひとつ乗り越えていくことで、きっと強くなれると信じている。
読んでくださった皆さん、もし僕の挑戦に共感していただけたら、応援していただけると本当に励みになります。この車の中から、また新しい一日をスタートさせる力をいただける気がします。