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現代になって振り返るポケモンカードGBと当時のポケモンカード

〇まえがき

任天堂がゲームボーイ(GB)を発売したのは1989年であり、2023年現在からすると実に34年も昔の話になる。
そんなGBを代表するゲームの一つは「ポケットモンスター」(ポケモン)だろうが、昔からポケモンに触れていた人の中には「ポケモンカードGB」の思い出を持っている人も少なくないだろう。

年数を鑑みるとGB時代のゲームはレトロゲームと言って差し支えないだろうが、今になってバーチャルコンソール(VC)での配信が始まったり、レトロゲーム時代のコンテンツに言及する記事をちらほらと見かけるようになってきた。
筆者もしばしば記録を漁ったり実際にVCに触れたりしているところであり、折角なので情報の整理がてら簡単に書いておくことにしたい。

○ポケモンカードGBとは?

1998年12月の年末商戦時期に発売されたゲームボーイカラー用ソフト。
1996年から発売されていた「ポケットモンスターカードゲーム」を題材とし、高いゲーム再現度、当時としては安定したAIの思考、充実したエフェクトやBGMなどを持つヒット作。
「ポケットモンスターカードゲーム」に関しては、本ゲームは第1弾~第3弾までのカードをほぼ収録(一部第1弾のマルマインなどは再現困難であったらしく未収録)している。

…なのだが、そもそも題材であった当時のポケモンカードゲーム自体は(現在と比べて)欠陥が多く、今になって冷静に振り帰ってみるとそのゲームバランス自体に関しては何もかも賛同できるものではないことに気づく。
人間は思い出を美化すると言われるが、当時のポケモンカードゲームに少しだけ触れたことがある筆者は当時この無茶苦茶さに全く気付けなかったこともあり、この手の話であまり触れられないツッコミどころについて少し書いておくことにした。

この記事をもってプレイするかを検討するなり、思い出話とするなりしてほしい。

〇以下ツッコミ点

1.一部のトンデモカードが強すぎ

まず大きな点として、個々のカード間でのバランスが取れておらず露骨に強力なカードが多い。

代表的なものとして、エネルギー・リムーブに関しては、ルール上1ターンに1度しか貼り付けできないエネルギーを、ノーコスト・ノーリスクで破壊できてしまう。もちろん連打も可能。
これに関しては当時プレイしていた人は使われるとイライラしたこと間違いなしである。

このカードの存在により、(おそらく)子どもウケのいいだろう「エネルギーを大量に必要とする2進化ポケモンの高火力技で勝つ」みたいなコンセプトよりも、エレブーやエビワラーのようなHPの高く少ないエネルギーで技が放てるたねポケモンで攻撃する方が安定して強いという状況を作り出していた。

1ターンの使用枚数制限もないトレーナーカードの中でも、デメリットもなく2枚ドローができるマサキや相手の手札のトレーナーカードをデッキに戻すミニスカートもかなり強力で、これらの強力なトレーナーカードを中心にデッキを構築していくのが基本であると言える。

これらのカードの強力さは公式も流石に認識することとなり、実際に現在のポケモンカードゲームではそれらと類似した性能のカードは1ターンに1枚しか使用できなくなったり、コイントスに成功する条件が必要になったりする形で調整されている。

また、ポケモン自体にも結構格差があり、例えばパラセクトとストライクを比較するとかなり悲惨。
1進化でHP60、逃げエネ1個のパラセクトに対し、ストライクはHP70、逃げエネゼロのたねポケモンでメイン技きりさくが被っており、挙句パラセクトにない抵抗力まで持っている。

他にもイワークLv12とベロリンガLv26も同じ体力でありながらメイン技にかなりの差があり、かなり使い勝手に差が出てしまっている。
勿論場にいるだけで進化を封じるプテラLv28や、弱点なしHP100でありながらエネルギー3個で70ダメージをたたき出すサンダーLv68などは飛びぬけて脅威。
…といった感じで、どうしても強いポケモン弱いポケモンが出てしまっている。(もっともこれはゲーム本編もそうだったが)

2.先攻が圧倒的に有利すぎ

当時のルールでは後攻プレイヤーがほぼ何もできない先攻の1ターン目に一切の行動制限がなかったことも特徴であり、これは現在のポケモンカードゲーム含め様々なカードゲームでは考えられない仕様である。

具体的には、先攻最初のターンでカードを引くことができ、トレーナーカードの使用にも一切の制限がなく、挙句ポケモンの攻撃技まで使用可能。
よって、最初のターンからマサキとオーキド博士を連打して手札を大量に稼ぎながら、突風で相手のたねポケモンを引きずり出してプラスパワーを使った果てにミニスカートで相手の手札からそれら強力なトレーナーカードを一方的に消滅させた後に攻撃するといった理不尽な立ち回りが可能。

ポケモンカードゲーム自体、相手のポケモンを倒すとサイドカードを手札に加えることができ、さらに有利になっていくルールであることも踏まえ、先攻側がかなり有利である。

なお、この点も現在のポケモンカードゲームでは先攻側に様々な制約が加えられる形でルールが変更されている。

3.CPUのデッキがあまり強くない

これは必ずしも問題点とは限らないが、CPUの使用するデッキは、エネルギーリムーブは勿論、マサキもオーキド博士の投入数も少なく、正直あまり強くない。
カードが集まるにつれ、これまでに述べたことを踏まえてトレーナーカードを中心とした強力なカードを使いデッキ構築していければ、敗北することはほとんどなくなっていく。
ただ、その難易度故に当時小学生低学年だった人達であっても難なくエンディングまで辿り着くことができただろうし、初心者でもカジュアルに楽しめるという点では評価できる。

〇おわりに

さて、散々言いたい放題書いてきたが、自覚的に認識した上でCPU相手に理不尽を叩きつけるのもそれはそれで面白いものである。
子どもの頃気づかなかったことに、大人になってから自覚的になり、何もかも分かった上で敢えて二周目を楽しむと言うのも、一興ではないだろうか。

人生にはやり直しはできないが、ゲームの世界はいくらでもやり直しは効くのだ。

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