トロツキー自伝1

安彦良和の乾と巽、虹色のトロツキーなどから連想して、吉本隆明が文学的感動を与える日記としてユング自伝とともに挙げるトロツキー自伝二分冊の1。以前から何度も読もうとして最初の幼年期の記述で挫折してきたことを思い出す。これはフレンチフェミニズムの第一世代モニク・ウィテッグの女ゲリラたちでフェミニスト宣言する前の賞を取った初めの作品で子どもの領分という本と同じで、そのまま回想されているので幼年期の記憶が無秩序にならんでいて意味がつかみにくい。学校に入るためあちこち点々とするあたりから急激に社会運動の波に飲み込まれすごい勢いでマルクス主義の活動家へと育ってゆく。はじめのゆるいテンポが消えてしまい、警察や軍の一部までが反体制活動家に味方する当時の事情がつかめてゆく。脱獄と亡命の日々にさらわれてゆく。執筆時のスターリンによる公式の歴史修正、隠蔽に対する反論、反証の意図も加えながら、2月革命の勃発したロシアに帰国しようとしてアメリカの強制収容所に足止めをくらわされるまでが1分冊。

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