介護報酬改定について、(いつも)感じることを含めて
介護報酬の見直しについて、概ね全体が見えてきました。
プラス改定と言われていますが、基本報酬が何気なく下げられているところもあります。
訪問介護の報酬
生活援助2(20分以上45分未満)が179単位になりました。
遡ってみると、かつては生活援助2(30分以上60分未満)が229単位、生活援助3(60分以上)が291単位だった時代がありましたが、随分と減ったもんです。
給付管理の枠外である処遇改善加算に置き換えることで、限度額管理に影響させずに利用者からの自己負担によって、介護職員の報酬を支えようということでしょうか。
訪問介護事業所は人件費割合が高いイメージがあります。
自分の知るところでは70%以上は人件費に充てられ、事業所自体の儲けが少ないところがたくさんありました。
コロナ禍の影響もあって、近隣でもいくつかの事業所がやりくりできずに閉鎖しています。
「全体で見て」プラスになるように帳尻を合わせたということですが、訪問介護事業はずっと報酬を下げられ続けているように感じます。特に訪問介護事業所は人手不足が深刻なので、正当な報酬を得られるようにして欲しいと思います。
介護報酬の改定は何のためか
膨らむ給付を抑えたい。だから算定の条件が厳しくなったり、報酬が減額されたりします。そして追加ルールがどんどん増えます。制度を維持させるために必要な事とはいえ、コストにだけ注目したような改定やルール設定を重ねてしまうと、制度の担い手もサービスを受ける側も使いにくいものになってしまわないか心配です。
同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント
居宅介護支援にも改定があります。ケアマネジャーの報酬に関わる部分ですが、その一つに「同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント」がありました。
これはいわゆる、同一建物減算ですね。
有料老人ホームなどに併設している居宅介護事業所は、入居者に対して訪問時間や書類作成が短いのだから、報酬をちょっと減らしましょう、と。
でもケアマネの仕事って、何も訪問や書類作成だけではないでしょう。地域との繋がりや社会資源の開発、避難援助、生活全般を支えるための他法との連携や調整など、いろいろあるものです。
施設に併設のケアマネジャーは相談員的な役割を担っている方もあり、施設案内、施設としての家族への連絡、病院からの入退院の連携など、在宅サービスとはまた違った動きが必要になります。ところがそれらは報酬としての評価には含まれないということなのですね。
だったらもうプランや書類だけパッと作って良しとしよう、なんて割り切ってしまうと、専門職としての質がどうなっていくことか。
目先の報酬改定ばかりに捉われない、持続可能な制度になるような見直しをお願いしたいものです。