デフレは抜けられるか。介護現場の利益と働き方を考える。
いよいよ新年度が始まります。
春闘では賃金アップの動きも見られ、株価も上昇しているようです。
日銀もマイナス金利政策を修了することを打ち出しました。
介護報酬も全体で1.59%のアップと謳われています。
介護従事者への処遇改善加算も手厚くなるとか。
上昇の気配が感じられますが、果たしてどうなることでしょうか。
案外減っている?
今、4月の利用票・提供票を見直しています。
当事業所で使用している介護ソフトは3月末にバージョンアップがあり
4月からの報酬が反映されるようになりました。
まだ、最終段階ではないようですが、概ねこの通りにいくのでしょう。
システム上では総合事業のサービス単位も変更されています。
各市町村からのサービスコードの発表はまだなようなので
総合事業の単位が正確なものなのか、現時点では把握できていません。
やはり訪問介護は報酬が下がっていることがよくわかります。
特に老人ホームに入居されている方にサービスを提供している事業所は
回数が多い分、明確に下がります。
総合事業では通所型独自サービスの「運動機能向上加算・225単位/月」が廃止になり、基本単価に含まれることになりました。
「事業所評価加算・120単位/月」も無くなります。
この二つを頑張って算定されていた事業所は大きな痛手ですね。
基本報酬が上がっても、無くなる加算分の点数の方が多いようで
手元の概算では、全体の点数が下がることになる事業所がほとんどでした。
まだ一部を見ているだけに過ぎませんが
結局、儲からないですよね、これ。
福祉は儲けてはいけないか
介護保険は社会保険であり、生活のセーフティネットの側面もあるため公共性が高く質の担保と公平性が大切なことはよくわかります。
しかし、民間事業者の参入を促し市場の競争原理を導入すると謳われた介護保険ですので、営利を目的とした価格競争や経営戦略が発生すること自体は悪くないはず。
だからこそ担い手となる事業所が増え、雇用が生まれたわけですから。
営利目的が過度になることが問題なわけで、利益が生まれないことには事業所が維持できず雇用も支えられなくなります。
現場が頑張っても報酬が下がるなら、最低限の作業だけこなしていれば良い。
あるいは人手不足の中で無理な業務配分を強いられていると、せっかく育った人材が辞めてしまい、まるで日替わりのように職員が入れ替わるような環境になる。
そうなってしまっては、サービスの質の低下を招きます。
適切に利益を得られるルール設定にしてもらわないと、働き手がいなくなり持続可能な制度ではなくなります。
福祉は自己犠牲を伴うか
最近では医療も介護もエッセンシャルワーカーと呼ばれることがあります。
生活に必要不可欠な仕事だということに異論はありませんが、
そこに潔癖性や自己犠牲の精神を求めらているのでしょうか。
そういえば医師の時間外労働の上限規制も始まるようですね。
今までは上限なく働くことができるという、
よくよく考えるととんでもない状況で働いていた医師がたくさんおられたんですね。
訪問介護や施設で働く介護士の方々やケアマネジャーも、いき過ぎた労働に陥らないようにしないといけません。
個人的には福祉や献身の精神は必要だと思っていますが、なんでもいき過ぎてはいけません。
ちゃんと利益も頂かないと。
2024年度、新たな年度が始まります。
今年は少し、やることが増えそうです。