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岐大生のための、外部大学院合格への現実的な戦略|受験編

はじめに

前回の学生生活編に引き続き、主に4年生の院試勉強期間についての話と、勉強法および対策法についてお話します。

※ 注意点

名古屋大学院工学研究科の入試情報に関する中でも一部「電気電子情報科専攻」特有のものである可能性に注意してください。

4年次から前日まで

|日程発表

その年度の募集要項は4月、遅いところは5月くらいに発表され入試日程が公開されます。つまり、大学間で日程がかぶるかがわかります

レアケースですが、少し私の体験を書いておきます。私は当初、名大名工大を受ける予定で、既に見学に行っていました。岐大は例年名大と日程がかぶるので、名大の滑り止めで岐大という選択肢はありません。
そして5月の日程開示で今年は名工大も日程が被ることが分かり、

  • 安定をとって名工大(≒TOEICに上限のない岐大レベル)

  • 内部推薦で岐大(上位2割なのでほぼ100%内部進学可能)

  • そのまま名大

  • 今から別の大学院の見学に行って併願

という選択肢が挙がりました。そして

  • 名工大を受けるならロボコン残れる岐大が良い(正直個人的に名工は研究環境も微妙だった)

  • 岐大推薦はしない(もう長距離通学は勘弁)

  • 併願もしない(今から見学には行きたくない)

という考えから、結果的に名大一本勝負にしました。

なお、最悪落ちた場合には、私は一浪して来年の夏の地方公務員試験を受け公務員になろうかなと考えたりしていました。そのほかにも選択肢はいくらでもありますので、下の記事などを参考にして頭の中にイメージしておくと良いでしょう。

|筆記試験の勉強を開始(4月)

「いつから本格的に勉強を始めるべきか?」
理想を言えば当然3年生から始めておくべきではありますが、現実問題そんなに時間を確保できないでしょう。
しかし、基本的にどこの大学も内部生は院試休みに入ってから始めるので7月からやる人が多く、外部進学ならそれより少し長めにあるいは日々の勉強時間密度を濃くするべきだと思います。
私は4月から毎日登下校中2時間ほど数学問題集を解いていました。

|出願:志望理由書作成(5月末)

受験勉強の最中ですが、5月末には推薦出願がありました。
推薦入試では学部時代の成績の提出と同時に、その評価制度を伝えるために所定書類の写しなどを用意するよう求められます。
その他、志望理由書の推敲にはかなり時間がかかるので十分余裕を持った準備をしましょう。

|院試休み期間(4年次7月~)

岐大院生の先輩は平日6時間くらいと言っていましたが、私は外部なので平日8時間勉強を死守するように近所の自習室にこもっていました。しかし、残念ながらこれだけやっても安心するレベルまで実力はつきませんでした。
当日の問題運に左右されず、確実に受かりたいと思うならこれ以上の受験勉強時間をかけた方が良いでしょう。実際ネットを見ると私の勉強量はあまり多くないとわかると思います。

試験当日(8月中旬~末)

|筆記試験

旧帝大院は2日間ありがちです。私は私服で行きました。内部生が9割なので意外とラフな環境です。

|面接

最終日にある、基本的に多対一の個人面接。一部グループ面接の所もある。
絶対にスーツで行きましょう。
ちなみに名大院工学科電気系専攻はこの面接時に暫定合否を伝えられたりします。このあたりは詳しく解説されているブログがあるので、ご紹介して割愛します。


実際に行った勉強・対策

ここからは実際に行った勉強法や対策法を述べていきます。長くなるので淡々と述べます。また、名大院工学研究科電気系電子専攻志望の人向けの少し詳細な補足情報は以下のPDFも参考にしてください。

|TOEIC対策&受験(3年次後期~4年次4月末)

730点までは単語力や文法力を鍛え、それ以降はひたすら模試を解きました。世間一般のTOEIC対策法と同じです。
単語文法力強化の教材はabceedです。

月額が高いのが難点ですが、外部院進学においては本当にTOEICはお金をかけるだけの価値があります。一問一答で継続しやすいほかブラウザでも使えるアプリなので、よく大学のPC室でもやりました。使用教材は金フレと文法特急。3か月 x 1時間ほど主に通学時間などにやりました。

模試は「TOEIC(R)テスト 新形式精選模試」を使いました。

JapanTimes出版が好きなのと、レイアウトが見やすかったからです。このシリーズはリスニングもありますが、私は特に弱かったリーディングだけをやりました。この教材は一冊を2周しましたが評判通りなかなかハードです。1か月 x 毎晩4時間これに費やしましたが、そのおかげでひと月で770→860まで行きました。
なお、860点というとよく驚かれますが、英語力の体感では770点と860点の差はほぼありません。単純に模試をやって試験慣れしたかどうかだけで、それによって解くスピードが15分くらい早くなる、それだけな気がします。

|内部の使用教科書について

これは内部生につてがないと情報を聞くのが難しいですが、院試勉強においては必須なので必ず調べておきましょう。シラバスが公開されている大学の場合はそこで検索するのもアリだとは思います。

|教科書復習と演習問題集を解く

さてTOEICの模試と並行して通学時間に学部時代の教科書復習や問題集を解いていました。使用問題集はチャート式微積・線形代数です。

この参考書は内容が網羅的で、過去問解くときの参照先としても非常に有用なため持っておいて損はないでしょう。
ただこのときまだ過去問を解いていなかったので、余計な範囲の勉強をしてしまい無駄が多かったため、この時点での演習はよくなかったと正直思っています。

|過去問20年分2周

過去問20年分解いた全ルーズリーフの厚み

院試期間に入った7月からは平日毎日ひたすら過去問を解いていました。研究室訪問で手にいれた過去問を「5年ごとに」「科目ごとに」区切って、解いては答え合わせ、わからなければ調べてノートにまとめを繰り返し、17年分 x 2周やりました。また、それが終わったら別で直近の3年分をもらって同じことをやり、そのころにはちょうど試験日7日前になりました。
十分な問題演習量を確保できたことと、モチベーションの維持がしやすかったのでこのやり方は結果的に良かったと思っています。…まぁ実際受かったので。

しかし、いくつかの点の問題を知っておきましょう。
1つは、年が10年違うと傾向が確実に変わっていることです。これは大学の講義担当教員が変わるからだと思いますが、このことは意識して取り組む必要があります。言い換えれば、直近の問題を後回しにすると、直近の傾向の対策が時間的におろそかになりやすいです。例えば名大院工学科電気系の問題は令和に入ってから専門試験が難化したりしています。
もう1つは、研究室からもらった解答があまりに少ないと効率が悪くなることです。私の場合は平成30年以降の過去問は解答が1つもなかったので、後回しにせざるを得なかったわけですね。

他にも勉強のやり方はいくつもあると思うので、早めに動いて早めに試行錯誤して自分に合ったやり方を見つけるのが絶対に良いと思います。

|履修不足科目補填

過去問を解きながら、完全に知識が不足している科目や習っていない分野を同時並行で勉強しました。私は量子力学と電気回路Ⅱの分布定数回路が全然わからなかったので、Amazonで本を探して勉強したり、YouTubeの講義動画で勉強したりしました。

|面接対策

一週間前には面接対策に取り組みました。
具体的には、志望理由書などを読み返しながら、想定される質問に対する回答例を準備します。

準備していた質問例

自己紹介(受験番号+名前+出身大学)
なぜ他大学院に来たのか
なぜ○○大学院に来たのか
なぜ○○研究室に入りたいのか
他に進学を検討した他大学院はあるか
併願先はあるか
大学院では何をしたいか
博士課程まで行くことは考えているか
学費や奨学金についてはどう考えているか
第一希望の研究室に配属できない場合はどうするか
大学で興味を持って学んだことは何か
大学時代の課外活動について
進学に向けて勉強していること
工学分野で最近気になっているニュース
卒研内容の説明(30秒尺と1分尺の2パターン)
志望動機(30秒尺と1分尺の2パターン)
大学院での研究計画について具体的に

また、可能であれば研究室の先輩などに面接練習を頼み、当日にむけて慣れておくのが良いと思いますが、今の時代ChatGPTがあるのでアプリで会話しながら面接シミュレーションをするのも効果的です。私は前日にそのように1時間ほど練習しました。


早めにやっておくと良いこと

今回の受験体験から早めにやっておくと良いこととして少しだけ補足しておきます。

|大学図書館の利用証発行

志望大学の使用教科書のうち、特に古い教科書は他の図書館などでは全然取り扱いがないことがあります。その場合、志望大学で閲覧・借りるのが良いのですがその場合には大体利用証が必要です。この利用証には発行に時間がかかりやすいため、早めに調べて手続きを行っておくとよいほか、院試期間には教科書は借りられやすいため早めに予約して確保しておくのが良いです。

|教科書の購入

人気の教科書でなかなか借りられない場合や長期期間使用したい場合は教科書の購入を早めに行いましょう。中古本は特に届くのに時間がかかるためなんなら4月に購入しても全然いいと思います。

おわりに

外部進学は大変か?

さまざまな理由で外部院進学を検討する人はいると思いますが、それと同じくらい「他大学を受験するのは大変そう」という理由で辞めてしまう人も多いと思います。やっぱり旧帝には勝てないといった劣等意識や大学受験の苦い経験がそれを後押ししがちなのも事実です。
実際、私も今回の受験体験を通してそのような気持ちを感じることは多くありました。名大に行けば岐大より何倍も広い敷地とその豊かな研究環境に唖然とし、院試勉強では学部時代の講義内容の差に自信を失いかけました。半年間、また院試浪人は絶対に嫌だと思うほどには本当に大変でした。

しかし、大学受験の大変さとは少し違いました。
勉強量でいえば院試はそんなに多くありません(東京一工を除く)。GPAが3あれば割と余裕でしょう。
つまるところ、大学院受験は自分の積極性との戦いなんですね。
高校が進学校出身なら大学受験はほぼ絶対するものですが、大学院進学は違います。別に就職しても普通に人生歩めるし、推薦で自大学院にそのまま残っても、同じ院卒です。院試だって、実際ほぼ筆記試験の得点で決まるので志望理由とか正直何でもよくて、研究室訪問も雑に済ませてもいいわけです。
それでもちゃんと研究室訪問して、長い志望理由書書いて、受験勉強する。やらなくてもいいことをやるのは精神的にとても大変です。
その精神的負担をモチベーションで保てるかどうか、それが境界だと思います。私の場合はなんだかんだ言って、結局名大に行きたかった。名大生になりたかった。それがモチベになったんだ思います。

とはいえ、受験に落ちたときの恐怖は知っていますので、安易に「院試挑戦してみようよ」とは言いません。
自分なりに今後の人生を考えて、自分らしい選択をしてほしいと思います。

では、よい岐大生活を!

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