中学生の頃の土踏まずの上の痛み。大人になってからも影響?「外脛骨障害」「有痛性外脛骨」名前の由来から、対処法まで。
ども、義肢装具士のゆうきちです。
季節の変わり目は体調に気をつけないといけないです。
子どもは特に。
さて、今回は足部の土踏まずの上の当たりに出てくる痛みについて
お話していきます。
この痛み、もともとなかったのに、革靴を履くようになったり
進学してちょっと通学距離が伸びたり
職場の環境が変わって立ち仕事が増えたり
そういったことで起きてくることがあります。
また、今までより運動量が急に増えたりすると、起きることがあります。
この痛みの原因にあげられるものとして「外脛骨障害」というモノがあり
痛みが伴うモノを「有痛性外脛骨」と言います。
これは足のアーチ構造の一つである、内側縦アーチを構成する骨の
要となる舟状骨の部分に稀にある「外脛骨」という骨が
悪さをすることによって痛みが発生するものです。
この「外脛骨」少し解剖学を学んだことのある方なら
違和感を覚える名前だと思います。
それは、「脛骨」というのは膝から足首までの、下腿の部分にある骨で
足部にこの名前が付くことに、疑問が生まれるからです。
私も初めてこの名前を聞いたとき、頭がこんがらがって
とりあえず名称だけ記憶し、仕事に励んだことを覚えています。
では、この名前の由来は何なのか?
それは発生の段階、お母さんのお腹の中にいる段階までさかのぼります。
このお腹の中にいるとき、身体が少しずつ出来上がってくる段階で
足部の骨は、下腿の外側にある腓骨由来の骨で、すべて構成されるのですが
外脛骨は、脛骨由来の骨で、脛骨の外にできる骨ということで
「外脛骨」となるそうです。
この「外脛骨」は全ての人にあるわけではなく
4~21%の割合で発生するそうです。
また、この外脛骨がある人すべてに痛みが発生するわけではなく
外脛骨は、成長していくにしたがって
舟状骨と癒合し一緒になったり、ほぼ動かない状態になり
痛みも発生せず、気付かないまま過ごされている方もおられます。
このため、外脛骨の発生割合に大きな開きがあるのかもしれません。
この外脛骨、後脛骨筋腱の中に発生する
種子骨という種類の骨になります。
そのため、後脛骨筋に負荷のかかると、外脛骨にも応力がかかり
外脛骨が動く事によって炎症が起き、痛みが発生します。
これが「有痛性外脛骨」と呼ばれる状態です。
この後脛骨筋は、足部の内側縦アーチを形成するのに、一役買っているため
この内側縦アーチが、潰れるような動きが起こると
それを引っ張り上げようとして、負荷が掛かります。
そのため、偏平足などの、内側縦アーチの形成が不十分な足の場合
外脛骨が大きく動いてしまう為、痛みが発生する事が多くなります。
他に、後脛骨筋に柔軟性が無くなっている場合も
足部の動きに後脛骨筋や腱が、追随することが難しくなってしまい
痛みが出やすくなります。
このような「外脛骨障害」、スポーツを盛んに始めだす
10~15歳のころに多く発生し、男女比では女性に多いです。
これは、骨の成長段階で、骨癒合が進んでいない時に
負荷が掛かることにより、外脛骨が動いてしまう事によって
痛みが発症してしまうものと考えられます。
また、成人後も、捻挫などの大きな負荷がかかることにより
痛みを発症してしまう事もあります。
基本的には、後脛骨筋腱の中の舟状骨の隣にある骨がずれることによって
炎症が発生し痛みが出る為、このずれを起こさない様にする事が重要です。
このための方法として
①後脛骨筋の柔軟性の確保
②内側縦アーチの確保
③外脛骨の除去
の三つが考えられます。
①後脛骨筋の柔軟性の確保では、簡単に言えばストレッチ
なのですが、伸びきって硬くなってしまっている場合
まずは伸びきった後脛骨筋を、正常な状態に戻してやる必要があります。
そこで重要になるのが
②内側縦アーチの確保です。
後脛骨筋は内側縦アーチを形成する筋肉の一つのため
その他の内側縦アーチを形成する
前脛骨筋・長母指屈筋・長趾屈筋・母趾外転筋を、強化する事が重要です。
これらの筋肉を強化し、内側縦アーチの形成をサポートすること
後脛骨筋への負荷を減らすこと
この事によって、外脛骨への負荷を減らしていく事が出来るのです。
しかし、これらの筋肉を強化するためには、それなりの時間がかかるのと
強化中にどうしても外脛骨に負荷が掛かってしまうため
それを補うのに、インソールの使用がオススメです。
インソールは、アーチサポートのついたものを必ず選び
可能であれば、オーダーメイドで製作することが最良です。
これは、足部のアーチ構造は、内側縦アーチだけでなく
他のアーチ構造もあるため、それらの連動を考える必要があるからです。
また、既製品は万人に合うように設計しているため
万に一の人しか完璧にフィットすることがなく
「シンデレラの靴」並みの難しさかもしれません。
また、人の足の裏は個人識別が研究されるくらい、人によって異なります。そのため、できるだけオーダーメイドで製作することがいいのです。
このようなインソールは、物理的にアーチ構造を支えるため
アーチが潰れることを防ぐことができ、後脛骨筋への負荷を減らし
外脛骨のずれを少なくすることができるのです。
このようにして、後脛骨筋への負荷を減らし
伸びきってしまった筋が正常になれば
①後脛骨筋の柔軟性の確保につなげていけるのです。
ここまでやって、痛みが減れば問題ないのですが
いつまでたっても痛みが引かず、日常生活に支障が出る場合
③外脛骨の除去を、考えていく段階になります。
これは簡単に言うと手術で、切って取り除いてしまうということです。
そのため、本当の最終手段になります。
この疾患は成長期の女性に起こりやすいため
骨や筋肉、靭帯などがしっかり成長してくれば
症状が収まってくることがあります。
そのため、インソールやストレッチ、トレーニングで様子を診つつ
どうしても足がつけないほどの痛みが、2週間以上続いたり
日常生活に支障が出て、どうにもならない時は覚悟が必要になります。
また、成人して捻挫などと併発している場合
固定して症状が収まれば問題ないのですが
症状が治まらなかった場合、次の段階を考えることになりますので
医師としっかり相談の上、治療方針を決めていってください。
いかがだったでしょうか?
外脛骨障害、今現在、困っている方も居られると思いますが
偏平足で悩んでいる成人の方でも
思い当たる節があるのではないでしょうか?
成長期に、このような土踏まず付近の痛みがあった方が
偏平足でインソールを作られる方の中によく見られます。
また、この外脛骨がある場合、特徴的な出っ張りが
土踏まずの上に出てくるので、義肢装具士などの足の専門家が見れば
ほぼ分かると思います。
もし、過去に土踏まずの上に痛みがあり、今、偏平足の方は
負荷が掛からない様に気を付けて下さい。
外脛骨障害があった可能性があり
何かの拍子に外脛骨に負荷が掛かってしまうと、外脛骨がずれてしまい
最悪の場合、手術をしなくてはならなくなります。
もし、当てはまる方がいましたら
偏平足による体への負担も加味して
インソールの製作をオススメします。
他に、直ぐにできることとして、靴の履き方に注意していただけると
足への負担が大きく変わってくるので、試していただけると幸いです。
下記にリンクを貼っておきますので、良ければ見て下さい。
ここまで読んでいただき、ご縁を繋いでいただきありがとうございました。
これからも様々な、整形、リハビリ、靴、健康などの
記事を書いていきますので、またお越しください。
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