マリオネット
第五
警察からの許可があり一週間だけ外に出ることができた。仕事場に戻って良いし、家でゴロゴロするのもありだが仕事が残っているので仕事場に向かうことにした。
今の私は安藤努だが、以前とは顔が変わっている。色々調べたところ顔が変わったのはあのカガミを土から出した時だということが分かった。今仕事場に行ったところで誰なのか認知できないと思うが警察から仕事場には話が通っているとのことなので、そのまま向かうことにした。
「おはようございます。安藤努です。」
「おー、前はすまなかった。」
「いえ、無理もないです。」
職場の方々は顔が違う僕を避けるわけではなく普通に接してくれる。
「努さんこの資料確認お願いします。」彼女は僕と同じ部署の神崎香さん。
「はい、確認しておきますのでそこらへんに置いといてください。」
「努さん、顔も変わりましたけど人格も変わりましたか?前より明るくて言葉使いも丁寧ですね。」
「そうですか?変わろうと意識しているわけではありませんが…」
「ほら、そういう所です。前まではそんなに丁寧語なんて使いませんでしたよ。
なんかいい男って感じです。」
「え?…」
「あの、ランチどうです?一緒に。」
香は立ち上がり少し恥ずかしそうに言った。その表情に釣られて努も顔を赤くしていた。
「は、はい。是非ご一緒したいです。場所は?」
「私の行きつけの店があるので、そこ行きましょう。中華嫌いですか?」
「いえ、好きです。」
「良かったです。ではまたランチで。」
どういう事?前まではあんなフランクに話してくれなかった気がするのだけれど、顔だけじゃなく人格まで変わっているとは。
「努さん電話なってますよ。」香は寝ぼけながら横で寝ている努を起こした。
「ん?…電話?」努は香から渡された携帯電話を見た。警察からだった。
「もしもし、安藤努さんですか?」努は警察から電話が来たことで時の経過を実感した。
「はいそうです。もう一週間経ちましたか」
「そうですね。明日警察署に来れますか?色々分かったので」
「明日、多分大丈夫です。」努は香の顔を見て答えた。
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