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マリオネット

第三章
やっと全体像が見えた。俺はカガミにかかった土を手で払いのけた。外はすっかり暗くなり
スマホのライトで辺りを照らした。俺はカガミにライトを当て、目前のカガミを覗き込んだ。
「うああああ!」俺は驚きのあまり尻もちをついた。カガミには普通自分が映るはずなのに映ったのは自分ではない知らない誰かが映っていた。俺はもう一度カガミの前に立つため立ち上がった。その瞬間俺は驚きと同時にカガミを押しのけていた。カガミの割れる音、カガミに映っていたのは自分ではなく知らない誰か。疲れているのかと思ったが二度もカガミに違う人が映るということは疲れではない。
俺は横に倒れたひび割れのカガミを背にしてその場を後にした。

いつも通り朝7時半に目を覚まして会社に行く支度している。昨日の疲れから全身が筋肉痛で動くのが億劫になる。
会社に入るとまず社員証で出勤処理をする。その後点呼が行われる。
「安藤努」名前を呼ばれたので僕は返事をした。「はい。」
「努、お前顔変わった?」朝から上司の田中は変な事言っている。

「何もいじってませんが。」

「おい、お前は誰だよ!社員証見せろよ!」職場はざわめき始めた。
僕は社員証を渡した。
「お前、社員証の顔写真とちがうじゃあねえか、おい取り押さえろ。スパイかもしれん警察呼べ。」僕は何が起こっているのか分からず周りの社員さんに取り押さえられた。そして気づいたら警察署に居た。
「あなたの名前と出身地をお答えください。」

「あ、安藤努です。出身地は新潟です。」刑事は手元の身分証と僕の顔を見比べていた。
「あの本当のこと言ってくれませんか?」嘘はついていない。警官は机の引き出しから鏡をだした。「今の自分の顔分かってる?」僕はカガミを見た。その瞬間僕は固まってしまった。以前路地裏で発見したカガミに映っていた顔だったからだ。自分とは違う顔に「これ誰ですか?」僕は混乱しながら言った。
「誰ってお前だよ。生まれてから今まで自分の顔見たことないわけではないよな、」

「でも僕は安藤努です。そこに映ってる顔が僕ですよ。この顔は知りません。」

「ちょっといいですか?」警官と警官が小声で何かを話している。

「おい、お前何者だ?」

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