アプリで出会った人たちとの記録①
去年の夏、離婚し実家へと戻ってきた。
20代最後の夏だった。
それから半年間、とりあえず自由に過ごした。仕事はしていた。子供はいない。
年明けから何かやってみようと思い、人生初のマッチングアプリを始めた。
初めに会ったのは、1月、ボディービルをやっていたというメガネの男だった。見た目は特にタイプではなかったが、とても真面目そうで優しい感じがした。
夜ご飯を食べることになり、ハンバーグ屋さんに行った。場所も私の家から行きやすいところを探してくれ、とても助かった。
待ち合わせ通りに落ち合い、席へと座った。私は初対面の人でもあまり緊張しないタイプなので、相手がとても緊張しているのがわかった。実際間近で見ると、これから付き合いたいとは思わないだろうと確信するほどタイプではなかった。
ハンバーグはとても美味しかったのでよかった。もう8年以上彼女がいないと言う。そんな風には見えないが、立ち振る舞いがおどおどしていて気になった。ライスは大盛り無料だったが、普通盛りにしていて、なぜかそこも幻滅した。
料理が好きという話とか、転職をした話とか、それ以外は何を話したのか全く覚えていない。とても下から物を言う人だったので話しずらかった。「俺こんなんだけど大丈夫?」と言われてもなんと返したらいいか分からない。笑顔で振る舞ってはいたが、楽しくはなかった。
ハンバーグの後、カフェにまで行ってしまった。その場で「この人は無い」という顔をするのは難しい。
帰り際にヘアオイルをプレゼントしてきた。驚いていた反面、申し訳ない気持ちにもなった。
でももう会うことはない。