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女性の「他人に見られている」時に出る力は本当に強い

高齢者が福祉サービスを受けためには、まずどの程度福祉サービスが必要なのかを、役所の担当者(ケアマネジャー)に来て貰って介護認定してもらう必要がある。

私の知り合いは、自分の祖母が常に寝たきりなので役所の担当者に介護認定を依頼した。「何月何日に役所の人が来るからね」とそれとなく本人に話したのだが、これが良くなかった。

当日、本人は起き上がるとよそ行きの服装に着替え、椅子に座ってその担当者が来るのを待っていた。異常に張り切っていて、受け答えもしっかりしていたようである。担当者は帰り際に「しっかりしていらっしゃるので、寝たきりの認定は出ません」と言われたようである。

担当者が帰ったあと、祖母はまた寝床に入り、また寝たきりに戻った。知り合いは「もう勘弁してくれ」「言わなきゃ良かった」と思ったという話である。

知り合いは「こんな話、信じられないだろうが…」と言ったが、私には大いに信じられる話だ。私の祖母も同じような行動をすることがある。

私の祖母は、知り合いの祖母と真逆で、他人に見られていると異常に高齢者らしい演技をする。例えば私が部屋に居る時はまるで弱い自分を見せつけるかのようにヨボヨボと歩く。

「本当にヨボヨボとしか歩けないのでは」と思ったこともあったが、人がいないと思ったのか、普通の健常者に負けない速さで歩いているのを何度も見た。

また、わざと邪魔になるような位置に立ち止まり、壁に捕まって「高齢者だから迷惑かけても仕方ない」というような演技をすることがある。高齢者はあまりに人と関わりがないと、何故か迷惑をかけることで人とつながりをつくろうとする。この前車道を歩く老婆が逮捕されて晒されていたが、同じロジックである。

もっと若い時から変な人間だとは思っていた。人間嫌いなのに人と積極的に関わろうとしたり、他人を自分が思う通りにコントロールしようとしたりするヤバいタイプの人間だった。

高齢になってもそれは治らなかったどころか、「他人が見ている」という緊張感だけが残ってしまったように思う。目だけは異常にギラギラしていて、相手を睨みつけるように見る。それなのに人と積極的に関わろうとするので、もうそれはそれは不気味な高齢者になったなと思う。

結論としては、世の中の女性の「他人に見られている時」に発生する力は男性のそれと比較にならないほど強いと思う。

手取り13万円の仕事(正社員)に毎朝メイクばっちりで出勤してくる同僚がいて、私は「こんなカスみたいな職場、そんなばっちりメイクせんでええやん」と思っていたが、そういうことなのかと思った。


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