ストラテラとコンサータ投与の所感・ADHDの思考法など...
高校の時の友人とのメッセージで
「お前ADHDっぽくね?w」と言われたことを真に受け、
行動や特性を調べてみると当てはまることが多すぎて2023年の7月に精神科通いをはじめる。
精神科通いをはじめたキッカケ
きっかけは就活で人と自分との差に苦しんだからだ。
藁にも縋る思いで処方箋を出してもらった。
ちょうど進級の単位が足りず3年生を二回繰り返すことになったのだが、
留年を期に就活に対してガチで向き合おうとし、自分の人生(つまり将来)に対してようやくドライブ感を持ち始めた時期でもあった。
それまで部活やサークルのように目の前のことに焦点をあわせてばかりの”その日暮らし”の人生だったから、
就活の初期は
「自分の将来のことを考えてください」って、地図も羅針盤もない状態で急に大海原に放り出された孤独感や焦燥感と
「自分の過去のことを考えてください」って、いままで背けてきた自分の弱さや短所につま先を正面に向き合わなければならない苦しさがあった。
就活というのは残酷で、就活のテクニックだけ身に着ければなんとかなるようなものでもなく、かといって大学で充実した経験を持っていれば何とかなるようなものでもない。
サークルや部活でも代表を務めて、自分なりには達成感や自己向上が起こったことに自信をもっていたし、旧帝ほどではないが準旧帝みたいに言われる国立大にも進学できたプライドも相まって、サマーインターンくらいまではうまくいく想像しかしていなかった。
すべて終わった後で振り返って感じるが
(みなさんも、過去を振り返って「あの時こうしておけばよかったな」とか「今の自分ならこうするのに」とか考えることがあるだろう)、
面接官はオンライン面接を通して「なんとなく感じるその人元来の地力」みたいなのを測ってたのかなぁと思っている。
(就活後期には焦りや劣等感でテクニックばっかり磨いていた自分は浅かったなとも思う)
長くなったが、面接のFBやグループディスカッション、インターンでことあ毎にみせつけられるこの「自分元来の弱さ」が自身の劣等感に突き刺されて痛くてしょうがなかった。
この痛みは就活の割と序盤に気づいて
─過度に自分がADHDっぽいことに原因を帰結しすぎてたのかなとも思うが─
どうにか他の就活生、ひいては社会人との差を埋めたくて精神科通いを始めたのである。
一番効果を感じたストラテラ (アトモキセチン)
ノルアドレナリンの再吸収阻害剤のストラテラだが、
結論から言うと3つのADHD治療薬のなかでこいつが一番効果を感じた。
飲み始めて3か月くらいは所かまわず急に来る吐き気に対してトイレに駆け込み空吐きしたり
風呂に入ってる途中に吐き気に立っていられなくなって全裸でぬれた状態でベッドで横たわったこともあったが、
ADHDに対しての効果は1か月たったくらいから感じ始めた。
特に効果を感じたのは40mgを投薬し始めたころで、
日常生活の様々な場所で「白昼夢から我に返る」体験をした。
アホほどアクセルを踏んでも、ガソリンを消費するけどちょっとしか前に進まない車から、普通にアクセルを踏んできちんと前に進む感じ。
その「これくらいアクセルを踏んだらこれくらいで加速するよね」という感覚とアクセルの具合がピッタリそろったような感覚だった。
そして、なにより、思考が全体からの逆算・文字になった。これが一番でかい。
投薬を始める前までは「その場思考的」で「映像思考」だった。
ぱっと思ったことを口に出し、思いついた順番にことを進めていた。
映画を見ているときを思い出してほしいが、まさにあの感じ。
映画を見ているときって、その瞬間の映像や音楽の情報を受け取るがままに受け取って、
「好き」「嫌い」といった情動評価や「この先どうなるんだろう」「こうなりそうだな」といった潜在的な疑問や予測以外の思考をするのは難しいと思うのだが、どうだろう?
(余談だが、映画のレビューというのは映画が終わった後に自分が感じた直感的な情動に対してこじつけ的にその情動を感じた理由を言葉にして当てはめているのだと思う。)
投薬前の世界の見方はまるでこのような感じだった。
1度映画を開始したり音楽を鳴らし始めると、その先に起こるであろう映像や音楽、過去に起こった映像や音楽と同時並行で想像しながら今見ている映画・聴いている音楽から情報を十分受け取ることはとても難しい。
(本筋から逸れるが、この状態のADHDは過度に理論値に近づけようと行動する人が多いと思う。
たとえばラーメン屋で「あと100円だしたら大盛りにできる。金銭的に特だから、頑張って食べよう」とし、めちゃくちゃ残すとか
「今家を出ても集合場所で5分まつことになるから、もう少し家にいよう」とし、めちゃくちゃ遅刻するとか。)
投薬を始めてからは「全体思考的」で「文字思考」になった。
映画を見るときに台本が手元にある感じ。
音楽を聴くときに楽譜が手元にある感じ。
発想的に思いつくのではなくて、「コレはこういう全体の1要素」であることを潜在的にわかっている感覚。
だから、もともと遅刻しがちだったし、家を出た後に多くの忘れ物に気が付いていたのだが
「何時に○○に集合するから(全体)、家をでるのは〇分後(要素)になるな」「明日は○○をする予定だから(全体)、これとこれ(要素)がいるな」
と、逆算的に思考できるようになった。
また、全体から切り分けた要素を見れているから前後の物事との比較ができるようになった。
「ちょっと時間が押したから身支度は手短にすまそう」 とか
「部屋のここが散らかっているけど、収納がないから他のアレで代用しよう」 とか。
また文字で物事を見れるようになったから、
昔の写真とかを見返すと投薬を始める前後で
「このとき何考えてたっけ?」と「この時はこういうことを考えてたな」
と明確に境界線を引くことができることに気が付いた。
これを読んでいる人も、自我が発達する前の小学生の記憶と、自我が芽生えてからの中学生の記憶を遡ってほしいのだが、おそらく中学生の時の記憶の方が「この時こう思っていた」と前後の文脈を加味して、文字に起こせるのでは?
投薬前(や小学生の)記憶を思い出せたとしても、直感的に感じた情動評価が多い。
文字で思考できる最も大きなメリットは自身の経験を帰納・演繹の素材にできることだろう。
ADHDの方のブログをみていると社会性のある人間の模倣を通じて処世術を身に着けた人が多いように感じるし、かくいう私もそうだ。
だが、文字で思考できるようになると自身の失敗や成功を別の分野の行動指針の糧にできるようになる。
もともと自己認識自体は得意なADHDにとって、大きな武器になる…気がする。
要は、頭の中で論理構築ができるようになるといこと。
ADHDが自身に対して深い洞察を持つように、ほかに自身が興味を持つ分野に洞察を深めることができるようになる、と思う。
論理構築ができるようになったから、私は投薬を始めてから初めて小説以外の本が面白く感じるようになった。
一時期なんだかもう改善されたような気がして投薬を2週間やめたことがあったのだが、鬼のように部屋が散らかっていったし、一日寝てすごすことが多くなってこりゃまずいと、再び投薬したのだが、
本当に薬で実行機能に差が出るのだなと、衝撃的なアハ体験をしたのを今でも覚えている。
なんせ再度投薬し効果が出てから、ハッとしたように部屋の汚さに気が付いたのだ。
「用途が同じだから近くにまとめておこう」
「これは飲み終わったからペットボトルの中を洗って分別して捨てよう」
「今回使ったけど当分使わないから元の位置に戻そう」
のような無意識の感覚が天から降りたように頭に浮かんだ。
この時、ほんとに自分ってADHDで人とは違うんだなと衝撃を受けた。
過集中特性の背中を押すコンサータ
コンサータとググればサジェストに「頭がよくなる」「受験」だの
「やばい」「突然死」だの出てくるコンサータ。
こいつはストラテラより遅く投薬しはじめ、まだ6か月程度。
大前提、コンサータ ⊇ ストラテラ ではない!
就活後期、もう自死しようかと悩んでいるレベルの時に
脳覚醒して受験で良い点数とれた とか、大会で結果を残せた とか聞いて
劣等感で体中痛かった私は
「人より優れていたい」
とコンサータを投薬し始めた(もちろん診察ではこんなことは言っていない)。
いまではそんな効果がないことははっきりわかっているが、
生活の助けにはなるのでストラテラの補助輪程度に18mgか24mgを飲んでいる。
コンサータ処方の審査が通って処方箋がもらえる1週間くらい前から
「これで人生変われる…!」
とガンギマリの目でワクワクがとまらなかったが、
いざ投薬しても最初はあまり変化を感じず、肩を落とした。
試験でめちゃめちゃ頭を使うとき、脳に血流が回ってこめかみが痛くなるような体験をした人もいるだろうが、あれが投薬15分後から12時間続く。
寝れなくなるので正午を過ぎたら飲まないようにしてくださいと注意されたが、体感15時間くらい続くような感じで、朝10時に飲んでも2時くらいまで寝れない。
一番感じた効果は、過集中の促進で、最初はせっかくストラテラで平常人間になっていたのにADHDに戻された感覚になった。
朝飲んでスマホを一度いじり始めるとタイムスリップしたように平気で5時間溶けた。
効果に慣れるまでは自身での集中のコントロールが取れなくなり、研究室に行こうと家を出る前にゴミが気になりその日は掃除でタイムスリップしたし、SNSを見始めると止まらなかった。
逆に朝身の回りへの興味をなくそうと努力し研究室に到着できれば実験の準備や執筆に時間を溶かすことができた。
まるで、車のハンドルがとてつもなく重くなったような感覚だった。
くるくる回りすぎるハンドルを持つ人にはちょうどいいかもしれない。
2か月くらい経ち効果に慣れると物事への集中が普段よりしやすくなった程度に落ち着いた。
残念ながら頭がよくなったような感覚はなかった。
ただ、物事への集中がしやすくなったから、ホワイトノイズをyoutubeで鳴らさなくても本が読めるようになったし、頭で考えながら人と会話することができるようになった。
視野にある、自分がフォーカスしたいもの以外はただの背景になったし、人が打ち込むキーボード音やエアコンの音はただのノイズになった。
副作用は、とにかく食欲不振が辛かった (4か月経過くらいから副作用には慣れる)。
食欲が湧かないという感覚がまず新鮮だったが、私の場合はストラテラと併用して飲んでいるので相乗効果でストラテラの吐き気が3倍くらいになった。
食堂でメニューみたら、苦手な料理の写真を見て空吐きすることがあるレベルといったらわかりやすいだろうか…。
脳に糖分を回してないとやってられないのでウィダーのラムネを飲んで耐えていた。
誰でも9mgから始めると思うが、副作用っぽい違和感があったらその量で必ずとどめて慣れてから増量するようにした方がいい。
慣れてからは一食1400kcalとっても問題なくなった。
1か月でやめたインチュニブ
最初に処方されたのがこのインチュニブだったが、
副作用の眠気が本当にひどすぎて日中苦しかったためやめた。
noteを書いておきながら全部のレビューができずにすみません…
多動・衝動に効くらしいが、今のところストラテラでうまくいっているので薬を変えたい欲がなく、また3つも併用するのは厳しいため今後も飲まないと思う。
まとめ
長くなったが投薬を初めて人生が好転した感覚はあるので、
まずは処方の壁が低いストラテラを投薬してみてはどうか?
ということでした。
それと、コンサータは魔法の薬ではないよということ…。
まず間違いなく、生活をおくるという点において私たちADHDは不利な手札で産まれてきました。逆に言えば、弱点を克服できるものが確立されているのは他の人に比べて強みになるのではないか、とも思います。
ADHDに対して考えていること、思考法や処世術に興味がある人がいれば次回それを書きます、多分…。
ストラテラを投薬し、文字思考できるようになった人が生き方において"鬼に金棒"になる方法
ここから先は有料にしようと思いますが、自分なりの生き方の結論を持って努力されている方はペイせずブラウザバックしたほうがいいかもしれません。自己責任で。
また、発達障害民は私に限らず劣等感と人生を二人三脚している人も多く、自己改善欲が強いでしょう。
ここから先に書くことは私が自分の人生から見つけ出した
「よりよく生きていく術」ですが、
まずは自分で答えを見つけようとすることの方が大事だと思います。
人の出した正解にかじりついて生きると最も大事にするべき自身の思索がなくなると思います。
ただ必ず参考にはなると思うので書いておきます。
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