挑戦と安定の両立をもってJ2の頂きに挑む|vsロアッソ熊本戦の感想

勝ちましたね。今日も乱雑にファジアーノ岡山の試合感想を書きます。熊本戦のテーマは挑戦と安定です。

この試合感想は、筆者「はま」の勝手な解釈(つまり推察)でストーリー性を意識したものです。試合をじっくりと観察した考察ではありません。

事実よりも「指揮者の狙い」を推察した情報について解説しています。正しく検証していない情報もお伝えするので、このnoteにはフィクションが混じる点についてあらかじめご了承ください。

雨予報のなか、試合終了まで雨が降ることはなく、晴れの国らしいコンディションのいい試合状況だったと思います。

試合感想

岡山も熊本も前節と同様にそれぞれ3-4-2-1と3-4-1-2のフォーメーションで試合がはじまった。どちらのチームもロングボールとビルドアップを使い分けることでさまざまなアプローチで相手ゴールにボールを運ぼうとする。

前半でいい展開を見せたのは岡山だった。なんと、6輪笠と19岩渕のゴールで2点リードして前半を終えることになる。なぜこのようなリードを取れる展開になったのか?岡山の狙いはリスクへの「挑戦」とリスクを減らす「安定」の両立だったのだ。

淡々と攻め込んでいたように見えただろうが、前節までと比べて岡山は大きくリスクをとった攻撃を仕掛けていた。前線の選手へ決定的なパスを転がす「縦パス」が圧倒的に増えたのだ。

縦パスを転がすことで、相手の嫌なところに一気にパスを送ることができ、チャンスになる回数が増える。その一方で、パスを取られる可能性のある危険なボールを通すことになるので、相手にカットされることも多いのが特徴だ。

しかし、熊本戦では岡山のボールが面白いほど、前に繋がっていた。重要な役割を果たしたのは、9グレイソン、8GX、88柳タカだろう。特に、88柳タカは右サイドのポジションながら、中央に近い場所でプレーしており、24藤田の縦パスを引き出していた。

簡単にやって見せたが、24藤田のパススキルもJ2では屈指のレベルである。なんか空中戦も意外と勝っていたり24藤田に弱点はあるのだろうかとボランチとして最上級のプレーを見せていた。6輪笠の縦パスもいい感じだった。

縦パスを通すリスクに挑戦したことで、岡山は熊本の懐に侵入して2ゴールを挙げる勝負強さを見せていた。

それでは、リスクを回避する「安定」とはなにを意味するのか?それは、ファールのリスクを減らす守り方である。岡山の前線のプレスこそ強く当たりに行くものの自陣での守備ではあまり相手の深いところまで踏み込んでいなかった。熊本に与えた自陣でのフリーキックはわずか数本程度であったことが証明するはずだ(誰かデータをくれるはず…?)。

熊本は岡山のDF陣の裏にボールを送る戦術を試みていたが、味方にパスは通るものの決定的な仕事にはつながらなかったのだ。それは、岡山の選手が、熊本のボールが通ることをある程度は許容していたことにある。

ただし、ボールを受け取った熊本の選手に前を向かせないことは徹底していた。熊本の選手はパスを受け取ってもほとんど仕事ができずに、後ろにさげさせられることがほとんどだったのだ。

サイドからクロスを上げるにも、岡山の選手が前に立ちはだかりキツい体制でのクロスになることがほとんどだった。それでもムリな体制でシュートを決め切ってしまう破壊神は残念ながら熊本の前線にはいない。

何度もチャンスを作られたように見えたかもしれないが、ほとんどのプレーで岡山は余裕を持ってセーフティーに対応していたはずだ。熊本の決定機も2〜3本程度に抑えられていると思う。

リスクをとる点ではゴールに直結しており、安定を目指す点では相手を寄せ付けない、かなりいい試合運びができて勝つべくして勝った熊本戦だった。

一方の熊本は、岡山の中央を攻め込めずにサイド攻撃中心になったことが試合を難しくしたのだろう。右サイドを抜けた9大本(7竹本かも?)に対しても15本山が前を向かせないプレーを徹底できていた。

この岡山左サイドの攻防により、9大本も15本山も大きくスタミナを消費してしまい、どちらの選手も途中で交代するほどバチバチの戦いだったと思う。

また、逆サイドの4阿部も空中戦やドリブル突破を許さないなど、安定した守備を見せていた。4海大が帰ってきたありがたさを感じずにいられない。嫌な場所でのファールがほとんどなく、熊本相手に安定した守り方ができていた。

今日の注目ポイント|6輪笠がなぜそこにいたのか

岡山のゴールシーンは、(岡山で初?の)6輪笠のゴールが決まった。不思議なのが、なぜ6輪笠がゴール前にいたかである。2ボランチなので、ある程度は前に行くべきであるが、ゴール前に張り付くことも珍しいだろう。

その理由は、9グレイソンがサイドに流れるまでに、88柳タカ、8GXの二人が同時に倒されたことにあると思う。そのため、前線の選手の代わりにゴールを狙えるポジションに立つ選手が足りなくなってしまう。

そこで、おそらく状況を理解して、ゴール前に顔を出したのが6輪笠である。6輪笠があそこで攻撃参加に走っていなければ、あのゴールは生まれていないだろう。リスクをとって前に出た6輪笠の勝利である。

また、左サイドからゴール右ニアまで走りこんだ19岩渕の動きも素晴らしかった。狙ったカタチでなくても即座に攻撃のカタチをつくりあげた6輪笠と19岩渕のファインプレだったと言えるだろう。

「理想」と「現実」のバランサー木山監督らしいファジアーノ

木山監督の誇れる点は、現実的に見たチーム状況をコツコツと少しずつ改善できる点にある。自分がやらせたいチームへの「希望」と実際に選手ができる「現実」を見比べて、ムリなことはさせずに自分たちができる範囲で必ずなんらかのアクションを見せてくれる監督である。

フリーキックで2試合も連続失点したあとは、まだフリーキックから失点をしていない。そして、前半で点が取れないジレンマから今節では2得点も挙げるチームへと進化している。

「挑戦」と「安定」、「希望」と「現実」、このような難しいバランスをとることに長けた監督だと僕は分析している。まだこれからも難敵との対戦が続くが、木山監督なら試合のなかでなんらかの希望をサポーターに見せてくれるはずだ。

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