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不動産市況の悪化を素早く察知する、比較的簡易な方法

もし、あなたが不動産市況の変化を敏感に感じ取り、売買の判断材料にしたいのであれば、公的データを参考にしては完全に「遅きに失する」ことになるでしょう。路線価や地価公示等メジャーな数値は年1回しかその発表がなく、すでに変化が起きてしまった後にようやく知ることになるからです。

アベノミクス初期の頃にさかのぼり、ざっくりと金利低下から相場上昇までのマーケット循環を例に説明すると、

1.政策方針が変わる(金融緩和)
2.市場を熟知した法人や投資家などが買いに走る
3.「好条件の物件」の在庫が減少
4.「好条件の物件」の売出価格が上昇
5.市場データ公表、マスメディアが「不動産価格上昇」を報じる
6.一般人があせって買いに走る
7.市場全体の在庫が減っていく
8.全体的に価格相場が上昇していく

冒頭のタイミングは「6」です。ちなみに不動産業に従事している人は「2」で潮目の変化を感じ取ることができます。力のある仲介会社が、熟練の投資家と日頃から接点を欠かさないようにしているのは、彼らの嗅覚こそが重要な情報源になるからです。

新型コロナウイルスの影響もあって、住宅価格の高騰が世間の注目を集めてきました。しかし、さすがに価格が上がり過ぎたこともあり、在庫が増加に転じたエリアが多くなり、さらに長期金利も徐々に上がる気配を見せていることから、2023年夏の時点で、需給双方の心理としては「これから相場は下がるのか?」といった今後の見通しが気になるところでしょう。

マーケットが不況に向かう場合は、上記の流れが逆循環します。

1.市場環境が悪化(金利上昇、増税など)
2.住宅事業者や投資家が、新たな物件購入に対して慎重になる
3.「条件の劣る物件」の売出価格の改定が増える
4.「条件の良い物件」が市場に出始める
5.市場データ公表、マスメディアが「不動産価格下落」を報じる
6.一般人が様子見に転じる
7.全体的に在庫が増えていく
8.全体的に価格相場が下落していく

では、現時点の市場がどこに位置するのか。郊外の戸建て市場はすでに「6、7」に該当するといえるかもしれません。超都心のマンションは、まだ「2」に留まっているという意見もあるでしょう。変化のスピードがエリアによって異なる。これが今の不動産市場の特徴で、理解しておくポイントのひとつです。

一生に一度で最も高額な買い物「マイホーム」を購入検討している人、または自宅の売却時期を見計らっている人などは、できるだけ「3か4」のタイミングで市場の変化を見極めたいと思うはず。では、その比較的簡易な方法を解説したいと思います。

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