母から受け継いだコートで変化したファッションへの想い 【銀座店コンシェルジュ・深井 海咲】
はじめまして。ファクトリエ・インターンの小宮です。
10月からファクトリエのインターンとして仲間入りさせてもらいました。まだまだ未熟者で至らない点も多いと思いますが、最後までお付き合いいただけたら幸いです。
さて、今回は月に1回お届けしている「社員紹介」です!
入ったばかりのインターンだからこそ見つけられる、新たな魅力を引き出していきたいと思います。
ご紹介するのは、今年の10月まで名古屋店の店長を務め、現在は銀座店のコンシェルジュとして活躍されている深井海咲(ふかい・みさき)さん。
初めてお話ししてみて、その明るい雰囲気と人を惹きつける話し方に、私自身もファンになってしまいました。
深井さんにとってのファクトリエとは?
コンシェルジュとして心がけていることは何なのか?
深井さんの素顔にどんどん迫っていきたいと思います!
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良いと思ったことが、相手にも広がるのが楽しい。
私が言うのは失礼にあたるかもしれませんが、深井さんと話をしていて感じるのが何といっても「話しやすさ」です。
距離を感じさせないコミュニケーション力は、普段の接客でも大活躍してるはず。そう思ったので何か秘訣があるのか探ってみました。
「直接お客様に良さを伝えて、良さを分かって買ってくれるっていう面白さはアルバイトで学びました。」
これは深井さんが学生時代にスターバックスでアルバイトをしていた時のお話なのですが、秋のアップルパイを売り出す時期に通常1時間で3つほどしか売れないところ、深井さんはたくさん声掛けしたり、良さを一生懸命に伝えたら、なんと10個も売れたそう。そのころからコミュニケーション力が優れていたのかと驚きました。
普通にレジをやっても時給は一緒なのに、そのモチベーションはどこから出てくるのか気になったので聞いてみると、
「比較的純粋だとは思います(笑)。単純というか。だってそのほうがいいじゃないですか!作業をするなら、何か成果を残したい。」
そう笑顔で話す深井さん。“バイトなんてできるだけ楽したい”と思う私と真逆の考えでした。しかも、理屈ではなく無意識でそういった行動をとっていることがまたすごい。
普段の仕事でも、深井さんはこういうことを考えているそうです。
「お客様が考えもしなかったコーディネートを提案したり、新しいアイテムをおすすめして喜んでもらえることがとてもワクワクします。自分の良いと思ったことが相手にも広がるっていうのが楽しいんです!」
深井さんは相手の喜びを自分の喜びとしてダイレクトに感じ取れるんですね。まさにこの仕事が天職なのではないかと聞いていて思いました。
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ファクトリエとの出会い
もともと大手アパレルメーカーの販売員として働いていた深井さん。
幼いころから洋服が大好きで、その影響はお母様のお仕事にありました。
「母は帽子やアクセサリーを作る仕事をしていて、お洒落をするのが大好きな人でした。よく可愛いものを着せてもらったり、一緒に選んでいました。たまに、母の真似をして洋服を作って人形に着せたりしていたので、物心ついた頃から洋服は好きでした。」
家で、“ものづくり”に自然と触れてきた環境は、今の仕事とつながるものが感じられます。
前の会社は台湾でジーンズを作っていて、台湾出張に行ったパタンナーさんから、「工場ではこのジーンズを履いた写真を大きく引き伸ばして飾っていて、日本のブランドとの取り組みを誇りに思ってくれている」ということを聞いた深井さんは、こう感じたそうです。
「初めて作り手を意識したというか、そういう作っている人たちのためにもっと製品の良さ、見た目だけじゃないことを伝えていかないといけないし、売る人の責任は売上だけじゃないと思いました。」
これをきっかけに、販売員とは何か考えるようになっていた頃、ファクトリエに出会います。
ファクトリエのただ売ろうとするのではなく、作り手の想いやものづくりの現状を伝えるというやり方に、深井さんはこう感じたそうです。
「販売する者は“伝え手”という考え方が、私の販売員としてのなりたい姿にピタッと当てはまりました。」
ファクトリエに出会って、ずっと引っかかっていたモヤモヤが晴れた深井さんはコンシェルジュとして応募して、入社することになりました。
入社後、少しするとファクトリエの名古屋星が丘テラス店のオープンが決まり、その店長として名古屋赴任が決まりました。
これまで一人暮らしをしたこともなかった上に、仕事でも、店長はもちろん、部下を持つことも何もかもが初めて。
当初は大変だったそうでうが、今振り返ってみて、深井さんが名古屋店での日々をこう語ってくれました。
「最初のころは、身近に相談できる人もいなくて落ち込むときもあったけど、だんだんお顔のわかるお客様が遊びに来てくださって、“同志が増えている”っていう喜びや心強さに支えられました。」
想像していた答えと違い、圧倒される私。深井さんから大変だったという言葉はほんの少ししか出てきません。
それよりもお客様に育ててもらったと明るく話す姿がとても印象的でした。
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座右の銘は、想像力は最大の美徳。
深井さんに、生きる上で大切にしている座右の銘を聞きました。答えは…
「想像力は最大の美徳」
これは、フランスの小説家であるフランソワーズ・サガンさんの言葉。
深井さんが「転職しよう!」と思い始めるちょっと前に出会った、お姉さん的存在の方から勧められたそうです。
「(知性とは)残念ながら皆には手の届かない贅沢です。結局のところ、想像が唯一の基本的な美徳ではないかと思います。想像力があれば人の身になれる、ということは相手が理解できる。したがって相手を尊重できるわけです。」
それまで「“想像力”って大事だよなぁ」とぼんやり思っていたそうですが、この言葉と出会い、自分の中にある何かと一致して腑に落ちたそうです。
この座右の銘を意識するようになったきっかけを聞くと、普段の深井さんからは想像できない言葉から始まりました。
「私、学生の頃とかすごいひねくれてて、ほんと可愛くない10代だったんですよ(笑)。あまり人を気遣うことができなかったんですよね。
でも、この言葉に出会ってから、相手に理由を求める前に、この人はなぜこうなったのかまず想像してみる。相手の行動の背景をおもんぱかることで、真意を図ることができると気づいたんです」
さらに深井さんは続けます。
「想像力を働かせることは自分にとってもプラスだと思っていて、理由なく何でも許してあげるんじゃなくて、想像力を働かせてちゃんと理解してあげることは自分にとって無理がないし、我慢にならない」
とはいえ限界があるはず!と思い、想像したのにどうしても理解できないことはあるのか、そんな時はどうするのか聞いてみました。
「あったと思うけど、寝たら忘れちゃいますね(笑)。そこまで突き詰めないのかもしれない。まぁいっかって割と早めになります!まだ私には分からないから聞いてみたり。その時の状況に応じて行動します」
こういう時は、深井さんの持ち合わせたポジティブさが発揮されるんですね。
最近この座右の銘を体現した出来事はあるか聞いてみました。すると、スラックスを履いたことがないお客様がご来店された際のエピソードを教えてくれました。
「そのお客様は普段の格好がきちっとされている方だったので、カジュアルさを加えるのに抵抗があると思ったんです。ただ、話を聞くうちに『パーカーと合わせればこの方の好みも入れつつ、新しさもプラスされるのではないか』と考え、ご提案してみました。そしたらとっても気に入っていただけて、購入してもらえたのが嬉しかったです!」
そう活き活きした表情で話してくれました。
「ただ自分が良いと思ったものを売るのは押し付け。相手の気持ちを想像すると、この人は何を求めているのか、何が最善なのか見えてくるんです」
実は、深井さんのファンというお客様はたくさんいらっしゃるのですが、そういう皆さんは、深井さんのこういうところに惹かれたのかもしれない。そんな風に思うエピソードでした。
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深井海咲の“語れる逸品”
大切にしているもの。気がつくといつも傍にあるもの。仕事の相棒のようなもの。自信が持てるもの。そんな“語れる逸品”を深井さんに聞いてみました。
それは、母から娘へ受け継がれた「黒のロングコート」。
30年前、パリコレで旋風を巻き起こした「黒の衝撃」をご存知でしょうか。
「ヨウジヤマモト」の山本耀司さんと「コムデギャルソン」の川久保玲さん。
この二人のデザイナーが、当時エレガンスが主流だったパリコレにおいてネガティブなものとされていた真っ黒のコレクションを発表し、大きな話題となったムーブメントです。
当時の日本でも黒が流行し、「カラス族」という現象まで生まれました。深井さんのお母様もこの時にこのコムデギャルソンの「黒のロングコート」を購入したそうです。
30年前なのにもかかわらず、ほとんど傷んでおらず、きっと大切に使われていたんだろうなと感じられました。
「私と同じくらいの歳の時に買ったらしく、決して安くない買い物だったから相当悩んだそう。母は結婚式やパーティーなどおしゃれする時に着ていたようです。私も、ここぞという時にこれを着ます。着るとやっぱり気分が上がるし、かっこいいものを着てると自信が出てきます!」
母から娘へ受け継がれたコートは、ものだけでなく、着たときに母の気持ちが伝わる素敵な逸品。お母様もきっと着ている深井さんを見て嬉しく思っているに違いないですね。
そして、このコートを貰ってから深井さん自身の「買い物」にも変化が起こったそうです。
「昔はファストファッションでたくさん買っていたけど、今は買う前にクローゼットの中を見て考えてから買うようになりました。一点単価は上がったけど、大切に長く着られる方が良いと思うようになりました」
お母様は、このコートを購入した時はまさか自分の子どもが着ることなんて考えもしなかったということですが、深井さん自身もまた、「悩んで悩んで買ったものを自分の子どもにあげる時がくるのかなぁ」と考えるとなんだか心が温かくなりました。
この素敵な考え方を持ってるからこそ、職人さんが作った“いいもの”を素直に伝えることができるのかと強く感じました。
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お気に入りのファクトリエ商品とは?
普段の服選びは前日の夜から考えるのが習慣になっていて、そのコーデによってメイクも変えたりしながら、日々のおしゃれを楽しんでいるという深井さん。
そんな深井さんに、ファクトリエのお気に入りの商品を聞いてみました。
こちらは和歌山県にある「丸和ニット」が手掛けている「フロントタックワイドパンツ」。
深井さんからのコメントはこちら。
「ファクトリエの商品らしいシンプルさもありながら、モードっぽい形が可愛い!生地も上品なのでジャケットはもちろん、パーカーに合わせてもオシャレに見えるんです。」
たしかに、太めのシルエットなのにカジュアルさは一切感じず、クールな印象ですね。
さらに深井さんは、コッソリ教えてくれました。
「太い形だから下に極暖のタイツを合わせたりできるから機能面もばっちり!私は去年こればっかり穿いてました(笑)」
そこで、このアイテムを深井さんはどうやってコーデに取り入れているのかさらに掘って聞いてみると、「この話は止まりませんよ?(笑)」とキラキラした表情で話してくれました。
「フロントタックワイドパンツは丈が若干短いのでブーツを合わせるのが好きです。あとはカラーの靴下を合わせたり。
コーディネートはキレイ目とカジュアルがちょうど『1対1』のバランスになるように着るのが好きなんですよ。その絶妙なラインを試行錯誤しながらコーディネートしていくのが楽しいですね」
きっちりした格好でも頑張りすぎな感じがでないように、どこかで崩すポイントを入れていくのが深井流。
このフロントタックワイドパンツもキレイ目に見えるのに、実はウエストゴムで楽チンなところもお気に入りだそうです。
「頑張らないおしゃれ」ができるアイテム、ぜひ皆さんもチェックしてみてくださいね。
《 Factelier by MARUWA KNIT | 『フロントタックワイドパンツ』カラー:ブラック、チャコール 》
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深井海咲の、今オススメなファクトリエ商品
最後に、深井さんが今おすすめしたいアイテムを聞いてみました。おすすめの理由と一緒にご覧ください。
《 Factelier by UTO | 『育てるホワイトカシミヤ大判ストール』カラー:フーシャピンク、ネイビーなど全13色》
岩手県で作っているカシミヤのストールです。とにかくフワフワで暖かいので、包み込まれたまま寝てしまいたくなります。なにより「育てる」というところがポイント。
お店に置いてある10年物のマフラーは新品より毛足が長くふんわりしています。ニットは管理が難しく、消耗品だと思っていましたが、手洗いしながら育てていくこのストールにはその考えを覆されました。
《 Factelier by MIYUKIKEORI | 『テーラーメイド チェスターコート』カラー:スーパーファインウールビーバー/ブルー、など全16種類》
御幸毛織が生地づくりから縫製まで手掛けるオーダーコート。両方を同じ工場が行っているのは珍しいんです。生地について熟知しているからこそ、それぞれの生地に最も適したプレスや縫製をすることができます。
御幸毛織の生地工場を見学させていただいた時に、「一貫で生産・管理しているからこそ、どんどん新しいことにチャレンジできる」と仰っていたことが印象的でした。男性の皆さんにぜひ試していただきたいです。
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いかがでしたでしょうか。
最後に、これから社会人になるインターンから「ファクトリエで働いていて楽しいですか?」という素朴な質問への回答がコチラ。
「ファクトリエでは何にでも挑戦できる。それは販売員の仕事じゃないからお前はやるなってならない。大きい会社にいたら、大きな歯車の中で自分の存在はほんの一部。でもここでは、自分の頑張り次第で、自分の可能性をいくらでも広げられると感じられるところがワクワクするし、楽しい」
代表の山田さんが言っている「仕事」を「私事」と捉えることを体現していると感じ、とても胸が熱くなりました。
まだまだ面白い話もありましたが、そろそろ終わりにしたいと思います。
深井さんは銀座店で勤務していますので、もっと話を聞きたい方、接客を受けてみたい方はぜひ訪れてみてください!
きっと深井さんは、最高な笑顔で皆さんをお待ちしています。
それでは次回をお楽しみに。
小宮
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