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【事実発掘!FACT JAPAN 47 NO.29 】福島県

PRディレクターの堀田です。
最近、鳥羽周作シェフが青山に展開しているレストラン「Hotel’s」で、鳥羽さんを含めたシェフたちが旅先で出会った食材や人から得たインスピレーションを持ち帰り、新しい料理として再構築したコースを出す、レストランinレストラン『Tabi』にお邪魔してきました。
今回の旅先である佐賀県のコースを堪能してきたのですが、本当に佐賀県に旅してきたかのような、お土産をおなかに詰めて帰ってきた感覚を味わえました。ただ美味しいだけじゃないNEWな体験です。
鳥羽さん曰く、「海苔2枚だけの皿もある。もはや料理でもない。ただ、生産者さんの熱量と現地で自分で味わった感激を東京に持ってきて伝えたいという、とにかくシンプルな想いでこのコースを作った」と、貴重なシェフのコメントを聞きながら体験したコースでした。

メニューがしおりになっている。
1プレートごとにストーリが!

そして、この体験を通して、“味覚”と“愛情”は表裏一体だと確信しました。
ちょっと何を言っているのかわからない。と思われても仕方ありません。
でも、美味しいものを食べた時の場所や、気温、匂い、そこで出会った人を覚えてませんか?
美味しかったから覚えているのか、はたまた出会った環境や人に愛着が沸いたからおいしかったのか、、シンプルに考えたら前者ですが、環境が味覚を変えることも往々にしてある気がしてならないのです。
 
そんな体験をきっかけに思い出したことがあります。
私は以前、ラーメンの幸楽苑さんのPRに携わらせて頂いていました。幸楽苑の本社は福島県の郡山市ですが、東京にも支社があります。そして、社員さんは必ず店舗でラーメンを作った経験のある方々でした。また、私の知っている限り、ほとんどが福島県出身または在住で、オフィスに伺う度に少し福島の方言が混ざった会話が飛び交い、さながら私は旅行気分で、オフィスに伺う度にウキウキしていました。何よりも皆さんラーメン熱がものすごく熱い!実際に試食させていただく事もありました。こだわりポイントを教えてくれながら、1杯1杯丁寧に作ってくれます。美味しいのは当たり前なのですが、「美味しい」というと、とても喜んでおかわりを勧めてくれます。なんだか実家に帰ってきたかのような温かい気分でした。
(仕事しろ!私!)
 

そんな幸楽苑を福島県で知らない人はいません。
幸楽苑のはじまりは、昭和29年。6坪の店舗、3人の従業員からなる食堂「味よし食堂」からスタートします。雪が降り積もる地域で、温かいものをおなか一杯食べて欲しいという想いで当時のメニューは、うどん(20円)、天ぷらうどん(25円)、らーめん(35円)でした。今でも、福島県民の日には、中華そば1杯無料券やギョーザ無料券プレゼントなどの太っ腹なイベントが開催され、多くの人の胃を幸せいっぱいにしてくれます。

味よし食堂

話は戻りますが、幸楽苑の社員のほとんどが福島県出身であることに関東生まれの私はちょっと驚いていたのですが、調べてみると、過疎化や、高齢化が進む地方都市が多い中、福島県内出身者の8割が「地元就職」を希望しているそうで、県外に就職するのではなく、福島県内で就職を希望している人が多いことが分かりました。
これはまだコロナウィルスの影響が出る前の2018年の調査結果です。今ではリモートワーク化が進み、働く場所を気にせず地方移住やIターンをする選択肢もありますが、この頃は働き方も出社重視であった時期で8割が地元就職を希望しているって、地元好きすぎやん!と思ってしまいました。

※参照:https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2018_013.pdf
※参照:https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2018_013.pdf

特に地域への愛着を「感じている」人の割合が最も高いのは「Uターン就職」で、一度県外に出て、故郷の愛おしさが増したパターンです。
また、全体の9割近くが「このまま福島県内で働きたい」という結果が出ています。

※参照:https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2018_013.pdf

地元で働きたい理由としては、「家族・親族が住んでいるから」「地元(福島県) が好きだから」「住んでいるところの近くで働けるから」が上位3位。
Uターン就職の人は、「家族・親族が住んでいるから」「地元(福島県)が好きだから」が第1位です。
逆に県外出身・進学からの県内就職は、「会社に転勤を命じられたから」(33.5%)が最も多く、福島県に対する愛着や貢献意識というよりも、会社都合での理由が目立ちます。
ここは課題にしたくなりますが、熱狂的に地元愛が強いので、いっそのこと課題にしなくて良いと思います。
 
なぜ、こんなに地元愛が強いのか?個人的な見解としては、地元の美味しい物が人々の繋がりを強くしているのだと思っています。福島県のご当地グルメと呼ばれるものは正直、他県と比べると弱いかもしれません。喜多方ラーメン、馬刺し、イカニンジン等、挙げれば沢山ありますが、もはや“美味しい”は高級食材で作る高級料理ではなく、特別なものは何もなくて、歴史上、その地で栄養価が高かったり、その地の文化に合ったものを地元の人が大切に育んで、料理という形でアウトプットをしているので、“美味しい”に必要なのは食べた瞬間だけの一瞬の味覚だけではなく、その背景まで味わうことが“美味しい”になり、それを理解し、実行し続けている地元企業さんが多いから、愛着が沸くのだと福島県の人々に出会って感じました。なんだか山岡さん(美味しんぼ)みたいになりましたね。。

 いまや福島県はそのインパクトの大きさで東日本大震災のイメージが強いですが、農産物、水産物、観光資源にフォーカスを充てるのではなく、少し視点を変えて、美味しいもの、魅力的な場所を作っている“人”に今後は注目し、福島県の3つの気候が異なる地域、中通り・会津・浜通りそれぞれのエリアで実際に住んでいるお宅へのホームステイ企画を作ってみるなど、もっと人と人とを繋げることにチャレンジしてみると、雪国 福島県の温かさと居心地の良さが露わになるのではないでしょうか?

次回は誰よりも熱情を持つ我らがキャプテン、三寺からおおくりします。

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