責任の重さは何グラムか(1706文字)
日本の子育て業界においては、
「お腹を痛めたことがない男にはわからないものがある」という、
とんでもない理屈が未だに蔓延している。
その理屈でいくと、
お腹を痛めたことのある女性様が全ての子育てを負担すれば、
男ごときに任せるよりもよほど安全なはずである。
お腹を痛めたというだけで、何か特別なことを知覚したのだろう?
その素晴らしい女性様専用の体験でもって、
ぜひとも完璧なる子育てを実現させてほしいものだ。
・・・というと、
育児に参加しない男はクソだと仰る。
なのにお腹を痛めていないからクソだと怒鳴る。
その矛盾を小さなことだと言い張り目を背ける、そんな人たちの話だ。
新生児の平均体重は3000g弱である。
この時点で男の子と女の子に若干の差が生じているのだが、
それでも「らしさ」を押し付けるなという暴言が罷り通っている。
お前が望もうが、望むまいが、妊娠できるのは女だけである。
いうまでもないが、男には妊娠できないがゆえに、
妊娠して専業主婦になるという「選択肢すら存在しない」。
しかし、それは当たり前だ。
どうせ女は出産前後で一時離職が不可能なのだから、
女が離職したまま子育てに従事すればいいのであって、
男まで離職しキャリアを中断するのは非効率的だ。
そうすると、ここで新たな問題が生じる。
どのみち女は育児から逃げられないのだ。
男で母乳が出るということは、ないと断言してもいい。
ないわけではないが、あると言い張るほどの比率ではない。
ゆえに、そもそも子育て能力は、女のほうが高い。
たかが母乳ぶんだけであるとはいえ、
女のほうが明らかに「育児のために」体調が変化するのだから、
それ一つとっても、適性の差は超えられない。
「今の時代は粉ミルクがあるから」と言われても困る。
たとえ母乳が出なくても母親は乳首を吸わせることで、
子供は乳首を吸うことで、
生理的に好ましい条件が揃う、という医学的な現実がある。
それは母乳神話などという寝言とは関係なく、
ヒトという動物が、その動作によって健全さを得るというだけのこと。
この話するといきなり発狂するクソビッチがいるから嫌になる。
いずれにせよ、
女のほうが育児適性が高い理由はまあ、他にもある。
月経関連の話なんて、女親でなければ対処が不可能に近いからだ。
・・・あえて女を追い詰めるようなことばかり喋っているが、
まさにそのとおり。
男は仕事のため、女のため、子供のためと、
自分が与えられる役割から逃げられない現実を、
子供の頃から叩き込まれて生きている。
だから今更、女のために稼ぐ、そのために耐えるということに、
何ら躊躇をすることはない。
どのみち逃げられないのだから、その責任は引きずるほかないのだ。
しかし女は妊娠することで初めて、
毎日、常時強いられる責任の重さというのを理解する。
女の子は妊娠している間、酒も飲めないんだと言われても困る。
男だって好きでもないのに飲まされるし、
好きであっても飲まないようにしている。
たかが1年弱すら耐えられないというなら、
運動部の筋トレやプロテイン摂取だって続きはすまい。
食事制限だって、まともな人間なら誰だって毎日やることだ。
たかが1年も、毎日常時強いられる責任に耐えられないなら、
そりゃあ、女であるという時点で、社会に出てくるべきじゃない。
男なら毎日常時やれていることが、女にはできない。
男は命を守った経験がない?
女と子供のために、嫌な上司に媚を売ってでも働かなきゃいかんのだが。
妊娠するとお腹が重くなる?
それに耐えるために若いうちから運動して鍛えておくんだが。
将来のためを思って行動するなら、
料理だって、やりたくなくても練習はする。
男だったら、将来のためと言われれば、黙るほかない。
たかが妊娠したくらいで、
たった3000gの責任の重さを、今更理解して、
たったそれだけでデカいツラしなさんな。
妊娠した私だけが大変だというなら、夫に頼るのはやめておけ。
自分だけが大変なのだから、他人に頼るべき道理がないだろ?
その子はあなたの子ではなく、あなたがた夫婦の子なのだから。
・・・妊娠まわりの悲喜交々というやつだ。
独身未婚の僕に心配されたくはなかろうが、
見てきた数なら医者より多いもんでね。