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生成AIを本気で活用する開発組織へ〜FaciloがChatGPT Pro導入を即決した理由

Facilo CTOの梅林です。
昨年12月にリリースされた「ChatGPT o1 pro mode(以下、o1 pro)」は、私にとってまさに衝撃的な存在でした。それまで私たちFaciloでは、GitHub Copilotを全エンジニアに導入するなど、開発生産性向上のための投資を積極的に行ってきました。しかし、Copilotがコーディングの“補助ツール”である一方で、o1 proは「プロンプト次第で完成形まで一気に持っていける可能性を秘めた」画期的なプロダクトでした。


1週間後の緊急会議と即決の投資


o1 proリリースから1週間後、エンジニアを全員集めた緊急会議を開きました。この会議にはCEOも参加しており、CEOの了承を得て「生成AIを本気で使いこなす」方針を決定。リリースから1週間以内に、一人あたり月200ドルのo1 proのライセンス契約を全エンジニア分実施しました。そして「本気で触ってみないと分からない。今の生成AIの限界を知る必要がある」という考えから、2024年12月から2025年1月にかけての約1か月間を「生成AI強化月間」に設定。この時の合言葉は「コードを書いたら負け」。多少プロンプト作成に時間がかかってもかまわないので、「1発でPull Requestを出す」を目指して取り組んでもらいました。

組織の急速な“AIシフト”


この強化月間で得られた大きな成果の一つは、プロンプトハックを含む開発ナレッジの蓄積です。どのようなプロンプトがいいのか、どのようにファイルを共有するのが一番効率的かなど、開発ナレッジを共有する仕組みを整えることで、組織全体が加速度的に生成AIを使いこなせるようになりました。短期間で社内の生成AI利用度合いを一気に底上げできたのは、明確な目標設定とナレッジ共有の仕組みがあったからだと思います。

ChatGPT Pro導入の“裏話”とFaciloならではのスピード感


o1 proを導入した2024年12月時点では、ChatGPT Proにはまだ法人アカウントの選択肢がなかったので、まずはエンジニアがそれぞれ個人アカウントで契約し、費用を経費精算する形式を取ることになりました。しかし、そのままだと会社としてのアカウント管理が煩雑になるため、合わせてChatGPT専用のデジタルクレジットカードをエンジニア全員に発行。スピード感を落とさないために年内の最終営業日中にこの対応を間に合わせてくれたコーポレートやCEOとのスムーズな連携のおかげもあり、エンジニア組織に留まらず全社的に素早く対応できたことは、Faciloが持つ“スピード感”の象徴ともいえるでしょう。

変化への不安とエンジニアの新たな生存戦略


「生成AIを半ば強制的に使うこと」に対してエンジニアから不安の声があがらなかったわけではありません。従来の開発スタイルが劇的に変わることに抵抗を感じるのは当然です。しかし、目まぐるしく進化する生成AIの世界でエンジニアが生き残るカギは、最新情報をいち早くキャッチアップし、どれだけAIの力を活用できるかにかかっています。これは目の前のプロダクト開発のためだけではなく、エンジニア自身の長期的なキャリア形成においても大きな意味を持つと私は考えています。

生成AI投資の必然性


実際、生成AIをうまく活用すれば、開発生産性が3倍から5倍、場合によっては10倍になるケースもあります。これが意味することは、もし会社が本気で生成AI活用に取り組まなければ、人的リソースが10分の1の競合他社に開発スピードで負ける可能性があることを意味します。Faciloがこれからも開発スピードを維持しつつ事業を拡大していくには、本気で生成AIと対峙する必要があり、この投資に悩む理由はありませんでした。ChatGPT pro以外のDev Enable環境構築としては、GoogleのVertex AI(Claude sonnet 3.5)などのAPIもエンジニアが自由に試せるよう導入しています。Cline、Devinなど、次々に進化するツールへの対応も含め、生成AIを使いこなすエンジニアは今後ますます価値を高めると確信しているからこそ、エンジニアが最大限力を発揮できる環境をエンジニアに提供できるように努めていきます。

生成AI活用に重要なのは個の体験


生成AIの活用に本格的に取り組む前には、生成AI活用に特化した期間限定のチーム(タスクフォース)を立ち上げて生成AIの活用方法を検討していく案もありましたが、最終的には見送りました。理由としては、それぞれのエンジニアが本気で生成AIと向き合わないと得られない体験や学びがあり、タスクフォース形式ではその体験や学びを言語化して共有していくことが難しいと考えたからです。結果として、毎週の定例ミーティングをナレッジ共有の場とし、情報交換を積極的に行うことにしました。それによって、個々のエンジニアが自分のペースで生成AIに向き合う自由度を確保しつつ、組織全体への還元もスムーズに行えるようになっています。

最後に


私がCTOとして掲げる今のミッションの一つは、生成AIを活用して開発生産性を高めること。そして同時に、エンジニアのキャリア形成を強力にサポートすることでもあります。これからも、生成AIへの投資と最先端の開発カルチャーを追求し続けることによって、Faciloがさらに飛躍できると確信しています。最先端技術を積極的に取り入れ続ける「いけてる」開発組織として、これからの新しい時代を切り拓いていきます。

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