『道は開ける』を読んで。
デール・カーネギーさんの本は、『人を動かす』が一番有名だと思うのだけど、個人的には『道は開ける』が一番好きである。
この本で一貫して述べられているメッセージは、「悩むより考えろ」であり、そのための方法論を悩みの生じる原因と結果を紐解きながら提示してくれる。精神的にきつい時にこの本で何度も救われた。
どんな内容が書かれているかは、多くのブログが紹介してくれているのと、本を買うのが一番だと思うので割愛するが、この本の中で特に印象に残った詩を紹介したいと思う。
「今日だけは」
今日だけは、幸福でいよう。リンカーンは「たいていの人々は、自分で決心した程度だけ幸福になれる」と言ったが、全くの至言である。幸福は内部から生じる。外部のことがらではない。
今日だけは、自分自身をその場の状況に順応させて、自分の欲望のためにすべてを順応させることを控えよ。自分の家族も仕事も運も、あるがままに受け入れて、自分をそれに合わせよう。
今日だけは、身体に気をつけよう。運動をし、身体を大切にし、栄養を取ろう。肉体を酷使したり、軽視することは慎もう。そうすれば、身体は意のままに動く完全な機会になるだろう。
今日だけは、自分の精神を鍛えよう。何か有益なことを学びとろう。精神的な無精者にはなるまい。努力と思考と集中力を必要とするものを読もう。
今日だけは、魂の訓練のために3つのことをしよう。誰かに親切を施し、気付かれないようにしよう。ウィリアム・ジェームズが教えているように、修養のために少ないくとも二つは自分のやりたくないことをしよう。
今日だけは愛想よくしよう。できる限り晴れやかな顔をし、穏やかな口調で話し、礼儀正しく振る舞い、惜しげも無く人を褒めよう。他人の批判や粗探しを慎み、他人を規則で縛ったり、戒めたりすることをやめよう。
今日だけは、1日だけを生き抜くことにして、人生のあらゆる問題に同時に取り組むことをやめよう。一生の間に続けるとしたら、嫌気の刺すような問題でも、12時間なら我慢できる。
今日だけは、1日の計画を立てよう。処理すべき仕事を1時間ごとに書き出そう。予定通りにはいかないかもしれないが、とにかくやってみよう。そうすれば、二つの悪癖ー拙速と優柔不断と縁が切れるかもしれない。
今日だけは、たった一人で静かにくつろぐ時間を30分だけ生み出そう。この時間を使い、時には神について考えよう。人生に対する正しい認識が得られるかもしれない。
今日だけは、恐れないようにしよう。特に幸福になることを恐れたり、美しいものを楽しむことを恐れたり、愛することを恐れたり、私の愛する人が私を愛していると信じる事を恐れないようにしよう。
(デール・カーネギー「今日だけは」『道は開ける』)
一生のことは考えきれないけど、今日1日なら考え切ることができる。
一生正しくは居られないけど、今日1日ならありたい自分を目指すことができる。
一発逆転なんてほとんどないし、夢を語るだけじゃ現実は変わらないし、人を羨んでも自分は変わらないけど、今日1日の自分を変えることができれば、一生が変わるかもしれない。
最近、尊敬する友人から改めてこの本を紹介してもらったので、たまたま読んでくださっている方々への共有と備忘録を兼ねて。