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システム開発時のトラブル案件について

システム開発をしていると、一度は経験するかもしれない「炎上案件」。今回は、私が過去に途中から参加することになった炎上案件についてお話しします。

炎上案件が発生する原因はさまざまですが、私の経験上、以下の点が疎かになっていることが多いと感じています。

  1. コミュニケーション不足

  2. 重要な部分のドキュメント化の欠如

  3. 特定の人にしかできない作業が存在する

  4. 情報共有の不十分さ

特に海外で働いていると、言語の壁が原因で情報共有が難しくなることがあり、私はこの点に非常に気を使っています。


炎上案件に途中から参加した場合の対処法

炎上案件に途中から参加することになった場合、まず私が行うのは「現状把握」です。具体的には、チームメンバー一人ひとりに話を聞き、現在の状況を確認します。プロジェクトマネージャー(PM)やエンジニアなど、立場によって視点が異なるため、それぞれの意見を聞きながら、全体像を図にまとめていきます。

今回のケースでは、まずトラブル処理のフローを整理することから始めました。例えば、以下のような流れを確認しました。

  1. お客様からの問題報告

    • どの画面のどの部分で計算が間違っているのか、具体的な指摘内容を確認。誰と会話をしているのか。

  2. 情報の受け渡し

    • 誰がその情報を受け取り、誰が課題管理リストに登録するのか。誰が翻訳するのか。

  3. エンジニアへの伝達

    • 問題点をエンジニアに伝えた後、誰が修正を行い、誰がチェックを担当するのか。

  4. 最終確認

    • 修正後の最終チェックを誰が行うのか。

このあたりのことを注意しながら作業フローを整理することで、問題点が明確になります。


海外での炎上案件で特に注意すべきポイント

海外で働いている場合、特に注意が必要なのは「言語の壁」と「文化の違い」です。今回の案件でも、日本人からタイ人への情報伝達や仕様の確認において、いくつかの重要なチェックポイントがありました。

日本人エンジニアやPMは、「自分でやった方が早い」と考えてしまい、簡単な修正を自分で対応してしまうことがよくあります。しかし、これを続けると、最終的に本人がボトルネックになり、プロジェクト全体の進行を妨げることになります。特に炎上案件では、PMやリーダーが過剰に負担を抱え込むことで、状況がさらに悪化するケースをよく目にします。

そのため、チーム全体で協力し、問題解決に取り組むことが重要です。


問題点の特定と解決策の模索

コミュニケーションフローや担当者の役割を整理していくと、問題点が徐々に見えてきました。今回の案件では、以下のような課題が明らかになりました。

  1. 課題リストの管理不足

    • お客様とエンジニアの間のコミュニケーションをPMが一人で担っており、課題管理が十分に行われていませんでした。

  2. テストの属人化

    • テスト作業もPMが一人で行われており、負担が集中していました。

  3. 仕様書の言語問題

    • 仕様書がほぼ日本語で記載されていたため、タイ人エンジニアは内容を想像しながら修正を行っていました。

これらの課題を解決するために、まずはボトルネックとなっている部分を特定し、解決策を図にまとめながら検討しました。


解決に向けた具体的な取り組み

海外プロジェクト炎上案件で最も多い原因は「コミュニケーションミス」です。私自身も、過去に「伝えたから大丈夫だろう」と思っていたことが、実際には伝わっていなかったという経験を何度もしています。。

こうしたミスを防ぐために、以下のような取り組みを行いました。

  1. 情報伝達の仕組みを改善

    • お客様からの問題報告をまず英語(またはタイ語)に翻訳し、その後PMがエンジニアに伝える形を取りました。

    • 通訳を依頼したり、エンジニアからのフィードバックを積極的に取り入れることで、情報の正確性を高めました。

  2. エンジニアのスキル把握とサポート体制の構築

    • 各エンジニアのスキルや得意分野、苦手な部分を洗い出し、それに応じたサポート体制を整えました。

    • 例えば、発注プロセスのコンセプトを理解している人を補助としてアサインするなど、適切な人材配置を行いました。

  3. 課題管理の徹底

    • 課題リストを活用し、各課題の進捗状況(調査中、修正中、テスト中、完了など)を明確に管理しました。

    • 朝会や夕会を通じて、進捗状況をチーム全体で共有しました。


安定した運用までの道のり

こうした取り組みを行っても、プロジェクトが安定するまでには時間がかかります。今回の案件でも、ある程度流れが安定してきたのは、取り組みを始めてから約2-3週間後のことでした。

2週間が経過すると、エンジニアたちも自分の役割ややるべきことを理解し始め、チーム全体の動きがスムーズになってきました。お客様にも状況を丁寧に説明し、まずは目の前の問題を一つずつ解決していくことで、プロジェクトを立て直すことができました。


炎上案件を防ぐために

炎上案件の多くは、情報伝達のミスやコミュニケーション不足が原因です。そのため、問題が発生した際には、まずコミュニケーションルートを「見える化」することが重要です。フローを図にまとめることで、どこに問題があるのかが明確になり、解決策を見つけやすくなります。

炎上案件は誰にとっても大変な経験ですが、適切な対処を行えば、必ず改善の道は見えてきます。チーム全体で協力し、問題解決に取り組むことが成功への鍵です。

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