キングオブ必然
コラージュ制作の際は、「だいたいこんなふうになるだろうな」とつくる前に仕上がりを想像するのですが、いざはじめてみると、ほとんど想像通りにはいきません。
なぜかというと、はじめの想像が、かなりぼんやりとしているだからです。顔ならば、かろうじて女性とわかるくらいのぼんやり。
素材を切ったら、それを紙にぽんぽん置いていくのですが、どの位置に置くかはすべて成り行きまかせです。僕は手を動かしながらそれを見守るのですが、偶然の成り行きのなかに一瞬「あ、ここしかない」という必然が生まれます。
偶然の隙間に立ち現れる必然というのは、必然のなかの必然、キングオブ必然という気がします。そのキングオブ必然を導き出すためには、やはり偶然の成り行きという道程がどうしても必要なのです。
うねうねとフォルムが変容していくなかで、「あ、ここだ」「あ、ここだ」を繰り返していくと、自動的に顔になっていきます。そして、「あ、もうおしまい」という瞬間(必然)がきて制作終了です。
だからいつも「こんな顔にしよう」としてこんな顔になったのではなく、気がついたらこんな顔になっていた、というかんじです。
木村タカヒロ日記(2018/3/7)より
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