「当たり前の一つ奥深くを言い当てる」 I-MAGE OBOGインタビュー第一弾
「当たり前の一つ奥深くを言い当てる」
I-MAGEから得た学びで社会人として活躍を続ける大先輩
OBOGインタビュー Vol.1 稲毛 亮太
企画づくりを体系的に学びながら実践する4ヶ月間の学生向けプログラム I-MAGE。
この連載では、受講当時に感じた学びや成長、また受講後どのような進路を歩んでいるのかについてお話を伺います。
今回は、社会人として活躍されながら、I-MAGEの講師をご担当されている稲毛 亮太さんにお話を伺います。聞き手は、I-MAGE17を受講した、OBの福原 健太です!同じI-MAGEを受講した先輩として、I-MAGEでの学びやこの経験が将来のどのように活きているのか、伺ってきました!
稲毛亮太
早稲田大学文化構想学部卒業後、新卒で総合広告代理店入社。
大学一年生の時にI-MAGE6を受講し、二年生の時にI-MAGE7を受講。その後、社会人アドバイザーとしてI-MAGEに参画。現在は、I-MAGEにてコンセプトメイキングの講義を担当。
関心はあるが動き出せていなかった
何か足りない大学一年目
福原:大学一年生の夏に受講を決めるきっかけをお伺いしてもいいですか。
稲毛:私はもともとSNSやメディア、アート、デザインといったものに興味がありました。
しかし、自分から何か活動したことはありませんでした。大学に入学し、いくつかサークルとかに入ったのですが、大学の時間割の都合でなかなか定着してなくて。何かやりたいなとは思いつつも、あまりきっかけをつかめずにいましたね。
そんなとき、大学で同じ授業を必修で取っていた同級生から「I-MAGE6期の受講生を募集しているから応募しよう」と誘われました。メディアやザインには元々興味があったし、サークルもそんなにしていなかったので「やってみよう」と思い、受講を決めたのが始まりですね。
自分の考えを発信できるように。先導できるように。
福原:実際に参加されてみて何か得られたものなどありますか。
稲毛:I-MAGEを受講して、メディアやデザインについて学べたことも大きいですが、1番身についたスキルは、発言力だと思います。もともと、人前で意見を出すことが得意ではなくて、みんなの話を聞いて整理する聞き役として立ち回ることがほとんどでした。でも、チーム活動をする中で、自分の意見を言ったり発表したりすることが徐々にできるようになっていきました。
特に2回目の受講では、チームメンバーの意見をまとめつつ発言していく役割まで出来るようになっていったので、成長を感じましたね。仲間と何かを作る中で自分の意見をきちんと言うとか、話をまとめるとか、そういったスキルが確かに身についたと感じています。
また、I-MAGEでの講義がとても新鮮でした。特に、印象に残っているのは、現在も講義を担当されている、加藤先生による「アイディア発想法」です。当時ほとんど座学だった大学の講義と違い、ワークショップ形式での講義が楽しかったこともありますが、講義内容がとても新鮮でした。アイディアってすごく難しく、優れたものを出さないといけないと思っていたんですが、意外と数を出していくものなんだということが、大きな気づきでした。あのときの発見と学びは、すごく印象に残っているし、若い時に学んでおいてよかったなと、今でも思います。
スキル以外の部分では、多様な価値観に出会えたことが本当に良かったと思っています。I-MAGEって、本当にいろんな人がいるんです(笑)。普通に大学に通ってたら出会わないような、人柄やバックグラウンドが全く違う人たちと一つの物事を一緒にするのは、本当に刺激的でした。自分にない価値観を持ってる人が世の中にはたくさんいる。そういう人たちに向けて、企画を通して、いかに自分の意見を伝えて融合させていくかを考えたことは今の仕事にも活きてますね。
「当たり前の一つ奥を言い当てる」
今なお生きるI-MAGEでの学び
福原:大学卒業後から今までのキャリアは、どのように歩まれたんですか。
稲毛:僕は、大学時代の多くをI-MAGEの活動に充てていたので、企画づくりに近いことをできる仕事がしたいなと思っていました。当時の選択肢としては、メーカーに入って特定の商品を宣伝するマーケティングもその一つでした。しかし、僕は一つのものをずっと売ったり、一つの社会課題に一生命を捧げるよりも、商品や社会に問題や課題を持っている人のサポートをする方が面白いと思いました。
なので、メーカーの宣伝部やNPO団体ではなく、メディアや広告業界に入って今までI-MAGEを通して学んできたことをプロとしてやっていきたいと思ったんです。
そこで、新卒で大手広告代理店に入社し、今年で11年目になります。最初の3年は営業マンとして働き、4年目から現在まで、マーケッターとして勤めています。
福原:マーケッターとして働かれている中で、I-MAGEが活きているなと感じる瞬間って、ありますか。
稲毛:そうですね。I-MAGEでの経験は、すべて繋がっているなと感じる場面が多くあります。アイディアの出し方やチームのまとめ方もその一つです。ほかにも、会社にはいろいろな考え方を持った人がいて、必ずチームで企画づくりをします。そのときはI-MAGEで積んだ経験が本当に直接活きているって実感しますね。
また個人的にI-MAGEで学んですごく活きてると思うのは、物事の一つ奥を考えることの大事さだと思っています。I-MAGE6で環境問題をテーマに、「リサイクルって大事だよね」という考えから「ペットボトルをポイ捨てせずにリサイクルしよう」という企画を作ろうとしました。でも、途中で気づいたんですよね。「そもそもリサイクルする以前に、ペットボトル使わない方が環境にとっていいんじゃないか」と。今となっては、それが僕にとってすごく大きな学びであり気づきだったなと思っています。
環境問題を扱おうとか、リサイクルは大事だとか、そりゃそうなんですよ。正しい事だけど、当たり前にみんなが思いつくことであって、みんなが忘れてる大事なことではないんです。本当に大事なことは、リサイクルが必要な状態にそもそもしないっていう根本的な部分じゃないですか。
仕事でも大事なことは、その気づきとまさに一緒です。何か売りたい飲み物があったときに、おいしいって伝えるだけでは誰も買ってくれない。こういうときに喉を潤したいとか、こういうときに気分を上げたいとか、あなたの根本的で本質的な問題はこれですよね、ということをきちんと見分けられるかというのが、本当に人を動かせるかの分かれどころなんです。「当たり前」の一つ奥深くを言い当てられるか。この気づきは本当に10年以上活きている象徴的な学びの一つだったと思ってます。
企画作りに必要不可欠な「コンセプト」の教室
福原:稲毛さんには講師として「コンセプトメイキング」という講座を担当していただいていますが、この講座について少教えていただけますか。
稲毛:数年前から、コンセプトメイキングという講座の講師を担当しています。この講座では企画を作り込んでいく前段階で必要になる“コンセプト”という考え方に焦点を当てています。
アイディアをたくさん出せるようになると、逆に考えがまとまらなくなってしまい、何をやりたいのか分からない企画に陥ることが多くあります。それを防ぐためにあるのが、コンセプトです。講義前半ではブレない企画を作る方法について、コンセプトという言葉を用いて座学形式で紹介していきます。後半は実際にコンセプトを作る体験型ワークショップで実際に考えていくという内容になっています。
福原:ありがとうございます。お話を聞くだけでワクワクしますね。
いつか課題に直面した際に、全力で動けるだけの準備を
福原:最後に、これから5年,10年後の目標について教えてください。
稲毛:僕は、いつか自分が絶対に解決したいという事態に遭遇した時に、学んだことを使って十分に助けられる状態になっていたいなと思っています。
例えば、捨て猫について、ものすごく課題意識を感じて「撲滅しよう、それが俺の人生のテーマだ」っていつか思うかもしれない。それは5年後かもしれないし、明日かもしれないれけど、その瞬間にすぐその活動に当たれるぐらいの能力と知識をつけていたいんです。この問題の根本的な課題って何だろう、どう調べよう、どうやって世の中に広めようか。その知識と能力を身につけて、いつでも全力で動けるような状態にしておくのが、今後長期的に目指す目標だし、これまでも目指してきた目標です。
I-MAGEでは、今後も引き続きOBOGの声を記事にして発信していきます。それぞれの学びがその後の学生生活や社会人生活にどのように繋がっているのか。役に立っているのか。詳しくお話を伺います。
I-MAGEの受講について気になった方は、I-MAGEの公式SNSやサイトをご覧ください!
(インタビュー・執筆:福原 健太 撮影・クリエイティブ:島袋 響)