弥生時代の器
このプロダクトは、すでに弥生時代に行われていたとされる稲作をイメージし、「米」を主原料につくりました。
引用:静岡市登呂博物館
この器は、どうやって出来上がったの?
原料は、「割れ米」と「脱脂米糠」です。
「割れ米」とは、収穫した玄米を、精米して白米にするときにどうしても出てしまう、小さく割れたお米です。
その「割れ米」をつなぐ役割として、「脱脂米糠」と混ぜました。
玄米を精米するときにできる「生の米糠」には、まだ油が残っていて、搾油すると出来上がるのが「米油」。
そして残ったものが「脱脂米糠」です。
この2つの原料を、fabula社 独自の技術により、熱圧縮加工で、平椀に成形します。
生活の中で、より手軽にお使いいただけるよう、最後にウレタンコーティング加工を施し、完成しました。
「割れ米」とは?
この割れ米は、埼玉県松伏町にある、農業法人(株)はちぼくからお預かりしました。
地元の小学生達の見学も毎年受け入れられ、食育にも積極的なお米農家さんです。
この割れ米、ご覧の通り、私たちが目にするお米より、粒が小さいだけ。
この小さな割れ米が入った状態で炊飯すると、どうしても口当たりが悪くなるとのこと。
「美味しいご飯を食べていただきたい」と考えると、食べられるのに勿体無い、と思いながらも、割れ米は選別して出荷はせず、圃場に戻すことがほとんど、とのことでした。
どうりで、私たちが食べるご飯は、粒の大きさが均一に揃っているイメージがありますね。
こうした、お米の製造過程で出る資源を、利用できないか、という想いをお持ちで、今回のプロダクトにご協力くださいました。
平椀 製造中の様子は?
お米100%に、熱を加えると・・・、そうです、お煎餅のようになります。
製造現場は、美味しそうな香りでしたが、製品化には苦労が伴いました。
お煎餅化しないギリギリの境を見極め、お米の粒の感じが残る仕上がりを目指す。
そして今回、制作した3種類の素材のうち、粒の状態を含むのは、このタイプだけですが、平椀の金型のフチまで、2つの形状の違う素材が、綺麗に行き渡るよう、試行錯誤の連続でした。
米糠を炒ったような香ばしい色合いと、お米の透明感。
一見異素材だけれど、もとはどちらも、稲穂から生まれたもの。
お米の粒のテクスチャーも楽しんでいただける、味わい深い、素敵なプロダクトになったと思います。
100%天然素材なので、ひとつとして同じものはありません。
それぞれ、少しづつですが、異なる⾵合いです。
その辺りも、楽しんでいただきたいです。
fabula社の想い
わたしたちfabulaは、100%天然由来の、有効活用できる可能性を秘めた「未利用資源」を、新たな素材に生まれ変わらせます。
ただリサイクルするだけでなく、生活を豊かにするプロダクトとなるよう、色合いやテクスチャーにもこだわりながら、新しい価値を生み出すことを目指し、活動しています。
はちぼくも、今回の原料「割れ米」を含め、活用しきれていない資源を、より有効に活用できたら、というお考えを常にお持ちです。
この平椀をお手に取っていただいた方に、カタチになるまでのストーリーを知っていただき、更には、世の中の様々な未利用資源をどう活かすか、といったテーマにも、興味を持って頂くきっかけになれたら嬉しいです。
※お取り扱い上の注意
・食器としての使用はお控えください
・原料へのアレルギーをお持ちの方は、使用しないでください
・食べ物ではありませんので、口に含まないようご注意ください
・お子様のご使用時は、保護者の目が届く所でご使用ください
・食品が直接触れるような使用方法はおやめください
・水や湿気の多い箇所は避けてご使用ください
・水滴などがついた場合には、すぐに布巾などでお拭きください
・天然素材のため色や風合いが経年で変化します
・野外への放置は変形や劣化を促進させるためおやめください
・開封時に原料の香りがする場合がございます
・記載された条件以外での使用で生じた損害などに関しては、当社は一切の責任を負いかねます
「飛鳥時代」「鎌倉時代」をイメージした食材を使用したプロダクトについてはこちらから
このプロダクトは、国立科学博物館(東京・上野公園)にて開催されています特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」で販売しております。