HISADAKE (モリオン航空) インタビュー「イラストレーションから紡がれる言葉」試し読み|『faber! no. 2』特集「拡張する衣服」
イラストレーターのモグモさんと共に企画ユニット・モリオン航空を主宰するHISADAKEさん。
細かな企画設定と美麗なイラストレーションが組み合わさったオリジナルの企画設定集を定期的に発行している。
中でもケモノ×VRファッションをテーマにした同人誌「KEMONO FABRIC」シリーズは商業画集発行を経て、VRファッションブランドへ展開する大きな広がりを見せている。
そのような独自の視点で斬新な活動を行うHISADAKEさんのこれまでの歩みや企画の発想源について伺った。
HISADAKE(ひさだけ)
モリオン航空で企画や設定、漫画原作などを担当。
最近は「紙縞」名義で文章の仕事もしてます。
モリオン航空(もりおんこうくう)
2012年よりモグモとHISADAKEで活動している同人サークル。
代表作は『永久×バレット』、『ケモノファブリック』。『機動戦士ガンダム 水星の魔女』では企画協力で参加。
◯公式サイト: sites.google.com/view/morionairlines
—ここからは、VRファッションをテーマにしたモリオン航空の企画「KEMONO FABRIC」についてお聞きします。KEMONO FABRICでは、新たな経済圏となったVR空間で独自のファッション文化が発達し、それが現実に影響を与え始めている近未来が描かれています。この設定もモグモさんのイラストから起こされたものなのでしょうか。
モグモさんが描いてくださった「かわいい服を着たケモノ耳の女の子」を設定に落とし込むときに、VRならすべて筋が立つと思いました。ケモノ耳や角とリアルな服飾が同じ世界線にあってもおかしくない設定をつくってしまおうと。様々な要素を潰さずに違和感なく世界観を広げていくために、VRという許容度の広いジャンルを選んでいます。設定を考える際は、風呂敷はなるべく広く敷くんです。
—VRが当たり前になった現状をふまえると、KEMONO FABRICの世界観もそう遠くない未来のように感じられ、制作当時からリアリティのあるSF空間を構築されていたことに驚きます。
シリーズ一冊目の同人誌『KEMONO FABRIC TOKYO』は2018年に発行していますが、その制作当時からVRの時代が来ると主張している人たちが居ました。本当にVRに人間関係や社会ができるなら、ファッションで自分のステータスを示すことが重要視され、VR大服飾時代が来るだろうと思ったんです。
—その『KEMONO FABRIC TOKYO』は『少し未来の世界に「ひどいこと」が起きてから幾年—。仮想現実空間にはもう一つの経済圏が生まれていた。』という書き出しから始まります。この記述はCOVID-19が流行し、巣ごもり需要も相まってVRが一気に広まっていった2020年の状況を彷彿とさせます。
この設定は実は永久×バレットと繋げたかったんですよ。KEMONO FABRICと永久×バレットは同じ世界線の物語として設定していて、「ひどいこと」というのは怪獣によって世界がめちゃくちゃにされてしまったことを指しています。だから感染症とは全く関係ないのですが、たしかに被っていますね。
—2022年に発行されたシリーズ最新作の設定資料集『KEMONO FABRIC VIVARIUM TRANSFER』では、作中にAIが登場しています。AIによって新たなカルチャーが生まれる様子と、その問題点や危険性の両側面が描かれているのが印象的でした。
制作当時はMidjourneyが出たての頃で、達者だけどまだ細部の描写は苦手だとか言われていた時期なのですが、そのような問題を全部クリアして人を泣かすようなAIが絶対にできるだろうという話をその時にモグモさんとしていて、覚悟していました。そうした中でKEMONO FABRICの世界を考えると、AIによってワールドが自動生成されて、そこから新しいカルチャーが生まれるかもしれない。そのようなAIがつくる野生のようなものを描いたらおもしろいと考えました。
このインタビューの続きは……
カルチャーマガジン『faber! no. 2』で読むことができます。
faber! no. 2
1500円/A5変形/68P
2023年8月13日(日)コミックマーケット102
東京ビッグサイト東展示棟[日-東プ10a]
BOOTHでの販売も予約を受け付けております。
https://faber.booth.pm/
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