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ビリー・ジョエル:ライヴ・アット・ヤンキー・スタジアム 感想&見どころ解説 ①

観てきました。10月5日と9日に2日間限定で上映されたヤンキースタジアム。
詳しいこの公演の概要と楽曲の解説はここにはもう書きません。
あくまで今回公開された新編集版の印象、感想と当日の演奏の見どころ聴きどころ、演奏のクオリティなどを紹介します。

まず、新編集の印象。当時製作されたオリジナルのカット割り多すぎ&アングル近すぎ&映像揺れ揺れ編集に比べるとかなり観やすい。ただ、やはり映像の暗さは最初は少し気になるし、Pressureなどビリーが動く曲になった時の見辛さなど完璧な映像作品に生まれ変わったとまでは言えないと思います
(映像監督はオリジナルも今回の新編集版も同じビリーの旧友ジョン・スモール)。
とはいえ、ちょっと苦痛なレベルで見辛かったのが「ちょっと見づらいかな」くらいに変わっただけでもオリジナルを長年我慢しながら見てきた者にとっては感動ものでした(笑)。

4K画質ということで確かに鮮明な画質。ただ若干フィルムグレインが気になりましたね。ビートルズのGet Backみたいに除去しすぎちゃうのもだめですけど、ある程度のノイズ除去はしてもよかったと。

映像自体の暗さもかなり指摘されていましたが、個人的には慣れてしまえば大丈夫でした(照明が当たらないPressureでちょっと気になったくらい)。DVDが出たらオリジナルの明るさに準じて色調補正してみるといいかもしれません。
実はもっと適度な距離でビデオ撮りしてる映像があればなとずっと思っていたのですが、1曲目のStorm Frontのシーンでオリジナルにはなかった会場のスクリーンが映る所があったのですが、そこに映ってるビデオ映像の方が観やすかったという。

ちょっと話が逸れましたが、文句なしに素晴らしかったのはマルチトラック録音から再構築された音声。オリジナルでも音声に対しての不満はそこまでありませんでしたが、今回の編集によってよりメンバー各人の音がくっきり、鮮明になっていて本当に素晴らしい。
途中で挟まれる舞台裏インタビューパートでMy LifeとAllentownが完璧なインストで使われていたのが分離がしっかりされているミックスだという証拠かと。
最も感動したのはやはり未公開だったUptown Girlとエンドクレジット後に部分的ながら登場したPrelude / Angry Young Manのシーン。完全に未公開だったこの2曲が観れたのは本当に驚きでした。

ここからは各曲ごとに演奏や映像のポイントを紹介します。

まず前提として今回上映、そして11月にリリースされる映像版に収められているのは当日の演奏から10曲近く(半分近く)がカットされているという事実を記しておきます。
また、映像では2日間行われたライブのうち2日目である23日の様子が記録されています(11月にリリースされるCDでは22日の演奏もミックス)。
初日である22日のサウンドボード音源は不完全であるもののビル・グレアムのアーカイブサイトで公開されているので、その音源との比較も含まれます。

1. Storm Front 
ストー厶ツアーでは必ずオープナーだったタイトル曲。ビリーのボーカルがとにかく素晴らしく、バンドの演奏も超タイト。
この曲はライブだと輝くというのを証明する名演。サングラス姿のビリーはやはりこのツアーを代表するビジュアル。
この曲のポイントの一つであるサックスとコーラスを担当するマーク・リベラとクリスタル・タリエフェロがステージ前面に出て演奏する。

Take Me Out To The Ballgame 
特に解説することはないが()、観客はとにかく大合唱。

2. Scenes From An Italian Restaurant 
オリジナル版では3曲目に配置されていたこの曲が実際の演奏順に従ってこの位置に移動。
ビリーのピアノは少しミスタッチが目立ち、クオリティ的にはまずまずといったところ。ただマークのサックスは相変わらず素晴らしい。
演奏後23日が息子の誕生日のマークの紹介。この日は全員のメンバー紹介を野球のポジションにたとえているが、初日は普通に紹介している。

3 .The Downeaster “Alexa” 
アコーディオンを持つビリー。演奏前にアコーディオンで遊ぶ場面などはオリジナル版には含まれていないのでなかなか貴重。
夏がはじまる〜ゴミがあるから泳ぎはやめておこう〜漁師に捧げるといったMCはこれまた初日には行われていない。
ビリーのボーカルはパワフルで高音も出ていて文句なし。バンドの演奏もまさに波打つようなリバティのドラムはじめ素晴らしい。
バイオリンを弾くのはジョン・メレンキャンプのバンドなどに参加していたリサ・ゲルマーノ(正しい発音はジェルマーノ)。バイオリン奏者は固定されているわけではなく、ツアーの前半ではまた別の人物が担当している。
曲終了後に編集ミスか、キーボードのジェフが次に演奏する「Goodnight Saigon」のヘリの音を試しに出している音が少し入ってしまっていた。続いてリバティの紹介。相変わらずビリーと仲良さそうに喋っている。

4. I Go To Extremes
オリジナル版では2曲目に配置されていたこの曲も当日の曲順に沿ってここに移動。
演奏の勢い、ビリーの歌声などMy Livesに収録されている同年LA公演とともにベストテイクと言える素晴らしい演奏。
サビの高音アドリブボーカルも声が出まくっているし、後年はクリスタルに任せる事が多い「I Don't No Why」の部分もビリー1人で歌いきっている。
途中「I Go To Extremes」を「I Go For Ice Cream」と替え歌する名場面(?)が別アングルで観れたのも新鮮。
最後のピアノパートでのケツピアノはまだストームツアーでは定番化しておらず、River Of Dreamsツアーから毎回やるようになったのでここでも披露していない。椅子を蹴飛ばすビリーはいつ観ても痺れる…

5.  Pressure
デヴィッド・ブラウンがテレキャスターからレスポールに持ち替える。
ビリーはステージ下手に設置してあるKORGのキーボードに移動。このツアーからビリーが色々な方向を向きながらキーボードを弾けるようにスタンド(?)の所が360度動くようになった。
とにかく照明が当たらずカメラも近いためまぁ見辛い。間奏の部分でステージ上手に設置してあるKORGに向かって走って移動するが、通常の長さでは間に合わないため引き伸ばしているのが面白い(これもこのツアー定番)。
演奏部分に関して触れると、歌い方などに「遊び」を入れる事が多いこの曲にしては珍しく慎重に歌っている印象で非常に堅実な演奏になっている。
演奏後シュイラーディール(正しい発音はスカイラーディール)の紹介。再びテレキャスターに持ち替えるデヴィッド。
 
6. ヤンキー・スタジアム・ストーリー (舞台裏映像)
ここでMy Lifeのインストをバックに新たに製作された舞台裏映像の登場。オリジナル版の冒頭に含まれていたドキュメンタリーは今回カットされている(あまり出来の良いものではなかった)。
ビリーが会場付近にあるヤンキースの偉人を紹介する展示の前で解説をする。ベーブ・ルースやジョー・ディマジオを観れなかった者としてはヒーローはビリー・マーティンだったと語られる。ちなみにジョー・ディマジオの名前はWe Didn't Start The Fireにも登場する。

長くなってしまいそうなので続きは②としてまた近日書いて公開します。