職人技
ほぼ毎日、通勤や所用で地下鉄に乗ります。
今はホームにドアがあるせいか、停車位置は割と厳密になっていると思うし、速度が超過したらATCの車内信号で強制的にブレーキがかかることもあるので、慣性の法則で身体が前やら後ろやら引っ張られることも経験しています。ありていにいえば、ダイヤどおりに運転していれば、運転手による上手・下手の差は大きくないと思うし、実際そうだったりします。
でも、今日の帰宅時に乗った運転手は違いました。
地下鉄が到着し、ホームと車両のドアが同時に開いて、時刻になって車両とホームのドアが同時に閉まり、発車。床下から日立製VVVFインバータの変調音が聞こえて加速したかと思ったら、次の駅が近づいたので一気に減速して、段階的にブレーキを緩めて惰性で少し進んだらまたブレーキをかけて、日立製全電気ブレーキ装置特有の「ブ~ン」の音が床下から聞こえたら、またブレーキを一瞬緩めて停車したのでした。←言葉で説明すると「???」と思われたかもしれませんが、まとめれば、
・ATCが機械的にブレーキをかける前に運転手が先に原則操作を行い、
・惰性をうまく使って慣性の法則で身体がよろけるのを軽減し、
・ブレーキを手抜きせずに微妙に操作し、所定の位置にぴたりと止める。
これをすべての駅で停車前に行っていました。
自分の体感ですが、速度がゼロになる直前にブレーキを緩めて惰性で進むと身体が前のめりにならずに済むので、停車直前でありながら踏ん張らなくてよくなるから、身体が“フッ”と軽く感じられるんです。それだけでも身体に負担が減るから、かなりラクになります。
「滑らかな減速で、職人技だ」
と思いながら、自宅最寄り駅まで上質の運転テクニックを堪能したのでした。
普段、運転手の違いによるテクニックの差を感じることはないと思います。それは閉塞という鉄道特有の概念や、ホームドアで停車位置が厳密という事情がそうさせているのですが、そんな中でも技術を極めようとしている人がいるんだなと、実感したのでした。
運転免許を取って何年の誰なのかはわからないけれど、素敵だ。
(お読みいただきありがとうございました。内容に共感していただけたら心付もお願いします)
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