表裏反対
朝、いつもの時間に地下鉄がさっぽろ駅に到着し、地下コンコースを歩いてビルへ向かい、1階からエレベーターに乗ったときのこと。
定員24名のエレベーターに十数人が乗ってそれなりに込み合っている状態になったため、自分は入口から少し横によけて奥にずれたら、自分の左斜め前に50代と思われる女性が乗ってドアが閉まり、静かに上昇を始めました。上昇中は皆、虚空を向いて終始無言。バスや電車内と同じで、知り合いではないから会話もないわけで、自分も他の人と同じように虚空を見つめつつ、階層を示すデジタル数字をときどき確認していたのでした。
その、視線を虚空に向けていたとき、自分の左斜め前に女性が視界に入ったのですが、よくよく見ると・・・
カーディガンが表裏反対
であることに気づきました。襟にはタグが堂々と“こんにちは”と出ていたし、肩と袖との縫い目部分もモロに露出していました。着ている当人はそのことに気づいていない一方で、自分を含めた数人は逆に気づいたに違いありません。だから「反対ですよ」と声をかけようかとも思ったけれど、誰もが押し黙っている状態で声を出すのは相当な勇気がいるし、逃げ場のない密室で言われれば当人は相当恥ずかしいはず。そんな自分と相手の心情をおもんばかると、
表裏反対を指摘することはできませんでした。
結局、その女性は誰にも指摘されずに途中の階でエレベーターを降りました。なので、出社して同僚から「反対ですよ」と言われた可能性はありますが、帰宅時にその女性とまた一緒になることはなかったので、その後のことは定かではありません。
こういう場合、間違いを当人に指摘すべきなのでしょうか。ありがちな出来事だし、逆ギレはされないと思うけれど、場所とタイミングと“空気読め”によっては老婆心が逆効果になるでしょうから、けっこう考えてしまいます。
うーむ・・・。
(お読みいただきありがとうございました。内容に共感していただけたら心付もお願いします)
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