008便 女の世界 行き
こんにちは。元客室乗務員の夏果です。
今日も客室乗務員時代のエピソード編です!テーマはズバリ「女の世界の上下関係」!!
今日のフライトはほんの少しブラック。途中揺れますので、シートベルトはお忘れなく。女の世界の笑い話として楽しんでいただけたら幸いです。
ではでは離陸。
以前の記事で、客室乗務員時代、尊敬していた先輩や同僚7人をひそかに、私的「神7」と呼んでいた話を書きました。
これとは逆に、
・恐ろしい目つき
・後輩をイビるために繰り出される言葉の数々
・斬新なパワハラ術
これらを武器に、数多くの客室乗務員たちを恐怖のどん底に陥れ、機内や部署内の治安を乱す、
要約すると、
とんでもなく嫌な奴
を3人選出して、私的「悪の枢軸」と呼んでいました。
この私的「悪の枢軸」、最初は律儀に3人に収めてたんですけど、3年も経つと、嫌な奴がゴロゴロと出てきて、もう最終的には7〜8人くらいになってたんですけど、それはまあ良いとして。
今回は、元祖「悪の枢軸」の3人のうちの一人、Sさんの話をさせていただきます。
Sさんと初めて一緒にフライトしたのは、私がまだ乗務歴が1年にも満たない、所謂新人と呼ばれていた時のことです。
この後、Sさんとは何度もフライトで一緒することになり、そのたびにイビられるのですが、まあ最初が本当に強烈でした。
初めて一緒に仕事をした日
その日は国内線に乗務していて、計3便乗務する予定でした。
で、3便とも、ちゃんと事件が起こる。
というか、ちゃんと事件を起こしてくれる。
打率10割!さすが枢軸!(笑)
1便目
フライト中、なんだか感じるSさんの視線。
見てる
見てる
絶対見てるぅ!!!
背中に汗をかきながら、なんとか笑顔で仕事を終え、お客さん全員が降機。休憩タイムに入りました。
するとSさん、不機嫌そうに私を呼びました。
S「ねえ、チーク出して?」
私「えっ、チークって、頬に塗るやつですか?私ので良いですか?」
心の声(な、なぜチーク?チークのカツアゲ?)
S「当たり前でしょ。それ以外に何があんのよ」
私「はい、すぐ取って参ります」
ーーーーーーーーーー
私「持ってきました」
S「貸して」
そしてSさん、私の頬に、ものすごい量のチークを乗せ始めたのです。
5分後
オカメインコのようになった私。
「陰気臭い顔してるから、これくらいして明るく見せないとね!」
Sさんが去った後、オカメインコと化した私を見る同僚たちは、私を哀れに思う気持ちと、笑いたい気持ちとのせめぎ合いの中で苦しそうでした。
2便目
フライト中、これまた感じるSさんの視線・・・
着陸し、お客さんが降機。
ーーーーーーーーーーーーー
しばしの休憩タイム。
化粧直しするために、バッグを持ってトイレに入ろうとする私
S「ちょっと!?〇〇(私)さん、来て!?」(怒)
私(きた!)「は、はい!」
S「ねぇ、笑って?」
どうやらSさんは、私の笑顔に不満があるご様子。
確かに会社は客室乗務員に、お客さんと笑顔で接することを求めてはいました。私もそれは理解していて、緊張しながらも笑顔を心がけているつもりでした。
でもSさんからすると、笑顔の度合いが全然足りないらしい。
笑って?と言われて、「アハハハハハ!」とかって笑えたら、私も悪に勇敢に立ち向かったレジェンドになれたのかもしれませんが、私は勇者ではなくただのチキンでした。
引きつった笑顔を披露する私。
Sさんは吠えます。
S「ねえ、あんたいい加減にしてよ!?そんな顔でお客様の前に出てたのよ?せっかくメイクで明るくしてやったのに!もっとさぁ、笑顔!!!できない!?あのね、この機内は私たちの舞台なの!私たちはアイドル。お客様は私たちの笑顔を期待してお乗りになるの。分かる!?馬鹿になったつもりで笑ってみなさいよ!舞台にあんたみたいな微妙な笑顔の子がいると、舞台全体の品質が下がるの!分かる!?」
わ
か
ら
ね
え
。
いや、笑顔が大事なのは分かる!
けど、アイドルて!
舞台って!!
S「もういい。これ見て?」
機内のトイレのドアをバーンと開け放つSさん。
S「次の便のお客様が搭乗されるまで、この鏡で笑顔の練習してて?じゃあね!」
閉められるドア。
鏡の前には、呆然としたオカメインコが1匹…
出て行ったら、怒りの炎で焼き鳥にされてしまうんだろうな
そう思ったインコの私は、
笑顔の練習・・・
するわけないですよね。
バッグの中に、偶然銀魂入ってたんで、読んでました。(最新刊が出てて、仕事後に読もうと思って、空港の本屋で買ってあったもの)
読み終わって、ふと鏡を見ると、そこには自然な笑顔のオカメインコがいました。
3便目
私は舞台で馬鹿みたいに笑いました。フライト中、同期のKちゃん(Sさんの手によって、もれなくオカメインコにされている)と二人で、笑顔のチェックもしました。
結果、お互いの顔が面白すぎてゲラゲラ笑いました。
ところが…
その現場をSさんに見られていたのです。
もうSさんの怒りはコントロール不能です!
「いい笑顔できるじゃない。今の笑顔、キープさせてあげるわよ」と言われ、
私たちは、飛行機の一番後ろのギャレーに連行されました。そこで、自分の口紅を献上させられる、か弱きオカメインコたち。
Sさんは口紅を使い、我々の口角の両端を7ミリくらい、上に向かって伸ばした(描いた)のです。7ミリって大したことないと思うかもしれませんね?でも、実際は、結構なインパクトなんです。明らかにはみ出る紅。
私たちは、オカメインコからピエロに昇格し、舞台のお客さん(乗客の方々)を大いに楽しませました。(実際は怯えていたと思います)
フライト後、Sさんは親指を立てながら、
「3便目の笑顔、最高だったわよ、やれば出来るじゃない。」
とおっしゃいました。
せ、先輩!!やっと認めてくれたんですね!(うるうる)
と、なるわけもなく、
フライト後、帰り道に寄った居酒屋で
「なぁ〜にがやれば出来るじゃない、だよ!青春ドラマか!(笑)」
と、Kちゃんと二人で、大いに飲んだくれたのでした。
もちろん、チークもリップもクレンジングしてね!(笑)
こうして私のSさんとの初フライトは終了しました。
当時はそりゃあショックで、成人しても、こんな中学生めいたくだらないイジメをする奴がいるとは・・・と、しばらく落ち込みましたが、
今や最高のネタとなっています。
これを読まれている方の中にも、上司のパワハラに悩んでおられる方がいるかもしれません。
でも、そんな嫌な奴のことで思い悩んで
あなたの人生の大事な「時間」を無駄に使うのは非常に勿体ない。
あなたはそんなことするために生まれてきたんじゃないんですから、
今すぐそいつらのことをネタにして、
note書いてみてください。
字にしたら、下らなくて、どーでも良くなりますよ。
でも、本当に苦しい時は、全力で逃げてくださいね。
では、今日のところはそろそろ着陸!明日のあなたの気持ちが少しでもスッキリしていることを祈って。
また次のフライトで会いましょう。さようなら〜